図書・図書館史 (現代図書館情報学シリーズ 11)

  • 樹村房
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883672110

作品紹介・あらすじ

図書館・情報施設に携わるものは,図書館の成り立ちを知り,自己の立ち位置を把握する必要がある。図書館の歴史理解のために,「知識の集積」の変遷に着目して古代・中世・近世・近・現代のわが国における,「知識」「図書館」の輸入と発展について,時代背景を含めて記述した。

感想・レビュー・書評

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  • 2012 6/1パワー・ブラウジング。先生の本。
    この5月に出たばかりの、新カリキュラム対応の図書・図書館史の教科書、樹村房版。
    旧版(寺田光孝編)とは編者・執筆陣も一新され、内容も一部の記述は受け継ぎつつガラッと方向性が変わっている。
    旧版は地域史別に部辺を分け、西洋図書館史が中心で、西洋:中国:日本が3:2:1くらいの分量だったのに対し、新版は古代、中世などの時代区分によって編を分け、その中で地域史(ただしそのまとまりはけっこうばらばら)が記される。さらに図書館史の教科書としては珍しく、古代・中世・近世までの記述の方が近現代よりも多い、という配分。また、インドやイスラム圏の記述も厚い。かなりユニークな教科書になっている。

    古代史部分は図書館史、以上に図書史、というか一般にいう「書物史」に近い。書物とその収集の歴史。
    古代中国が厚い点、インド・イスラム圏の記述の存在などはユニーク、ただ、特に古代中国は「収集⇒散逸あるいは焼失」の記述の繰り返しの感は否めない。あとに続く影響関係等がもうちょっとすっきり見えるとより面白かったか。

    近世日本の記述あたりは他の教科書でも含まれている内容が多いが、教育と書籍流通や蓄積の関係に触れた上でそれを近代図書館の萌芽、と評している点など、近世/近代を分断したものと捉えない点は良い。

    古代・中世が厚くなった分、近現代の特に西洋図書館史は記述が薄くなっている。これは取捨選択上、仕方がないか。おさえるべきところはおさえられてもいるし。

    最終章に全体を通してのまとめ/総括的な記述がある点は、他の教科書あるいは旧版にはない最大の特徴。これは大きな舵を切ったな、と思う。
    図書・図書館史全体に通底するものに触れようとする・・・というのは主編者がかなりの章の記述に関わっていることとも関係するのだろうか。
    事実羅列的な記述にとどまらないのはもちろん、各国史の中での関係性にとどまらず解釈的な記述を挟もうとするのは意欲的で良いと思う。
    それが最後にあるべきか、という点は・・・「はじめに」にもあるんだけどそこだけだとどうしても薄くなるしなー、うーん。

  • 「図書館・情報施設に携わるものは,図書館の成り立ちを知り,自己の立ち位置を把握する必要がある。図書館の歴史理解のために,「知識の集積」の変遷に着目して古代・中世・近世・近・現代のわが国における,「知識」「図書館」の輸入と発展について,時代背景を含めて記述した。」

  • 【電子ブックへのリンク先】
    https://kinoden.kinokuniya.co.jp/muroran-it/bookdetail/p/KP00007540/
    学外からのアクセス方法は
    https://www.lib.muroran-it.ac.jp/searches/searches_eb.html#kinoden
    を参照してください。

  • 他の教科書と比べて詳しく書かれている。中国の図書館史の記述が特徴的である。初めて学ぶ人は他の薄い教科書を読んでからチャレンジしたほうが良いと思う。概観を持ってからこの本を読むと、図書館史の知識がさらに深まる。

  • 「電子媒体は紙媒体に比べると情報発信が簡便で,伝達・通信が容易で速度も速く,情報の複写が容易である。これは紙が出現したときの,パピルス・羊皮紙と比較したときと同じ状況である。電子媒体は今までの文字媒体の発展の延長線上にある動きで,紙出現時と同じように社会の同時性が一段と進むと考えられる。さらに電子媒体は「物」の複写も容易にし,現象的には博物館,図書館の再融合の動きに関連している。」

    日本と外国の図書・図書館史を丁寧に解説していて、とてもわかりやすかった。
    他の図書館史の本ではあまりページが割かれない中国や、ほとんど書かれないインド・イスラム圏などもしっかり書かれていて、読みごたえがある。
    図書館史を踏まえてこれからの図書館を論じる最後のまとめには気迫と熱が感じられ、それもまた良かった。

  • 他の教科書と比べた場合、中国の記述が厚いように思える。

    Ⅰ編 古代知識の集積と図書館のはじまり
     1章 知識集積の形・知識の蓄積
     2章 ギリシャ思想と古代ローマの図書館
     3章 古代中国の図書館
     4章 インド・ナーランダ大学図書館と仏教伝播
     5章 古代日本の図書館
    Ⅱ編 中世社会の思想と図書館
     6章 宗教図書館と大学
     7章 宋・元代の図書館と中世日本の文庫
    Ⅲ編 近世図書館思想の広がりと様々な図書館
     8章 ルネッサンスと図書館思想
     9章 近世日本の文庫活動
     10章 明の永楽大典と清の四庫全書
    Ⅳ編 近・現代社会と図書館
     11章 近代社会と図書館
     12章 日本の近代化と図書館
     13章 20世紀の図書館
     14章 第二次世界大戦後の日本社会の動きと図書館
     15章 これからの図書館

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