ナチスの発明

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  • 彩図社
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883928170

感想・レビュー・書評

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  • オーディブルで読了。
    ナチスが発明もしくはいち早く実装したテクノロジーや社会制度について、短いセンテンスで網羅的に列挙した本。
    雑学本的なものだと思ってよい。
    個人的に面白かったのはナチスが娯楽に力を入れていたこと。ついつい娯楽と政治を切り離して考えがちな現代日本人はこのことを心の隅に留めておく必要性があると思った。
    勿論、アメリカが反ナチスの映画を多く作ったことと映画界にユダヤ人が多くいたという逆方向のプロパガンダも含めてである。
    ここ数年、ビジネス本でアート思考が持て囃されているいるが、ヒトラーにしろナチスの幹部にしろこぞってアート系なのも時代の先を行っていたなと思う。

  • タイトル通り、ナチスがどのような発明をして現代の私達に恩恵があるのかを書いた本。
    前半は、ナチスの発明したアウトバーン(高速道路)、ロケット、フォルクスワーゲン(車)などが出てきて、思ったより現代社会に影響を与えたのだと勉強になった。
    しかし、後半はなぜナチスは破滅に向かってしまったのか?など歴史的な内容になっており、タイトルに惹かれて読むと半分の内容だった。

  • 発明品がひとつひとつ解説されている本かと思ったが、ナチスの経済製作や外交などの話も多く同著者の『ヒトラーの経済政策』と内容が重なっている部分もあった。
    効率的な飛行機の形について研究段階の当時は円盤状のものも模索されており、それがUFOの目撃証言だったのでは説、や、ナチスで原爆はほぼ完成していたが使うのをためいアメリカに情報が盗まれて使われた説、など聞いたことがなかった話も多く興味深かった。
    本書は、疑わしいがこういう見方もあるとしての紹介という形だったり、ナチスによる非人道的な行動は行われたということはきちんと批判したり、と変な右翼的なトンデモ立場ではないのが良い。

  • ユートピアを目指した遺産の数々。
    理想国家を目指すものには恩恵も少なからずあることがわかる。
    どの時代においても先鋭性を全否定せずに、良いところは良いとピックアップすると真似してもいい箇所はあるのだろう。
    国民国家というベクトルが同じ方向に向いた時の力強さを感じた。

  • 時節柄、まずいタイトルの本ですが、、たまたまこの時期に読み終わったということで他意はない前提で書評をしますと、日本屈指のナチス研究ライターの武田知弘氏によって描かれた、(問題となっている)ナチスの思想面や戦争面ではなく、科学技術、社会科学における先進性とその後の世界に対して及ぼした影響について考察をした本。

    極端に先進技術を信奉したナチスは、ミサイル、ジェット機、合成石油、スピーカーとマイク、ヘリコプター、電子顕微鏡、コンピューターの原型の有効活用などの「世界初」を確かに連発している。

    また社会文化的にも、アウトバーンの整備とフォルクスワーゲンの大量生産によるモータリゼーションの到来、上記の音響技術と党大会の演出によるライブ技術の飛躍的発展、ガン撲滅対策やアスベストや合成着色料の禁止などの福祉政策、源泉徴収や財形貯蓄等の税制改革など21世紀のいまの社会において定着している諸制度もナチス発のものが数々あり、それがどのような背景や思想の基に作られたかを解説している。

    結局、ナチスは思想上のグロテスクさを、科学技術上も取り入れ、科学技術においては思想上のそれを廃除して現代にも見事に生き残ったことが伺える。この巨大な矛盾の塊である第三帝国や当時の世相など、そこでは実際に何が起きていたか、まだまだ研究する余地があるように思えた。

  • アウトバーン(高速道路)
    フォルクスワーゲン(ナチスとポルシェの合作)
    宇宙開発
    ジェット機
    飛行船(ツェッペリン)
    リニアモーターカー
    テレビ放送(娯楽番組も充実)
    ラジオ(国民受信機301という安いラジオが民衆に普及)
    テープレコーダー
    化学製品(ゴム、衣類を科学で造る)
    バカンス(労働者にも長期休暇、金持ち特権の打破のため)、格安パック旅行
    聖火リレー
    がん撲滅対策
    自然農法
    義務教育の制定

  • 範囲は広く浅くなので雑学ネタとしてはいいと思う。ナチスについてあまり知らない人向け。

    ナチスにまつわるオカルト的な要素はあまりなく(UFOぐらい)、今日多くの国で採用されている社会政策や技術が多め。

  • 同氏の「ヒトラーの経済政策」の補足。現代に続く、科学技術の基礎がここにある、と知るトリビア的な本。
    オススメは「ヒトラーの経済政策」のほうかな。入党から国民の指示を得て首相になるまで14年。この間に何があったのか、を知ることで今を見直す視点に活かしたい。

  • ナチスの政権奪取以来12年間の負の遺産は多くの書物で取り上げられていますが、これはいわばよい面に光を当てた書物。科学・工業的な発明から、政策的な発明まで、とても多くの事が今でも残っている。

    例えば高速道路、オリンピックの形態、ジェット&ロケット、ヘリコプター等々…。

    少子化対策の(当時はたさん奨励政策とも呼ぶべきか)「結婚ローン」は今でも通用するだろう。新婚家庭に労働者の半年分の賃金を無利子で貸し出し、子供がひとり生まれるごとにその四分の一の返済を免除する。4人産めばちゃら。

    なかなか驚きの発明群であった。星四つ。

  • 戦争におけるナチは別話として、私がアーリア人だったらこんな国住んでみたかったです。

  • ナチスといえば悪の枢軸国家というイメージが強いが、この本ではナチスの優れた政治や科学技術の発明など良い面が書かれていた。当時ベルサイユ条約の元ボロボロにされていたドイツを、諸外国を巧みに欺き、国民の失業をゼロにした政治手腕というのはすごいものであると感心した。と同時に敗戦国を徹底的に悪く言うのは戦勝国のプロパガンダ的な面が強いということもよく分かった。

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著者プロフィール

1967年生まれ、福岡県出身。出版社勤務などを経て、フリーライターとなる。歴史の秘密、経済の裏側を主なテーマとして執筆している。主な著書に『ナチスの発明』『戦前の日本』『大日本帝国の真実』『大日本帝国の発明』『福沢諭吉が見た150年前の世界』(ともに彩図社)、『ヒトラーの経済政策』『大日本帝国の経済戦略』(ともに祥伝社)等がある。

「2022年 『吉田松陰に学ぶ最強のリーダーシップ論【超訳】留魂録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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