医者は現場でどう考えるか

  • 石風社
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感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883442003

作品紹介・あらすじ

間違える医者、間違えぬ医者は、どこが異なるのかを問う。知的刺激に満ちた医療ルポルタージュ。

感想・レビュー・書評

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  • 医者がどのように認識エラーをおこすのか。結局はナラティブにコミュニケーションを取っていくしかなくて、患者は治療のパートナーであるのだよ、という本。
    時代はEBMじゃなくてNBMだよねぇ

  • BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー「ブックサロン」で登場。

    大野更紗さんの「人生を変えた一冊」。

    ―2011年の10月に出会ったんですが、Twitterでこれはすごい本が出たぞというのを見て、買ったんですけど。「困っているひと」が出た直後くらいですね。「困っているひと」でも書ききれなかったモヤも足した部分があって。それでこの本を読んで、「いたー!」という感じでしたね。私、お医者さんが怖かったんですね。でもこの本を読んでから全然怖くなくなったんですよ。笑(大野更紗さん)




    原宿ブックカフェ公式サイト
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html
    http://nestle.jp/entertain/bookcafe/

  • 原書で買って積んどいて、日本語版で買い直してやはり積んどいた本。ようやく読めました。なかなかに面白かったです。

    しかし、検査をやって見逃しを防ぐ場合と、検査をやらないで無用な侵襲を防ぐ行為は背反します。ここをどう乗り越えるかが、難しい。

    伝統的な臨床推論の学的情報と実際のケースを織り交ぜつつ、かつベイズの定理への批判なども織り交ぜ、アメリカ発の本としては現実感、重みを感じる良書だと思います。

  • 「ドラマERの本版」とまではいかないけれど、色々な症例が出てきて(主に誤診の話ではある…)興味深かった。
    医者の多忙さや、思考・意思決定を理解すると、患者としてやるべきこと・話すべきことが見えてくる。日常にも役立つ内容だった。

  • W61 に配架

  • 2646円購入2013-03-19

  • 患者側
    医者の注意を引ける質問や説明をする
    最悪の場合はどんなことになるか聞く
    自分で専門的に調べた方が医者より詳しく正しいことはありえる

    医者
    第一印象に引っ張られることが多い
    クレーマーだと感じたらおざなりに
    健康そうに見えたら深刻にとらない
    子供を心配する親の意見は割り引く
    忙しすぎて余裕がない

    若い時は治すこと自体が達成感、歳をとると患者の喜びが目的、失望させるのを避けるようになる

  • 医療現場で医者が犯す認識エラーについてのルポタージュという帯をみて、酒席帰りに衝動的に購入。 自省と後輩たちへの指導において、認識エラーに伴う誤診をいかに防ぐか、現代に広く活用されるアルゴリズムやフローチャートに則り、確率論的にわりだされる診断が陥りうる落とし穴を回避するためにはどうすべきか実例を豊富に交えつつ記載され、興味が尽きない。

  • このたびは読み飛ばしてしまったがふたたびまた手にすることだろう。

  • 図書館で借りた。

    医師でも診断を間違えることがあることを大量の事例を交えてストーリー仕立てにして解説する。

    問題意識は、自分で考えず判定システムやアルゴリズムに診断を委ねる若い医師が多いことにあるようだった。ただ、そのような医師を教育する方法は、先輩の背中を見るしかないらしい。

    本書では認識エラーが鍵となっている。病気の特徴と合致する点だけに注目してしまい、それ以外の部分を無視したり、最近よく経験した病気に何でも関連づけたりといったエラーが具体例を通して挙げられる。
    患者としては「他に何が考えられますか」といって他の可能性を示唆することが防護になるようだった。

    EBMやベイズ統計だけでは目の前の患者をしっかりと捉えることができないから、患者の話をよく聞いて、何が起きてるかを考えることが必要だと伝えているのかもしれない。

    放射線科医にX線写真を読み取る試験を行って、人により、また同じ人でも時期により診断結果が違うことに驚いた。著者が経験した手の診断でも4人の医師が異なる結果を出していて、それも意外だった。

    患者の立場からは、医師も完璧ではない、認識エラーを起こすこともあると知って、話をするしかないような気がする。

    「おわりに」が本書の内容を非常によくまとめているため、読むかどうかはそこを見れば判断できる。

  • 医師の思考過程について考えていて、積ん読本であったが、ようやく読了完了。色々な実例が挙げられていて、思わず引き込まれる文章で、最後まで面白く読めた。臨床医の姿勢について改めて原点にかえれる本である。

  • 医師は、時間の制約からヒューリスティクスにより診断していかなければならないが、その中で切り捨てられた情報、患者への思い込みなどのために誤診をしてしまうということを豊富な例で論じている。

  • 医師が患者を誤診する時、思い込みや認知バイアスが働くという。
    警察が冤罪(誤認逮捕)を犯す際も同じことが言えるのだろうか?と思った
    決して怠慢や面子からではなく、真摯な行動が結果として誤った結論を導く…。
    そういった可能性が有ることを頭の片隅に留めておく必要が有るのかもしれない。

