美しいこと(下) (Holly NOVELS)

著者 :
  • スコラマガジン(蒼竜社)
4.38
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本棚登録 : 1257
感想 : 123
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883863433

作品紹介・あらすじ

松岡が気になる感情が、友情なのか恋なのかを知りたい。そう感じた寛末は松岡と頻繁に会うようになる。寛末にとって、明るくて楽しい松岡と過ごす時間はとても居心地がよかったが、その一方で、仕事ができて社交的、女性にもモテる松岡が、どうしてこんな自分を好きなのかと、卑屈にも感じていて…。そんな折、社内で大きな人事異動があり…。恋に落ちた二人の切ないラブストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 感動作。涙が止まらなかった。恋愛もので人が死なずに、ここまで感動するものは中々ないのでは。恋愛だけでなく、松岡と寛末の仕事のキャリアの対比が明確で、仕事が辛い人にもすごく刺さる内容だと思う。日高ショーコ先生の挿絵も素敵。
    松岡がいい男すぎて、上手くいかない恋が読んでいて本当に辛く切なかった。完全ヘテロだった寛末の友情から恋愛になる切り替わりが早いけど、恋愛とはこういうもので、何かのスイッチでその人が急に愛おしく感じるようになるんだろうと感じた。後半の間接タバコのシーンは秀逸。
    途中の切ない展開をずっと見ていたからこそ、最後に2人が結ばれる展開はこちらまで幸せな気持ちに。もっと甘々な彼らを見たかったなあ…2人の未来に幸あれ。

  • [BL作品につき苦手な方ご注意ください]デキる男松岡は嫌な男ポジションのはずなのに、可愛い、可哀そうと思ってしまうのは木原さんの筆力なのでしょう。正直、「美しいこと」の終わりはBLにあるまじき苦さですが、一般小説として確かにここで終わりもありですね。収録の「愛しいこと」は後日談で、寛末視点で多少読後感は変わりましたが、それでも読んでいて寛末の狡さは辛いです。がっつりBLを読んだつもりが、いわゆるBLのお約束や王道とはかけ離れているのは痛快なほどです。そんな木原作品、やっぱり好きだなあ。

  • まだ3~4作しか読んだことないけど木原作品で初めての高評価。
    世渡り下手で優柔不断な攻めが女装していた受けに本気の恋。男とわかり、姿かたちで好きになったんじゃないのに、受け入れられない。お互い、逃げられれば追いすがる、追われれば逃げる。さすがに攻めが田舎に帰ったときは、もう『無い』だろうと踏んでいたが、再び受けに会おうとする神経がわからない…いや、本人もわからないと言っているのだから間違っていないけど。
    完全ヘテロだったのに、終盤の攻めの変化が手に取るようにわかった。女装していた受けに恋していたような熱量が戻っていったのが自然に伝わってきたのでこれが木原マジック?と一人で感動していた。

  • 主人公が女装趣味があるという設定がある故に単に相手を好きになるだけでなくそれが「男性である」ことにも話が向いていたり、ただ単に好き嫌いの問題ではないところや人間のエゴなんかを誤魔化さずにしっかり書いているところがいいなと思いました。

    前半のレビューでも書きましたがひたすら「恋」に的を絞っていて、二人がどういう経緯でゴールインするのかが重要な物語です・・・
    捻れたまま始まった関係から、三歩進んで二歩下がりを繰り返しやがては一つの結論にたどり着く二人の物語は焦ったくもあり、合間の繊細な心理描写に切なさもあり・・・はっきり言ってとても面倒くさい(笑) まさにこいつら「恋」してるなぁといった印象でした。
    散々引っ張った挙句締めくくり方は妄想の幅が無限に広がる一番良いところで終わるときました。
    なんということだけしからん、と壁ドンしたくなりました。

  • 寛末視点が多くなる下巻。
    寛末視点だと、寛末ってホントダメな男・・・。
    松岡自身も言っていたけど、他にいい人がいるはずだよ・・・。
    優柔不断でずるすぎるよ・・・。
    「お願いだから・・・・・・俺が寛末さんの事好きだってことを、逆手に取らないで・・・」
    って泣いちゃうシーンがすごくグッときました。

    寛末はあんまり信用できないけれど、
    松岡が幸せになれるのは彼しかいないのなら
    もうしょうがないか・・・と言う心境でした。

    ラストは寛末から追っかけて行って
    また捕まえられた松岡でしたが、
    その後の幸せが心配すぎて、小冊子「愛すること」も
    電子で買ってしまいました。
    はああ・・・甘くて最高だった・・・。
    色々あって寛末には腹立たしく思いますが
    最終的に幸せになったから許します。

