ダゲレオタイピスト―銀板写真師

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著者 : 鳩山郁子
  • 青林工藝舎 (2009年3月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・マンガ (173ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883792801

ダゲレオタイピスト―銀板写真師の感想・レビュー・書評

  • 「死後を撮った写真」と「生前に撮った写真」。読んだ後、写真の質量が心理的にぐっと重くなった。

  • 漁夫の未亡人はニットを編み続けるって言うのが怖い。
    手持ち無沙汰になってなにかせずにはいられないというのは分かるけど、毛糸玉を入れておくケースが手枷みたい。乙女っぽいかわいいケースなんだけど。
    編んでいる毛糸の色によって明らかに未亡人(海で漁師の旦那さんが亡くなった)ってことが分かるのも露骨過ぎて辛いだろうな……。
    今回、女の人が出る比率が多い気がする。
    毎回、10代の男の子ばかり(それと、20代後半から30代くらいの青年)が出る話が多いので新鮮だった。
    「メメント・モリ(死を想え)」がテーマの本を探すと、大体亡くなった子供をきれいに着飾って、あたかも生きていて、眠っているかのようにして写真を撮るっていうのが多いんだけど、これは辛い。
    親もこれが最後の子供の写真だと思って精一杯おしゃれさせるんだろうし、でも、当の子供はもう亡くなってるしで。一番かわいい姿で写真になって手元に残るから、少しは慰めになるんだろうか。
    でも辛い。
    主人公のアーネストは亡くなった弟ダニーの写真(銀板写真師に撮影してもらって、ダニーが大好きな海のイメージの裝飾をしてもらってケースに入ってる)を見ていて、母親に「そんな目で弟の写真を見ないで!」と言われて家を飛び出してしまうのでした。
    自分が「死んだ鳩がついてきているぞ」と言ってからかったせいで死んだダニーを見て後悔して悲しんでいたというより、銀板写真自体に興味がいってる、完全にものを見る目みたいなのだったから母親の神経に障ったのかも。
    銀板写真師の人は撮影のためには被写体に数分じっとしておいてもらわないと写せない。
    生きている人を写すには、じっとしておいてもらわないといけないのはもちろんだけど、写したところで、じっとしなければいけないとか写真を撮ったら魂を抜かれる思い込みとかの緊張で被写体の人の表情が物凄くこわばるし、よほどじっとしていないと写真はぶれる。
    それこそ亡霊みたいな、生気のない写真になってしまう。
    生きた人を写したいという思いはあったけど、そういうことからうまくいかないというジレンマ。
    しまいには、写真をけなされたり非難されたりして商売が成り立たないし、写真師本人もやる気を殺がれてしまう。
    動かない被写体=遺体を写すことは、田舍ではまだまだ需要があった。
    遺体撮影という商売をしながらも、やっぱり写真師は生きた被写体を撮影したいと思っていた。
    ダニーを被写体にして写真を撮ったけど、結局は思ったとおりの生き生きした写真にはならなかった。
    最後にアーネストに動かないよう指示して写真を写して、写真師はそれをずっと現像せずに手元に置いておく。
    多分、アーネストの写真も以前と同じく死人の写真みたいになるのが嫌で現像できなかったのかも。
    何十年か何百年か後、骨董屋さんから銀板写真を引き取った教授が現像を試みたところ、銀板にはアーネストの姿が浮かび上がってくるのでした。
    写真師、最後でちょっとだけ報われたと思う。

  • 眼前で溺死した弟ダニーを写すために、ダゲレオタイピストのフレイザーが来る。
    母に拒まれ罪の意識に揉まれ「自分の姿を見たい」と苦悩するアーネストは、フレイザーに自分を撮ってほしいと懇願する……。

    長時間の露光を必要とするため、暗い部屋(カメラ・オブスキュラ)と動かない被写体を必要としたダゲレオタイプは本来的に、
    死者を撮影するための定着方法……
    そしてそれが廃れたのは死を日常の外に置こうとする社会のあり方とも連動している……
    銀板写真は死者とともに消えていったのだ……
    という眼も眩むような思想。
    そして愛する相手をひとりじめしたいという欲望……
    アーネストの凄惨な美しさ……

    「月にひらく襟」を読んでぴんとこなかった鳩山郁子だが、これは凄い。

    カバー表紙の装丁の美しさも白眉。

  • 鳩山の長編ならこれが一番

  • ・収録作品・
    The Window of fishrman can't stopknitting
    ダゲレオタイピスト

    銀板に刻まれた永遠の少年たち・・・

  • むずかしー!
    かんじよめない!
    またよみなおします。。。

  • 毎ページ同じコマ割に形式があるみたいで面白いです。
    表題作はいきなりな展開に「サービス?」と思うところあり。大きなストーリーはこれまでどおりラストまで一貫しています。

  • (2010/11/20購入&読了)

    京都 恵文社一乗寺店にて購入。

    マンガ。この陰鬱さ癖になる。

  • うつくしさに魅入られた。

  • あんまり綺麗な装丁なので、買ってきてすぐにビニールカバーかけました。

  • 繊細な芸術とか好きな人にはおすすめ。
    こわいくらいきれい という系統。
    で、あと少年&かわいそうなおじさま好きにおすすめ。

  • 本当に本当に素晴らしかった…!
    どの作品も鳩山さんの作品は、ストーリーも取り巻く世界観も凄く好きだったんですが、この作品の読後はまた独特でした。
    傑作です。

  • ダゲレオタイピスト―銀板写真師

  • 銀盤写真。
    編み物。
    いつだって単なる物の背景にすごく多次元的なイメージを膨らませるこの人はすごい。

  • 月兎社でサイン本を購入。哀しく儚くも美しい物語2篇収録。『Sleeping Beauty』を手に入れたくなってしまった。

  • 恐ろしく澄み切った黒い死の水面。読者はそこにかすかに生まれる切ない波紋が消えていくのを息を潜めて見つめるしかない。そんなおそるべき漫画たち。漫画が二篇収められていますが、どちらも水と死と逝ってしまった人の影に魅入られていく人々があります。「The widow of Fisherman can't stop Knitting」は嵐の海色、未晒しの生成り色。「ダゲレオタイピスト 銀盤写真師」は黒・銀。とその色味が大変美しい。また鳩山郁子といったら少年ですが、「The widow of Fisherman can't stop Knitting」ではなんと寡婦が主人公!鳩山は実は女性が一番上手いのでは・・・と思えるほど、女と少女を行き来するような主人公は魅力的です。「ダゲレオタイピスト」は悲劇の少年の心の機微が切なくも、それに魅入られるおじさんが主人公。時を経て少年の魂は真実を見いだせるのか?鳩山の発刊ペースが順調でとってもうれしい近年ですが、どんどん物語としての精度・純度ともに素晴らしくなっていって信じられない嬉しさです。モノに思いを馳せるのが好きな人には、是非読んで欲しい死と追憶の漫画。

  • 寡婦の話よかったなあ。
    「嵐の海色」と「未晒しの生成」の対比がキレイで。
    鳩山の描く顔は、実は大人の女性が一番美しいんじゃと
    密かに思ってる。
    サンドウィッチの話の時も、
    諫山の母が美人で好みだった(笑)

    死を匂わせる紺・白・黒・銀が織りなす、
    呼び声の残響を写し取った物語二篇。
    絶品!

  • 相変わらず、鳩山様の描く少年は素晴らしい・・・。
    おっさんに萌える漫画かもしれません。

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