  • 間違える医者と間違えない医者はどこが違うのか。
    研修生チームの指導医としてある時彼らが的を得た質問をしたり、注意深く相手の話を聞いたり、するどく観察することに関しては、ほとんどが落第生だったことに気づき医師達の思考法を理解することが誤診の頻度と重度を軽減できると考えたのがこの本を書くきっかけになっている。医師が考える時に患者やその家族の助けが必要になるため本書は素人向けに書かれている。

    最近ではアルゴリズムとディシジョンツリーを使った診療ガイドラインを導入して医学生などの教育につかわれている。効率性は上がるが統計は必ず例外が有るし、無条件に受け入れると思考が停止する。
    直感力を磨くのはいいことのように思われるが過度に依存するのはやはり危ない。
    時間が限られる中で判断する以上間違いは起こり得る。しかし、医師と患者が協力する事で認識エラーを減らせるというのが本書の主張だ。

    もし患者になった場合に医者の助けになる質問がいくつか挙げられている。
    「私の病気は最悪の場合は何ですか」「症状が起きているこの患部の周りには他にどんな臓器があるのですか」こういった質問は医師に他の可能性を喚起することになる。
    「他に何が考えられますか」「辻褄が合わない点が有りますか」「私の問題はもしかして一つだけではないのでは無いですか」
    NHKのドクターGを見ていてもベテラン総合診療医は研修医達に同じような質問をしている。

    間違える医者の思考法を見て思ったのは間違える研究者(やマーケターや営業や・・・)と同じパターンが見える事。インスタントな結論に飛びつき辻褄の合わない点は何かの誤差として無視をする。再検査や再実験は時間やコストの無駄に思えることもあるが立ち止まって考える時間は必要である。
    ちなみに間違える碁打ちも同じパターンにはまることは身をもって分かっている。orz

  • 上手な医者のかかり方の参考になると思う。病にならないと分からない、人間の心理もとても興味深く考させられた。また他の著書も読んでみたい

  • 医師が診断や治療の選択の際に陥りやすいバイアスについて豊かな物語を紡ぎながら示唆してくれる.
    常に自己のバイアスに自覚的であるべきであること.

  • 医学のエラーについてケーススタディ形式で書かれている。いかにエラーを抑えるか、また医者による思考の差が診断にどのように影響するのか。医者も人間である。それをいかにもよく感じた。
    電車が過ぎ去っていく中で、診断をしなければならない。限られた時間の中で、エラーを最小限にとどめ、効果的な治療をし、更には医薬品のマーケティングをも考えねばならない。病気には治療の難度がある。小さな異変を異変として気付けるか。医者というのはどの仕事よりも責任が重く、素晴らしく大変な仕事なのだと改めて気付かされた。

    また、これは後から聞いた話だが、検査をなくしても問診だけでほとんどの病気は診断可能であるという。検査は量的データをもたらし、小さな変化を数値で示すことが可能だ。しかし一方でその量的データが医者を苦しめることもある。
    量的データを有効に使う為にはどうすべきか、医療技術が進行する中で考えねばならない課題ではなかろうか。

  • 【テーマ】
    医者はなぜ、治療・診断においてミスが生じてしまうのか。本書では、医者の思考メカニズムに基づいて、その要因を考察している。

    【内容】

    医療とは、そもそも不確実性を伴う分野であり、少なからずミスは生じてしまうもの。そのリスクをミニマイズするためには、以下の要素が重要である。

    ①医師特有の思考メカニズムの良くない特徴を認識しておく必要がある。例えば、時期尚早な結論付け、フレーミング(すぐに既存パターンにあてはめる)等。

    ②上記の予防策・防護策として、患者の協力が必要とのこと。つまり、より良い医療には、医者と患者間のコミュケーションを良好に図る必要があるとのこと。



    *一般的には、医者は最適な治療方法の選定・診断を行うためには、”臨床アルゴリズム”のようなロジックを使っている。ただ、万能な思考ツールではなく、複合的な要素が絡み合うケースや、判断が難しいケースの場合、上記のようなロジックは使えない。

  • 医者が、病という現象に対してどのように診断し対応するかケースを通じて記述。
    スポーツ選手の心構えの本はよくあるが、これもプロフェッショナルによる不確実性への対応であり、複雑系である人体を扱う医者の事例はあらゆる職業により通じる。著者はオンコロジスト。
    事例:
    長年誤診されてきた患者の再診断の難しさ。
    感情による誤診。好ましい人への甘い希望的判診断と好ましくない人物(exアル中)への適当な診断
    救急時における冷静な判断。
    患者の家族による患者への判断のサポート。
    新生児医療における前例のない症状への対応。
    機器の発達によるデータ過信と患者への個別対応の軽視。
    製薬企業との関係と治療時の判断の歪みが過剰治療をもたらす。

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著者プロフィール

1952年生まれ。ハーバード大学医学部教授(Dina and Raphael Recanati Professor)兼、ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターの生物医学などの実験的医学主任。がん、血液疾患、エイズ治療の第一人者。「ニューヨーカー」誌で医学・生物学分野のスタッフライターをつとめ、また「ニューヨーク・タイムズ」紙や「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙などの新聞や多くの科学雑誌に寄稿し、旺盛な執筆活動も続けている。日本で刊行された著書に『毎日が贈りもの』、『セカンド・オピニオン』がある。

「2011年 『医者は現場でどう考えるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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