皆川博子コレクション5海と十字架

著者 :
制作 : 日下三蔵 
  • 出版芸術社
4.44
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本棚登録 : 73
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (525ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784882934448

作品紹介・あらすじ

伊太と弥吉、2人の少年を通して隠れキリシタンの受けた迫害、教えを守り通そうとする意志など殉教者の姿を描き尽くした表題作ほか、長篇「炎のように鳥のように」や貴重な短篇4篇を収録した豪華傑作選、いよいよ完結!

感想・レビュー・書評

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  • 児童文学をメインにした中短編集。しかし児童文学といっても、かなり読み応えのある作品ばかりです。「海と十字架」「炎のように鳥のように」の二作品は、たしかに仮名づかいなどは易しいけれどかなり重厚な歴史小説でした。
    お気に入りは「暗い扉」。これもジュニア向けミステリのようですが、かなり重い物語。もしこれを中高生の時分に読んでたら、どすんと重いトラウマになりそうだなあ。

  • 主に児童書を集めた第Ⅰ期の最終巻。第Ⅱ期の刊行も間近に迫っているのは嬉しい限り(ほったらかしすぎた……)。
    『海と十字架』は確か作品精華の方にも収録されていたんだったか、隠れキリシタンを主人公にした長編。『炎のように鳥のように』も飛鳥時代を舞台にした長編。児童書として世に出たものだが、どちらも大人が読んでも充分に面白い。
    長編2本という分量があるので短編の収録数は4本と少なめ。

  • 私が初めて読んだのが「炎のように鳥のように」なので、とても懐かしい。。。

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    「伊太と弥吉、2人の少年を通して隠れキリシタンの受けた迫害、教えを守り通そうとする意志など殉教者の姿を描き尽くした表題作ほか、「炎のように鳥のように」の長篇2篇。」

  • シリーズの巻数としてはこちらが後になるので、「形を変えた『夏至祭の果て』か…」などと読みながら感じたが、執筆及び出版はこの「海と十字架」の方が先のようなので、いわば原型というべきか。
    そしてオリジナルの今作の方が、読後の味わいはより深い。

    一転して、次に収められた長編「炎のように鳥のように」の舞台は古代の大和で、史実にある壬申の乱を巡る物語がヴィヴィッドに描かれている。
    近年の著作群のみからは窺い知ることができないかもしれないが、あらゆるタイプの小説を書ききっているのでは、と思うぐらいに、皆川博子氏がカヴァーしてきたフィールドは本当に幅広い。
    また、ここでは氏が深い造詣を持つ詩歌が作中の世界観と絶妙に相まって、効果的に活かされている。

    2作を通じ改めて、各々の立場の視座から人間の業や苦悩を浮き彫りにし、ドラマへと昇華させる氏の筆力はまさしく凄まじいの一言に尽きる、と戦慄に近い思いを新たにした。
    そして、これらが児童文学という枠の中でそもそも書かれたのだ、という事実に遅まきながら驚愕。

    PART 4として収録された2篇、「戦場の水たまり」と「コンクリ虫」も、まったく性格が異なる風合いながらどちらも秀逸で、これが初単行本化とは一体どういうことだ? というのが率直な感想。

    この「皆川博子コレクション」を通して、誤植がとても多いのが唯一、残念極まりない。

  • 表題作は隠れキリシタンへの迫害の物語。これまたそういったテーマであるはずなのに、”神”的存在が感じられない逸品。それが皮肉でリアルだなあ・・・。
    「炎のように鳥のように」随所に現在の皆川節が散りばめられていて・・・納得だなあ・・・。
    「シュプールは死を描く」学年誌に掲載された少年向けミステリ、とのことですが・・・なるほどこの時代の皆川先生の持ち味は「ライダーは闇に消えた」然り・・・なるほど・・・。
    「暗い扉」このほの暗さ・・・ほんとに少年向けか・・・いやでも皆川先生だもんな(道理)
    「戦場の水たまり」幻想小説でありながら鮮血飛沫く戦争小説。皆川式童話は・・・子ども向けとは限らない・・・。
    「コンクリ虫」唐突なほのぼのテンションにより1冊の中での高低差にびっくりする・・・。いやでもコンクリ虫かわいいな・・・、なんかこう、やっぱり幸せではない気がするけど・・・。

  • <収録作品>
    炎のように鳥のように
    「炎のように鳥のように」あとがき
    シュプールは死を描く
    暗い扉
    戦場の水たまり
    コンクリ虫
    「海と十字架」作者と作品について 大石真
    「炎のように鳥のように」解説 岩崎京子

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著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。

「2023年 『天涯図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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