ゆるいカーブ

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著者 : 加藤千恵
  • スリーエーネットワーク (2006年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (129ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883194087

ゆるいカーブの感想・レビュー・書評

  • 友達の恋の話をこっそり見ているような気持ちになれる本。
    本の最後には、加藤千恵さんならでは!短歌がついているけど、
    小説を読んでからその短歌を読むよりも、
    私は短歌だけを読んでからその小説を読むっていうほうが
    お楽しみが多くておすすめです。

  • 物書きには,その年齢でしか書けない作品というのがあるようですが,ひさしぶりにそういう本を読みました。奥付を見ると,作者は二十代前半だそうです。二十代前半か。書くことが,話すことより彫ることに似ている時期です。

    若いひとは小さい字を書きます。わたしが仕事で見ている高校生は,6ミリ罫のルーズリーフの1行で分数関数を積分します。吉本隆明は,詩を書くときだけは,手で細い罫を引いて米粒みたいな字を書いていたそうです。この『ゆるいカーブ』もまた,小さい字で書かれたにちがいありません。

    わたしはかつて二十代だったので,二十代の作家が書いた作品を読みました──芥川龍之介とか矢作俊彦とか。三島由紀夫や大江健三郎も二十代から小説を書いていましたが,わたしにとって彼らの小説は二十代の作品という気がしませんでした(大江のエッセーは二十代だと思いますが)。わたしにとって,二十代の作品とは,うっかり1行集中力を欠くと意味を成さない破片になってしまう作品であるようです。矢作俊彦の「神様のピンチヒッター」はその典型です。作者たちは,なにかを話しているのでなく,なにかを小さい字で彫っているのですから,わずかなブレで作品はパン・アウトします。

    そのような稠密な作品は,強い張力に支えられていて,かつ上品です。わずか3ページの短編小説が30編,その各々に短歌とイラストレーションが添えられた『ゆるいカーブ』を読んで,わたしはその張力と気品を感じました。ひとことで言えば,文章がうまいということになるのかもしれませんが,だらけていても下品であってもうまい文章はうまいので,やはりテンションが高くてノーブルだとしか言いようがありません。わたしの判断がまちがっていたら恐縮ですが,先日発売された30人の小説家によるコンピレーション短編集『極上掌編小説』(角川書店, 2006)には,小説の体をなしていない文章が25編ほど掲載されています。片岡義男の作品はそのなかの数少ない例外でしたが,加藤千恵『ゆるいカーブ』には,その片岡の作品を連想させるクォリティーの短編が30編掲載されていました。

    経験則によれば,若さにもとづく張力と気品は,やがて失われます。それがなぜなのか,わたしには分かりません。『さようならコロンバス』の作者であるフィリップ・ロスが『ヒューマン・ステイン』のような大作を書くことを,成長と呼ぶのが世の通例ですが,その一方で阿久悠は「それは悲劇だ,見過ごしにできない」と書きました(真鍋ちえみ「ねらわれた少女」)。今後変わりゆくことが成長であるか悲劇であるかは別にして,加藤さんは,いましか書けないことを書いています。そして,驚いたことに──というのは失礼かもしれませんが,作者はそのことに自覚的であるようです。書名の『ゆるいカーブ』とは,元阪神タイガースの星野伸之の投球のことを言っているのではなく,「曲がっている実感すらない」まま進んでいく人生のカーヴを指しているのだそうです。

    人生のカーヴか。わたしゃ何度か曲がりそこねました。やりなおしても同じところに着いているかもしれませんが。

  • 物語の中から、短歌を生んだのか。
    短歌から、物語を生んだのか。で大きく評価が変わるのですが。

    短歌からだったら、せっかくの短歌の解釈の幅をせばめちゃうので、どうかなぁ。と。恋する短歌と同様、短歌の醍醐味って、書いてない部分をどう補完するかだから。

    ただ、物語を作って、それを短歌でまとめたのなら、秀逸。すごい要約力、そして、物語をさらに広げていてうまい。

    なので、中間点で、星3つ。
    残念なのは、短歌が先だったほうがしっくりくるな、ということ。短歌を先に読んでから話を読んでしまったので。

  • その時々によって、今じぶんがどの女子の気持ちに近いか、考えると楽しい。

  • ショート・ストーリーと短歌のコラボレーション30篇を収録した単行本です。
    ちょっとした出来事から生まれる言葉。そしてショートストーリー。短歌を読んでからショートストーリーを読むとこういう背景があったんだ、と納得します。
    すごく素敵です。

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