- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784883928620
感想・レビュー・書評
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廃墟や酷道のマニアとして知られる本業・会社員の著者による、「選りすぐりの16秘境」探訪記。
自分で「選りすぐり」などと言ってしまう時点でお察しというか、独特のアクの強さが鼻につく。相性がいい人もいるのだろうが、私は生理的にダメだった。文中の要所を太く大きい文字にして強調するなど、いつの時代のセンスだよ、と引いてしまった。
そしてまた、強調されたその内容が面白くない。興味本位でみずから樹海に分け入っておいて、「朝一番に来なきゃよかった、いらぬモノを見させられるかもしれないから」とは、冗談にでも言っていいことではないだろう。
肝腎の秘境探訪にしても、この手の本には珍しく「勇気ある撤退」という結果が目立つ。筋金入りのマニアがそう決断したのだから本当にヤバい場所なのかもしれないが、そういうものは記事にしないのが「マナー」だろう。どうもこの著者からは、誤解を恐れずに言うなら志の低さを感じてしまった。
著者は「岐阜県在住の会社員。週末は2人の子供の家族サービスが主だが、月に1度だけ許可をもらって趣味の秘境探訪にいそしむ」とのことだが、それにしては「金曜夜から夜通し車を運転して」四国や九州、東北など遠方の「目的地に着いた」という記述が多い。たとえ額面どおりに月に1度であったとしても、これではとうてい、家庭人としての責任を果たしているとは言えないだろう(1度だけだが妻子を「家族サービス」ついでに秘境へ連れ出し、秘境以外では気もそぞろだった旨の記述がある)。
だいたい「家族サービス」だの「お許し」だの、ことさら恐妻アピールする男に限って、実際はとんでもないハラスメント亭主であることが少なくない。家事育児を妻に丸投げ、趣味とその友だけが大事な身勝手男でありながら「いい父・いい夫」きどりのクズも多いことが、頭をよぎらずにはいられなかった。
2015/6/20読了