半魚人伝―水中写真家・中村征夫のこと

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著者 : 藤崎童士
  • 三五館 (2010年11月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883205196

半魚人伝―水中写真家・中村征夫のことの感想・レビュー・書評

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  • 私がダイビングを始めた頃に
    石垣島の近くの小浜島というところにある「はいむるぶし」で
    征夫さんを見た。

    見た!のであって会ったのではない。

    全く、ダイビングに無知な私に
    同室の女の子は「あの人、写真家なんだよ」と教えてくれた。
    彼女はカメラのカバーにサインをもらっていた。

    「フーン」とただ思っただけの私。

    でも、征夫さんはどこにいてもすぐにわかった。
    別に派手なわけでもないし、大騒ぎなんてもちろんしないけれど、
    あれってオーラってやつですか。

    その後、ダイビングにはまっていった私は、
    いたるところで征夫さんの名前を見ることになる。

    あーすごい人なんだぁと思い、
    講演会を聞きに行き、関西で開催される写真展を見に行った。
    征夫さんが連載しているダイビング雑誌を買った。

    私には芸術的センスは全くなく、
    なんでも、自分がどう思うかかで判断するのだけれど、
    征夫さんの写真はアクがきついと思う。

    ただ綺麗だ、と思う写真はあんまりなくって、
    現実の切り取りでもなくて、なんていうのかアクがあるのだ。

    それは、驚くほど美しい青く澄んだ海の写真も
    生活に密着したヘドロの海の写真も
    どれも、すごい。

    本を読んで、なるほど、
    征夫さん自身があっさりした、淡色野菜のような
    雰囲気をかもし出しながら
    ものすごくアクの強い人なのだと思った。

    20年前に見た征夫さんも、今の征夫さんも変わらず素敵なのは
    アクに守られているからか・・・

    親としての征夫さんが語られているところでは
    案外未熟な親だったのだと知る。
    当たり前だ、完全な人間などいない。
    そこが非常に人間くさい。

    でも、半魚人なんだぁ。
    絶対エラで呼吸してると思ったよ。

    そうそう、阪神大震災の前の日の夜、
    「きょうの出来事」で、「明日は中村征夫さんをお迎えします」と
    桜井よしこさんが言って
    私は「やったー!」と思いながら眠りについた。

    そうしたら、朝、地震があって、
    征夫さんが奥尻で地震にあったことを思い出して
    とっさに津波を心配をした。
    本の奥尻のところは
    ちょっと胸が痛すぎて、とばしてしまった。
    最後に読んだけど。

    神戸の海の写真も撮ってくださって、ありがとうございます

  •  お気に入りの水中写真家・中村征夫さんの評伝。
     壮絶だった少年時代の話から始まり、上京してひょんなことから写真家を目指し、「木村伊兵衛写真賞」「土門拳賞」(写真界の「芥川賞」と「直木賞」)ダブル受賞という史上2人目の快挙をなし遂げた半生を辿る。

     いつぞやのギャラリートークで、写真家を目指すまでのさわり(江戸前のネタを食べたかったから云々)は聞いたことはあったが、初めて知った少年時代の逸話は壮絶だった。
     ただ、どんなに有名になって偉くなっても、海や生き物に注がれる中村さんの愛情は変わっていない。その愛情は、環境保護を声高に叫ぶことなく、「自然の力そのもの」を心の底から信じているところにも強く感じる。写真や添えられたキャプションから伝わってくるメッセージと同じで、なぜか安心する。

     本書を読んで、ますます中村征夫さんのファンになった。これまでは東京で開催される写真展しか見に行っていないが、機会があれば秋田の「中村征夫フォトギャラリー ブルーホール」にも行ってみたい。

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半魚人伝―水中写真家・中村征夫のことはこんな本です

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