平田弘史のお父さん物語

著者 :
  • 青林工藝舎
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本棚登録 : 36
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883791767

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに読み返しましたがめちゃくちゃ面白い。僕が平田弘史先生を知ったのは竹熊さん経由でして、「それがし乞食にあらず」とか時代劇画も何冊か持ってるんですが、一番面白いのはこれ。というか手持ちの漫画の中で一番好きかもしれない。今で言うところのコミックエッセイというやつかな。
    奥付を見るとこの青林工藝舎版は2005年初版なので、たぶん出てちょっとしてぐらい、翌年ぐらいに購入したんだと思う。Amazonを見るとプレ値になってましてアホかと。「童夢」といい重要な作品ばかりが絶版になってるクールジャパンの現状……。まあこれは大友先生の意向かもだけど、赤塚先生の最重要作品「レッツラゴン」も復刊ドットコムされたは良いが高くて手が出ないよ、と。

    ウチには平田弘史先生の作品はあるが大友先生の作品はなくてですね、最近ようやく大友作品をちょこちょこ買ってるとこです。で、大友先生はやたらと評価されますが、ま、そりゃ当然なんだけども、大友先生を生んだのは手塚・石森の流れと劇画の融合、あと映画!だと思います。大友先生も映画監督になりたかった人だし、漫画の世界で映画をやってるんだと思う。
    大友先生は絵が上手い絵が上手いとされてますが、平田先生の方がめちゃくちゃ上手いんじゃねえの?と最近ふと思うんですよ。トニーたけざきも大友以降の人ですけど、平田先生の影響がかなりあるんじゃないかな。全部つながります。

    さて本の内容だけども、我々も普段生きていて「なんで生きているんだろう?」と考えることがあるじゃないですか。特に思春期ね。僕なんかもついつい考えこんで、思い悩んでしまうタイプです。
    「なぜ俺は…?なぜ人間は…?なぜこの世界は…?なぜこの宇宙は…?おお、神よ!!」と、いうようにですね、悩んでいると話がどんどんスケールアップしてくるんですね。で、そういうのを簡単に言うと「哲学」だったり「宗教」と呼びます。
    そういう時、ある人は本を読んで先人たちの言葉から知見を広げようとしますよね。しかし僕なんかはあまり読書をしないタイプだった。だから自分の頭の中だけで考えちゃう。
    平田先生も全く一緒で、この本は哲学書なんですよね。平田先生の脳内で考えたこと、大概こじつけなんだけども笑、それを延々と記している。まああの、平田先生は元天理教なので、やはり哲学とか宗教観とか、常に色々と考えるたちなのかもしれないです。

    似ていると思ったのは早川義夫のエッセイとか。とにかく純粋なんですよ。あと田中泯さんとか。そういう人たちと非常に近い匂いがする。
    また平田先生の奥さん(お母さん)のひとことが最高に良い。あと犬の話で泣いてしまった。
    悩んでるとき、何年かに一度は読み返す本ですね、これは。

著者プロフィール

時代劇画一筋に描き続け、第一人者として国内外で高い評価を集める漫画家。

「2016年 『平田弘史 超絶サムライ画の描き方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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