夜をわたる月の船 (Holly NOVELS)

著者 :
  • スコラマガジン(蒼竜社)
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感想 : 46
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883863761

感想・レビュー・書評

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  • 死にたいって程の気持ちは、
    どんなに他人が止めようと思っても止められない事が往々にしてある。と言う事を思い起こされた。
    どうして、この気持ちが伝わらないんだろう、と
    生きてほしい、と言う気持ちを伝えたいけど伝わらないもどかしさが苦しかった。
    限界を超えてしまった人にとっては押し付けでしかないのも、頭の隅で何となく分かる気もするけど
    やっぱり出会ってしまって、動いてしまった気持ちは止められないよね、、、。
    題名がとても綺麗ですが、最後まで読むと
    より綺麗だなぁと染み入る。
    跪いて足に口付けをするシーンも、とても綺麗だと私は思っていてお気に入り。

  • 題名からつい、池田聡さんのあの美しいメロディラインを想起してしまったために、読み進めて即刻のけぞるハメに。
    …魔性の白髪おじさん、こわい。

  • 重くて暗い内容で、ストーリーがどう進むのかヒヤヒヤしながら読みました。主人公の男に対して抱く感情が変化していく過程に不自然さも強引さも全くなく、木原先生凄い…と改めて思いました。

  • す、すげ〜〜話でござますよ、コレ。ホントにこの人ってば、人に巣食う心の闇を描かせたら、天下一品ですわなあ。うひゃあ、って感じです。

  • 木原先生の作品はこの、あまりにも人間臭すぎる男が出てくる話が好きなところなのですが、今回も攻めの河瀬もまた然り。殺したいほど憎んでるはずなのに情がわいて柴岡を手放せなくなってしまったり、自分のことは棚にあげる、他人の目を気にする、見栄っ張りなど柴岡もなんども言うように彼は「普通」なんですよね。柴岡と出会わなければ「普通」のまま人生を過ごせたのに、柴岡というプッツン系リーマンに捕まってしまってかわいそうだが、読者はたのしい!これからも柴岡のことを憎みながらも可愛がるんだろうな。

  • おっさんの魔性が炸裂。普通じゃないって、怖い。

  • 穏やかそうな表紙とタイトルだなーと読み始めたら
    結構初っ端からキッツいです。

    上司である受けが強引に攻めに関係を迫るけど
    攻め視点でのセックスがめちゃくちゃエグい。
    BLでのレイプって大概はSFみたいに
    「嫌だったけど気持ちよかった★」となるけど
    あんなに壮絶に嫌がってるとは…。

    良くも悪くも精神が健康で普通な攻めは
    その後故意ではないけど交通事故に遭わせてしまい
    罪悪感を感じてしまうのですが、
    その罪悪感をきっちり押してくる受け。
    色々と怖い。

    傍目からはきちんとして見える受けが
    壊滅的に生活力がないのは哀れでした。
    母子近親相姦にあったうえに、
    きちんと子育てしてもらえなかったんだな…
    旦那だと勘違いしてたからなんだろうな…
    病んでいたとはいえ、母はひどいなぁと思います。

    もちろん父はもっともっと最悪だけど、
    14やそこらで妊娠する母もなぁ…

    受けの生い立ちは可哀想なんだけど、
    受けを可愛いという気持ちには至らず…
    50間近のおっさんが(いくら日高絵でも)
    全裸ですり寄ってセックスをせがむのは
    若干グロテスクな絵面…。

    あんなに嫌がってたのに攻めが受け入れた気持ちは
    あんまりわからないし、
    受けが攻めを何で好きなのかはよく分かりませんでした。

    それよりも母を妻として受け入れて愛していたのに
    裏切られてエピの方が萌えました。(BLじゃない)

    攻めがお人好しだなぁと思う作品でした。

  • この作品で何より印象的だったのはそつがなく穏やかな雰囲気のおじさまという外面からは想像も出来ない底知れない黒さを持つ柴岡の存在です、実際にいたら面倒臭いことこの上ないですがこの話の中ではそれがとても面白いです。
    心理が読めず不可解で不気味さも感じられる・・・それは読者も主人公も同じで、まるで2人を少し遠目から傍観しているかのようなリアリティがありました。
    救いはありそうで無いようなモヤモヤが残るけど、今後彼らが辿るのは本編よりは距離が縮まった展開なんだろうなと漠然と感じられる終わり方でした。脳内妄想が美味しいです。
    かなり柴岡が特殊なので人を選ぶかもしれませんが私は割と気に入っています、ただ少しスピード展開な気がしたので星三つにしました。

    この作品に限った事ではないですが木原さんの作品はヒトの抱える闇というか、物語なのに妙にリアリティがある人間描写が怖くもあり、かといってページをめくる手は止められない・・・そんな読み進めるうちにどんどん深みにハマっていく魅力があります。
    あと憎しみから愛情に変化する決定的な分岐点がない描写の仕方が好きです・・・別の色を少しずつ垂らして色を変えていくようなじわじわ侵食していく感じが好きです。

  • 半世紀近く生きたおじさまがまぁ素直な子で!!!
    嬉しくて目が治っちゃって、それに落胆してまた死のうとしてるのが面白かった。
    自分の単純さに辟易してるんだろうなーww
    不幸しか知らないから未来が怖くて仕方ないって思考形態は可愛いとは思うけど、めんどくさいよ!!!

  • 痛くて重くて壮絶なトラウマが あって、パワハラがあって虐待 があって…ものすごく読んでる のがストレスになりました。な のに、読みやめることが出来な い(>_<) どうなってしまうの か、どんな答えを出すのか、最 悪のことも想定に入れて、読 了。正直、萌えどころはありま せんでした。でもストーリーに はとにかく引き込まれるし。。 まるで柴岡の抱える底なし沼に 引き込まれて行くような( ・_・;) 河瀬は完全に救うことが出来た のだろうか?読み応えのあるお 話でした。

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著者プロフィール

高知県生まれ。1995年「眠る兎」でデビュー。不器用でもどかしい恋愛感情を生々しくかつ鮮やかに描き、ボーイズラブ小説界で不動の人気を持つ。『箱の中』と続編『檻の外』は刊行時、「ダ・ヴィンチ」誌上にてボーイズラブ界の芥川賞作品と評され、話題となった。ほかの著書に『秘密』『さようなら、と君は手を振った』『月に笑う』『ラブセメタリー』『罪の名前』など多数。

「2022年 『コゴロシムラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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