現代語 地獄めぐり―『正法念処経』の小地獄128案内

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著者 : 山本健治
  • 三五館 (2003年4月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883202676

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現代語 地獄めぐり―『正法念処経』の小地獄128案内の感想・レビュー・書評

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  • 地獄の種類がたくんあり、とても興味深いです。
    しかしながら 同じような地獄や、似たような責め方が多く、これなら『日本死刑史』に登場する刑罰の方がバリエーションに富んでいて恐ろしいです。

    地獄の刑では圧倒的に火焔責めが多く、その他釜茹で、金棒で撲殺、剣で刺殺、磔、鉄板で圧殺、猛禽類に食べられる等々…。驚くべきはその刑期で、単位年が億・兆を遥かに超えるものなので、初めて地獄に堕ちた人でもまだ刑期を終えていないでしょう。

    どんな罪でどんな地獄に行くか簡単にまとめると、
    殺生は等活地獄行き
    偸盗(泥棒)は黒縄地獄行き
    邪淫は衆合地獄行き
    飲酒は叫喚地獄行き
    ウソつきは大叫喚地獄行き
    邪見(邪な見方)は焦熱地獄行き
    修行者への邪淫は大焦熱地獄行き
    「讒法」「四重」「五逆」の罪は無間地獄行き

    で、後半はさておき、飲酒やら嘘やらで地獄に堕ちるので、世の中の半数以上は地獄行き決定ですし、子どもの頃に虫を殺したりした人も、地獄行き決定ですし、さらにAVの企画物にあるようなもの(近親相姦、媚薬、乱交など)も地獄行き決定です(笑)。
    僕はほぼ毎晩お酒を飲んでいるので叫喚地獄行きです……。

    疑問に思う事があります。
    衆合地獄にある「邪淫」、これはまぁ罪だとしても、所謂一般的な性交なら問題ないのでしょうか。そうでないならば、仏教界では子孫繁栄は望めなくなります。
    で、どうも本書を読んでると、これらの地獄は、仏教徒だけのものではないかと思うのです。
    仏教徒の宮沢賢治は「一滴たりとも自分の精子を外に出した事がない」と言っています。
    そして、確か、この地獄にまつわるものは、一切の性交を認めていなかったように思います。ならば、人類の衰退は必至。仏がいても、それを、信仰する人間がいなくなっては、元も子もありません。
    で、この地獄の対象を仏教徒に限るなら、人類の衰退は免れるでしょう。
    でも、堕獄対象者は割と一般的大衆に当てはまるし……、結論は分かりません。

    一番苛酷な無間地獄では、他宗教や邪法を否定しているので、排他的に感じます。『仏教を信じないやつは地獄行きだ!』となるのは当たり前ですが、割と寛容なイメージがあった宗教だけに、少し残念です。

    現代において、この地獄の世界が人の倫理を形成できるのか。僕は否定的です。人間の寿命が長くなって、死というものが身近に感じられなくなっていますし、科学の進歩によって動機が薄くなっているからです。
    『悪い事をしたら地獄に堕ちるぞ』と言われても、『じゃあ地獄の世界が無いと証明できれば悪い事をしてもいいんだね』と言われそうです。そして、科学が進歩した今だからこそ、『〇〇だからダメ』というような具体的かつ納得できるようなものでなくては効果が無いように思います。『ウソつきは地獄に堕ちるからダメ』ではなく、『ウソをつくと他人に迷惑をかけてしまい、最後には自分が苦しむことになるから、ダメ』の方がより説得力があります。
    理性と感情のどちらに働きかけるかの違いでしょうが、現代では理性に訴える方が良いと思います。その意味ではニーチェの名言『神は死んだ』と同じです。かくいう僕も地獄思想には否定的で、『へぇ、こんな思想もあるとのなんだな』くらいにしか考えていません(笑)

    一番辛いのは、存在が無視される事ではないかと思います。
    もちろん火責めや撲殺などは苛烈な苦しみですが、それは獄卒が自分の存在を認めているからこその行為であって、『自分はここにいるのに、誰からも知られない。誰とも繋がっていない』方がよほど恐ろしいです。いじめの世界でも、無視されるのが一番辛いと聞きます。こういった地獄は無いので、あってもよさそうなものですが……。

    まぁとにかくも、引用文が多すぎて読むのに苦労しました。今回は引用が膨大なので載せません。詳しく知りたい人は本書を買って読んで下さい(笑)
    僕の評価はSにします。

  • 「正法念処経」の八大地獄、小地獄についての解説。
    前に読みたいと思ったときには絶版だったのが、2011年に増刷されていたようだ。

    最初のうちは、いちいち想像して痛々しく思っているけれど、延々と100以上続くとだんだんと感覚が麻痺してくるのかだんだん無感動になってきた。
    地獄の責め苦がゲシュタルト崩壊しそう。
    芥子粒ほどの大きさになっても痛みを感じると言うのがなんともシュール。
    小地獄についてはどんな罪で落ち、どんな責め苦を受けるか詳しいが八大地獄についてはどんな人が落ちるかしか書かれていなく、どんな責め苦を受けるか分らないところもある。
    延々と責め苦を見続けると、少しは他人に優しく、正直にしようかな、と思えてくるから不思議なものだ。
    今流行の5億年ボタンなんて目じゃないほどの長い期間の責め苦。
    現世にいる人間よりも地獄にいる亡者の方が数が多そうだ。
    鉱石をも溶かす炎、毒の炎の中で亡者を責める獄卒たちはすごい頑丈なんだなあ。
    24時間延々と休みなく責め続けていて大変そうと思ったり。

    128の小地獄(不明な部分もあり実際には128分はないが)の解説のあとは、古今東西今昔の地獄観、ダンテの「神曲」の地獄についても少し書かれている。

    最後の章の「こどもの躾と地獄」では、筆者の母親と筆者の思い出から派生して書かれており、特に母親についてしつこく書かれている。
    はっきりいって蛇足に感じた。
    八大地獄や小地獄の解説でも「どこかの大統領に教えてあげたい地獄」だなどと現代社会への批判も含まれているのも煩わしかった。

    「偸盗」のルビが「とうとう」になっていたり「ちゅうとう」になっていた。
    「転けまろびつ」、「ころけまろびつ」と漢字と平仮名の表記が混じっているなど、表記の揺れが気になった。
    獄卒が息を吹きかけて亡者を生き返らせるときの描写が「ふっと息をかける」、「「ふーっ」と息をかける」、「ふーっと息をかける」と微妙に違っている。
    原典の方でも表記に違いがあるのか、単に筆者が分けて書いただけなのかどちらなのだろう。

    各地獄、小地獄の文字の下に1、2センチ程度の小さい図版は載っているものの、よく見えないものも多いので他のカラー図版と合わせて読むとより理解がしやすそうだ。

    この本ではどの程度解釈や注釈が書き加えられているのかよく分らないので、原典の書き下し文的なものがあれば読んでみたい。

  • GUEST 040/イラストレーター・みうらじゅん:スミスの本棚:ワールドビジネスサテライト:テレビ東京 http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/blog/smith/2011/08/post115264.html

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