  • 文庫読んで二人の関係の続きが気になり。寛末が相変わらずうだうだと煮え切らない状態がこんなにも長く続くとは思っていなかったので、寛末遅い、遅いよぉぉと悶えながらまたもや一気に読了。上巻(文庫)は恋に舞い上がりその後盛大に戸惑う寛末にキュンでしたが、下巻は恋する松岡可愛いすぎて……。ラスト、松岡がすっかり疑心暗鬼になって、うまくいきすぎてて不安、からのどうしようもなく好きの描写に萌え死にました。ハッピーエンドで本当によかった。

  • 松岡のけなげさが上に引き続き切ない。
    寛末さんは相変わらずぐずぐずしてるしイライラするけど、でもこの切なさとみっともなさがこの作品の良さだと思う。
    二人の感情の動きがとてもリアルでハマりました。

    美しいこと前篇後篇のみを収録した文庫『美しいこと』も出ていますが、これには『美しいこと下』に収録されている「愛しいこと」が入っていないため、読み終わってもすっきりしないかも…
    絶対「愛しいこと」も読むべき!!

  • 日高ショーコさんの挿絵も素敵だし、仕事もできて容姿端麗の本来なら超モテ男のはずなのに、優柔不断で冴えない男に恋をしてしまって振り回される様とか、優しさと優柔不断さが同居してるがゆえに、相手を振り回しまくり傷つけまくる様とか、もうほんとうにああもう!って感じなんだけど、読み始めたら最後まで絶対止まらないし(木原さんの作品は大抵そう)、ああもう!っていう感じが生っぽい。実際はスマートになんかいかないものね。ほんと“普通”の恋愛小説って感じ。物語として成立させるとなると“普通”って難しいと思うんだけど。

    ちなみにこの小説、装丁が日高ショーコさんではない、文庫でも出版されているんだけど(見た目は完全に一般小説)(でもとりわけ同性だからどうこうっていう括りはもうこの小説には必要ないような気もする)、少し前に電車のつり革広告でどどんと宣伝されていたな~。この方はBLというジャンルで敬遠している人がいるのだとしたら、とてももったいない作家さんだから、こうメジャーになって嬉しかったけど、ちょっと切なくもあったなあ。間口を広げるという意味では購入しやすくて良いと思うけど、やっぱり美しいことの挿絵は日高さんだと思う。

    何度かCDを聞いたし、小説も何回も読んだ。新しい作品が次から次へと出てくるけど、結局もっかい読みたい!とかもっかい聞きたいってなるのはほんのひと握り。泣けた!!とかって帯にコメントが書いてある小説で泣けることなんてほぼない私が、これを読んでると胸がきゅーっと締め付けられて泣けるんだよなあ…この本は一度読んでしまうとしばらく出てこれないね、囚われる。

    木原さん初心者にオススメの1冊。
    小冊子「愛すること」も拝読済み(CD化難しいかな…)。

  • 文庫には未収録の「愛しいこと」のために。文庫の終わり方は、あれはあれで一つの幕だとは思うけど、やっぱりここまで無いと片手落ちだわ、画竜点睛を欠くだわ。こちらは寛末の視点。仕事の上で相手との格差、焦り、不安、それによってだめになる関係がとてもよく解るし、可哀想だとも。でもな~、おい!はっきりしやがれ!腹括れ!と蹴り入れたくなったw。これからがまた超えねばならない事情が山ほどあるだろうが、先ずは再就職ガンバレ。…あ?えっ?「愛すること」ってのもあるんですか?ナニソレ、一気に本にしてよーーっ!

  • 松岡がただただ可愛い。愛しいというのはこういうことなんだなーと

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著者プロフィール

高知県生まれ。1995年「眠る兎」でデビュー。不器用でもどかしい恋愛感情を生々しくかつ鮮やかに描き、ボーイズラブ小説界で不動の人気を持つ。『箱の中』と続編『檻の外』は刊行時、「ダ・ヴィンチ」誌上にてボーイズラブ界の芥川賞作品と評され、話題となった。ほかの著書に『秘密』『さようなら、と君は手を振った』『月に笑う』『ラブセメタリー』『罪の名前』など多数。

「2022年 『コゴロシムラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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