カシアス (Switch library)

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著者 : 沢木耕太郎
  • スイッチパブリッシング (2005年2月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784884180157

カシアス (Switch library)の感想・レビュー・書評

  • 『ラスト・ファイト』のタイトルで出版された写真集を、改題・
    再編集して出された、ボクサー、カシアス内藤の写真集だ。

    文字通りカシアス内藤の「ラスト・ファイト」となり、沢木氏が
    『一瞬の夏』で描き切った再起への日々の中で、発表の場
    のあてもなくカシアス内藤にカメラを向け続けたのが、当時は
    無名だった内藤利朗氏である。

    夢に向かって走った、男たちの様々な表情が収められている。
    なかでも好きなのは、ラスト・ファイトとなった韓国・ソウルでの
    試合での一場面。

    ニュートラル・コーナーでカシアス内藤を囲んで立つ、エディ・
    タウンゼントと沢木耕太郎を写した1枚だ。

    あの夏から10年後。ひとりの少年が沢木氏に連絡を取って
    来る。少年院で『一瞬の夏』を読み、そこに書かれていた
    カシアス内藤の言葉に共鳴した少年はカシアス内藤に
    トレーナーになって欲しいと望む。

    少年の名は大和武士。カシアス内藤にエディさんが必要だった
    ように、武士にはカシアス内藤が必要だった。

    リングを下りた元チャンピオンは、指導者としても優れた能力
    を秘めていた。そして、次の夢があった。自分のジムを持ち
    たい…と。

    だが、試練も訪れる。喉頭がんの宣告だ。

    本書が改題・再編集で出版されたのも、ジム設立への一助に
    なればとの意図だった。そうして、あの夏に同じ夢を見た男
    たちは、再度、夢に賭けた。

    その夢は2005年2月に実現した。横浜に、カシアス内藤の
    ジムが誕生したのだ。それは既に亡くなったエディさんと
    内藤が交わした約束でもあった。

    エディ・タウンゼント。1988年1月31日、最後の弟子のひとりで
    ある井岡弘樹の初防衛の報にVサインを掲げた後、天に召さ
    れた。享年74。

    一瞬の夏の後も、カシアス内藤を撮り続けた内藤利朗。肺
    癌の為に2013年9月3日永眠。享年63。

    24歳と25歳で出会ったカシアス内藤と沢木耕太郎も、それ
    ぞれが64歳と66歳になっている。「クレイになれなった男」
    から今まで、べったりとはしていないけれど、交流は続き、
    カシアス内藤のジム設立にも協力している。

    E&Jカシアス・ボクシングジム。「E」はエディさんのE。そして
    「J」はカシアス内藤の本名・内藤純一のJ。エディさんは今
    でもカシアス内藤のそばにいる。そうして、今年2月10日。
    カシアス内藤の長男・内藤律樹が日本スーパーフェザー
    級の王座決定戦で勝利を手中にする。

    作品としてはこれで終わりだが、夢は、次の世代に続いて
    行きそうだ。

  • カシアス内藤という1人のボクサーの再起の闘い、
    引退後 後進をトレーニングする戦い、
    病との闘い、
    死との試合、

    そのすべてを内藤利朗氏のカメラを通して一緒に
    追っていく。

    素晴らしい写真だ。
    カシアス自身の人間としての、一個の人生としての魅力が
    リアルに心に飛び込んでくる。
    なぜか、全く知らないカシアスに対して深く愛情を感じ
    涙している自分がいる。

    沢木氏、内藤氏の執念と愛情が紙面の細胞に満ち渡って
    いるからだろう。

    これが、「伝える」ということの凄さか。


  • 沢木耕太郎「一瞬の夏」の続編とも言うべき写真文集。試合中の写真はもちろん、熱海での合宿の写真や家族との写真もあり、「一瞬の夏」の感動が蘇る。そしてカシアス内藤がガンだと分かったときの様子を伝える沢木耕太郎の文章から、今でも続く友情が感じられ、また感動する。2007/10/21読了

  • 私の沢木耕太郎体験は「一瞬の夏」から始まった。活字で想像していたイメージそのままのカシアス内藤がこの写真集の中にいた。

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