言語戦争と言語政策

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制作 : Louis‐Jean Calvet  砂野 幸稔  今井 勉  西山 教行  佐野 直子  中力 えり 
  • 三元社 (2010年5月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883032679

言語戦争と言語政策の感想・レビュー・書評

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  • カルヴェの古典、出版より20年を越えてやっと日本語訳が出版。アメリカのSIL(夏期言語協会)への批判なども含まれている。(あとがきによれば、このSIL批判の章は、英訳版出版の際に削除されたらしい。言語問題はどこまでも政治的なのだ。)

    カルヴェは言語の機能を二つのカテゴリーに分け、ひとつは群居機能、もうひとつは媒介機能であるという。(第5章)

    媒介とは、コミュニケーションを最大限に拡大したいときに選ぶ言語形態であり、群居とはコミュニケーションを最小限の人数に制限し、自分の特異性を際立たせ、集団の境界線を明確にしたいときに選ぶ言語形態である。さらに、その群居的形態は、社会の中で階層分化の機能も併せ持っている。つまり、意識的に自分の群居言語を変えることで、社会階級が変わったかのようにふるまうことも可能なのだ。ここではプルデューのいう、「ディスタンクション」=自己を他者と区別して際立たせ、社会の中で各個人の行為を組織化する原理、が働いており(pp.113-114)、自分の意思で使う言語を使い分けることによって、どの階級に属しているように見えたいかを決定することができる。

    事例は中国、アフリカ、南米の民族語まで多岐にわたる。書かれたのは今から20年以上前なので、ケーススタディに関しては今の現状とは大分かけ離れたものある。しかしカルヴェが指摘している言語と言語政策の政治性の問題は、これからも普遍的に存在するだろう。

  •  日本においては馴染みの薄い言語政策について、書かれた古典(今年の5月に出版された本だが、原著は1987年出版となっている!)。
     非常に面白い本である。言語政策とは何か、言語計画とは何か、の定義から始まる。そして、個々の考察・留意点、構造を明らかにするとともに、それらの現実での事例が書かれている。すなわち、この1冊で、言語政策についてのフレームワークを効率良く、かつしっかりと学べる点で面白い。
     レポートのために読んだので、今度は夏休みにでも、ゆっくり読みたい。

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言語戦争と言語政策の作品紹介

欧米型「多言語主義」があたかもアプリオリに肯定的な価値として称揚される現在、言語について語ることの政治性と世界の多言語性が孕む緊張を鋭く描き出し、そうした自明性そのものに、あらたな問い直しをせまる社会言語学の「古典」。

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