大学入試の「国語」: あの問題はなんだったのか

著者 :
  • 三元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883032921

作品紹介・あらすじ

私たちは、文章をどのように読んでいるのだろうか?小学校から大学入試までひたすら受けてきたあの「国語」の試験。私たちの「読み」は、その「国語」の試験によって形作られてきたのではないか?「国語」の大学入試問題の変遷から日本語を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 大学受験現代文の問題という「窓」を通して、戦前から現代までの「国語」教育がたどってきた歴史を明らかにする試みです。

    フーコー的な権力分析の手法によって入試現代文の問題を論じる手法は石原千秋が嚆矢かと思われます。本書も大きな意味ではそうした枠組みを採用しつつも、現代文の問題のなかに入り込み、そのイデオロギー批判をおこなう石原とは異なり、入試という制度そのものがわれわれの社会において果たしている役割にまで踏み込んで議論を展開しています。

    テーマそのものはたいへん興味深いものであり、また戦前から現代にいたるまでの入試現代文の大きな流れを簡潔に整理している労作だと思いますが、一般的な意味での教育問題に議論が拡散してしまっているような印象があります。もうすこし入試現代文そのものに付きしたがうかたちで議論を展開してほしかったように思います。

  • 今日と明日は、大学入試センター試験だ。57万人受験とニュースで言っていた。受験科目の中に国語がある。センター試験の場合、現代文(評論文と小説)、古文と漢文が出題される。私立だと少なくなっているようだが、文学部だと現代文、古文、漢文を出題しているところがある。

     現代文、特に小説を解こうと思うと、どうしても自分の主観が入って出題者の意図と違う答えを選んで間違うことがある。あくまでも本文に書いてあることから正解を導き出すというテクニックを身に付ける必要がる。

     そんな大学入試の国語に対して、戦前から現代まで見ていくというあまりお目にかからないタイプの本だ。受験参考書を研究対象にしている人がいるなんて、以前取り上げたことのある江利川春雄著『受験英語と日本人:入試問題と参考書からみる英語学習史』以来だ。「受験英語」の本で、受験参考書を研究資料として集めるのに苦労したと書かれていたので、研究するのも一苦労だ。受験参考書は、受験が終われば用済みになって捨てられるか、よくてブックオフに売りに行って、また誰かが買って使うことはあっても、ずっと持っている人はそんなにいないだろう。まして、受験参考書コレクターが幅広くいるとは思えない。

     現代文を一つの切り口にして入試についていろいろな角度から考察されていて、読むのに今の時期が最適な気がする。問題を解く側も必至だが、問題を作る側も苦労が多いだろうなあ。

    江利川春雄のブログ

    http://blogs.yahoo.co.jp/gibson_erich_man/23425790.html

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