金子みすゞ名詩集

著者 :
  • 彩図社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883928026

感想・レビュー・書評

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  • 読んで改めて思う。
    金子みすゞは天才だと。
    こんなにも無邪気で、透徹した目線で、それでいて詩としての完成度が高い。童謡詩人と言うだけあって、子どもにも口ずさんで読んであげたい詩ばかりだ。もちろん、大人になって読んでも響く。
    有名な「私と小鳥と鈴と」や、「こだまでしょうか」も収録されており、充実した一冊だ。
    私は特に序盤に収録されている詩が好きで、「大漁」の鋭さ、「お菓子」のやっちゃった背徳感の描き方、「こころ」の母親を寛大な目で見ている幼い子ども心、「不思議」の不思議に思うことを当たり前と言われることすら不思議と捉える純真さ、「二つの草」のお互いの立場が違う故に分かたれる物悲しさとそれでも知らずに隣にいるという事実の尊さ…語り始めればキリがない。
    中でも一番好きな「土」を引用させていただいて〆る。

    ーーー


    こッつん こッつん
    打たれる土は
    よい畠になって
    よい麦生むよ。

    朝から晩まで
    踏まれる土は
    よい路になって
    車を通すよ。

    打たれぬ土は
    踏まれぬ土は
    要らない土か。

    いえいえそれは
    名のない草の
    お宿をするよ。

    ーーー

    …なんと優しいうただろう。

  • 「私と小鳥と鈴と」が好き。
    淋しさが滲み出たり哀愁の漂う詩が多いので、どこか物悲しい印象のある本。
    言葉の力を想いながら、大切に読みたい1冊。

  • 【1回目】Kindle Unlimitedにて。平易な言葉遣いながら、鮮烈な印象を与えてくれた。「100分de名著」で取り上げられたのにちなんで手にしたもので、松本侑子さんの「名」解説に手助けられながらの読了。何人かの方々と「音読」したのがよかったのだと思う。様々なバージョンがあるようで、それぞれの編集意図についても読んでみたいと思った。

  • 以前に合唱曲で何作か触れたので、この機会に他の作品にも触れてみたかった。

    『硝子は 空っぽのように すきとおって見える。 けれども たくさん重なると、 海のように青い。 文字は 蟻のように 黒くて小さい。 けれども たくさん集まると、 黄金のお城のお噺もできる。』(硝子と文字)

    優しく繊細ながら、時折はっとするほど鋭い観察眼も覗かせる瑞々しい言葉達。
    なぜ自死を選ぶに至ったのか、作者の人生も気にかかる。

  • こだまでしょうか いいえ、誰でも

    に感銘を受けて手に取った。

    とても身近で小さな気づきで、素朴で愛情のある詩が多く、とても思いやりのある人なのだなと思った。

    「つもった雪」がおすすめ

    • hs19501112さん
      自分も「こだまでしょうか」が、とても好きです。

      ただ・・・「こだまでしょうか」を読むたびに東日本大震災を思い出させられてしまうのが、珠...
      自分も「こだまでしょうか」が、とても好きです。

      ただ・・・「こだまでしょうか」を読むたびに東日本大震災を思い出させられてしまうのが、珠に瑕ですが(苦笑)。
      2018/05/30
  • 金子みすゞ、この高名な詩人の作品を永らく読んでいなかったことを恥じる。常に平易な言葉で語られているが、素晴らしい抒情性豊かな詩が多い。
    私と小鳥と鈴と
    夜ふけの空

    海へ
    星とたんぽぽ
    金魚のお墓
    浜の石
    積った雪
    などが印象に残った。
    もう一人の郷土の詩人、中原中也に勝るとも劣らない。素晴らしい詩人だ。

  • 「こだまでしょうか」「大漁」「私と小鳥と鈴と」も入った詩集。声に出して読むと自分の声がきれいになったような気分になるので嬉しかった。金子みすゞが山口出身なので、九州に愛着がある私としては言葉のリズムがなじみ深い。子どもような純粋な目線で生と死が鮮烈に描かれていて面白い。26歳で自死を選んだのは死に囚われすぎてしまったからなのだろうか。

  • 「積もった雪」
    上の雪、さむかろな。つめたい月がさしていて。
    下の雪、重かろうな。何百人ものせていて。
    中の雪、さみしかろな。空も地面もみえないで。

    こんなにあらゆる事に、気持ちをはせることが出来るって本当に素敵。ちょっとほっこりしたときにパラパラめくりたい詩集です。

  • 2014.2.26
    小さな動植物に対する深い愛情や悲しみ、そして子供の持つ独特の感性などが、みずみずしい言葉で綴られています。
    星とたんぽぽ
    青いお空の底ふかく、
    海の小石のそのように、
    夜がくるまで沈んでる、
    昼のお星は眼に見えぬ。

    散ってすがれたたんぽぽの、
    瓦のすきに、だァまって、
    春のくるまでかくれてる、
    つよいその根は眼にみえぬ。

    見えぬけれどもあるんだよ、
    見えぬものでもあるんだよ。

  • 前半の詩には、どこか教条的というか、話題になったCMのような使われ方をされたとしても無理もないような気がした。
    後半になるほど、美しい詩が増えた。これは年代順なのかしら。

  • 命、自然、小さなもの、事象一つ一つに目を向け、宝物のように大切に取り上げる。
    作者の慈しみ深さ、洞察力にハッとさせられる作品の数々でした。

  • 「私と小鳥と鈴と」で名前は存じ上げていましたが、他の詩は読んだことがなく読んでみました。私は全体的に深い悲しみを感じました。その理由は詩から読み取れます。

    特に好きな詩は「露」、「灯籠ながし」、「積もった雪」です。

  • 簡易な文章で心を打つ。なぜだろう?

  • 「海の中では何万の鰯のとむらいするだろう」
    鰯の立場に寄り添った名文。
    金子さんの優しさを感じる。

  •  女性の地位が低い時代に、金子みすずのように自分なりの生き方と生きがいを見つけて生きていた女性がいたことはとても勇気づけられる。彼女の詩は詩に親しまない私にも難しくなく、心に真っ直ぐに向かってくる聡明な詩であった。だが、彼女の人生を知るとそれも全て痛ましさに変わってしまった。
     彼女の人生を知ってからというもの、それまでは触れたとたんに安心と涼しさが溢れてきた彼女の詩も、深い悲壮感のスイッチになってしまった。
    美しい詩にはそれなりの理由がある。

  • こういう感性、言語感覚をもった人を天才って言うんだろうな。

  • 2022.07.25(月)晴@名古屋

  • 投げかけられた言霊が、宙をさまよい、私の胸に響いてきました。

  • 詩人金子みすゞの残した作品には、深い愛情や悲しみ、子供独特の感性などが、やさしく、みずみずしい言葉で綴られています。
    金子みすゞの名詩93編が収録されています。
    こころに響きます。

  • 東日本大震災の際に『こだまでしょうか』が流されて、気になっていた詩人です。
    みすゞさんの詩は優しく心に染みる。でもちょっと寂しさも含まれ、それは彼女の育った環境によるものなのかもしれません。
    『私と小鳥と鈴と』の「みんなちがって みんないい」この言葉を読むと、大袈裟ですがなんか許されている、そのままでいいよ、と言われているような気持ちになります。今も制限の多い時勢で、そんな時こそ彼女の詩に触れてほしいです。

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著者プロフィール


山口県生まれの童謡詩人(1903~1930)


「2018年 『混声合唱組曲 みんなを好きに』 で使われていた紹介文から引用しています。」

金子みすゞの作品

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