海色の壜

著者 :
  • 出版芸術社
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本棚登録 : 474
感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784882934714

作品紹介・あらすじ

テレビ・新聞・ラジオなど各マスコミで取り上げられた新世代ショートショート作家の待望の単行本2冊目!
 
奇想天外な発想から生み出された作品は、1編ずつ違った輝きを放つ。
読者を物語の世界へ誘う田丸雅智ワールド全開の20編!


――読書家・ピース 又吉直樹さんも絶賛!
田丸雅智さんは、小説の可能性を拡げ続けている。
新奇な発想や鮮やかな技の中に、郷愁や世界に対する哀愁まで漂わせている。
海の色は土地や天候によって大きく変化する。壜の色も光によって変化を起こす。
一篇ごとに別種の魅力を持つ『海色の壜』は、それぞれの読者に応じて、無限に特異な輝きを見せるだろう。

感想・レビュー・書評

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  • 表紙の海色のビンがとてもお洒落で目を惹く作品。
    笑えるもの、ゾクッとするもの、不思議系、ほのぼの系、と様々なタイプのショートショートが楽しめた。
    中でも『ふぐの恩返し』『蜜』『年波』『壁画の人々』『修正駅』『砂童子』『アドネコ』『夕暮れコレクター』『海酒』が好き。

    特に『年波』のような最期に憧れる。私も最期は穏やかな波の音を聴きながら大きなうねりに身をゆだねたい。
    そして座敷童子のような『砂童子』。私の家にも来ないかな。
    子供の頃の記憶をよみがえらせてくれる『海酒』。私にとっても『海酒』はどんな味だろう。

  • この本に収められた『海酒』という話が好きです。
    舞台の三津浜は四国は愛媛県松山市にある港町。
    ぶらり散歩が似合う町です。

  • 一日で読破できるくらい読みやすく、その世界観に入り込んでいってしまうくらい夢中になりました。
    どの話もファンタジーでありえないけどあったらいいなぁって思うような河豚と人間の夫婦円満のホッコリ話。
    ちょっと恐ろしいけど飲んでみたい蜂蜜の話。
    儚く美しい桜の暖かく悲しい話。

    作家さんの地元が綺麗な海だったとの事ですか、震災に遭われてその綺麗な海を見る事が出来なくなってしまった。
    そんな時、あの綺麗な海を瓶に詰めようと、海に関する一つ一つ物語を瓶に詰めたのがこの本である。

    いつか海酒を飲んでみたいものです。

  • BOOK・OFFで購入。言葉遊びの本という感じ。言われてみれば確かに!と思うような単語でちょっと不思議な話が進んでいく。
    一気読みよりは1から数話ずつくらいで読むのがおすすめかもしれない。

  • 長編の歴史小説にハマっていたため、久しぶりに読んだショートショートの物語。
    不思議だけれど、どこか柔らかさや温かさを感じる作品が多かった。

    特に印象に残っているのは「桜」。
    昔から桜は幻想的で、時に人を惑わす妖しさも持つ花だと考えているが、その妖しさと美しさを、年月を感じさせる表現で鮮やかに描いている素敵な作品だと思った。

    また、少しゾッとした話で印象に残っているのは「蜜」。
    琥珀色のトロリとしたドリンクと語り手の女性の妖しく光る瞳、きっと金色のネイルをしているであろうビジュアルが夜景のネオンの様に頭に浮かんでくる。
    皮肉さや狂気がちりばめられていて、物語に引き込まれる。

    そして、なんと言っても外せないのは、一番最後のお話「海酒」。
    潮風の匂いや波の音、踏切の音などが聞こえてくるようで、まるで自分もその海で遊んだことがあるような気持ちになった。行ったことがないはずなのに、故郷の海を想うという不思議な感覚になる。
    タイトルの「海色の壜」が、完成するための物語だと思った。

  • 不思議な世界を温かい心で包む小説。

  • 好きな作品がいくつかあった。

  • ふぐの恩返し、蜜、ほくろ、月工場、O型免許、壁面の人々、海酒 あたりが好み。

  • 「ビーチグラスには、長い年月のあいだ波にさらされ丸くなっていく中で、その土地の海のもつあらゆる記憶がすり込まれていくんですよ。」(231ページ)

    そんなビーチグラスのように、
    さまざまな記憶もつ、ふしぎな形のストーリー集。

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著者プロフィール

(著者プロフィール)
田丸雅智(たまる まさとも)

1987年、愛媛県生まれ。東京大学工学部卒、同大学院工学系研究科修了。
2011年、『物語のルミナリエ』に「桜」が掲載され作家デビュー。
12年、樹立社ショートショートコンテストで「海酒」が最優秀賞受賞。
「海酒」は、ピース・又吉直樹氏主演により短編映画化され、カンヌ国際映画祭などで上映された。
坊っちゃん文学賞などにおいて審査員長を務め、また、全国各地でショートショートの書き方講座を開催するなど、
現代ショートショートの旗手として幅広く活動している。
書き方講座の内容は、2020年度から小学四年生の国語教科書(教育出版)に採用。
2021年度からは中学一年生の国語教科書(教育出版)に小説作品が掲載。
17年には400字作品の投稿サイト「ショートショートガーデン」を立ち上げ、さらなる普及に努めている。
著書に『海色の壜』『おとぎカンパニー』など多数。
メディア出演に情熱大陸、SWITCHインタビュー達人達など多数。

「2023年 『憂鬱探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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