藍の空、雪の島

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著者 : 謝孝浩
  • スイッチパブリッシング (2006年2月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (171ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784884180232

藍の空、雪の島の感想・レビュー・書評

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  • ある日ワンディの住む街に戦車に乗ってやってきた黒服の男たち。彼らはワンディたち街に住む人たちを追い出し、とある村に監禁するのだった。
    故郷を追われた少年とその家族の物語。黒い服を来た人たちに故郷を追われ労働を強いられる。黒い服の人たちが別の緑の服の人たちに攻撃されている隙に逃げ出す。隣の国に行き、そこでの暮らしが落ち着くかに見えた時また逃げ出さねばならなくなる。途中家族離ればなれとなり、川賊にさらわれる。難民キャンプへと辿り着きイープンへと行く手続きを経て旅立つ。そんな波瀾万丈な出来事が肉薄しつつも、淡々と語られます。
    あくまで少年の視点で書かれるので、政治情勢などはほとんど描写や説明がありません。黒い服の人たちはどういう人たちなのか。なぜ故郷を追われなければいけなかったのか。隣国から身を隠すように逃げ出した理由。ワンディはそんなことよりも今を生きること、家族や友達とともにいること、そのためだけに足を進めます。移りゆく土地で出会う友達。なんでもないようなことが喜びになること。信じた人に裏切られること。様々な経験がワンディを通り過ぎていきます。それは余りにも大きく強い流れで、少年の身には抵抗する術もなく押し流されてしまいます。しかしワンディはそこで起こったことを胸に刻み自らの糧へとしていきます。大きな流れはわからなくとも、今自分は何をすべきなのか、どう思うのかを自分でしっかりと考えます。だからこそラスト成長したワンディはある決意をするのです。そんなワンディの目を通すため、つらく悲惨に思われる物語に突き抜けた青空のような爽やかさが伴うのでしょう。
    帯の池澤夏樹の推薦文に「ポルポト政権のカンボジアで育った少年の遍歴の記録」とあり、ワンディを取り巻く状況を推し量ることができます。また詳しいことを調べることもできるでしょう。昨今難民と呼ばれる人たちへの侮辱的な言葉が飛び交うこともあります。まずは知ること。その入口にもなる物語でしょう。

  • 土地を追われるカンボジアの少年の話。
    豊かな暮らしから一転、家族で難民にならなければならず、過酷な生活を余儀なくされる。
    それでもより良い暮らしを求めて移動し続ける。

    すべて少年の視線で書かれているので重々しい政情も軽く読めて良い。
    あいまいな部分もあるのだけれど、少年にはわからない事も多かっただろうと腑に落ちる。

    どの土地でも日々の暮らしに順応してしなやかに生きていく少年。
    だけどイープンでの生活にはなかなか順応できず苦労した様子にイープンで暮らすものとして胸が痛む。

  • 想像していたより良かったです。カンボジアの男の子が主人公ですが、政情不安の中で生活が振り回されます。特に主人公の不安の表現が秀逸でした。

  • 「イープンってそんなにいいところかな……」
    主人公のつぶやいた一言。
    イープンは日本のこと。

    カンボジアから逃れてきた難民の少年の話。
    長編で、ワンディが日本社会に無理やり馴染むようにさせられる葛藤を描いて欲しかった。
    日本の難民問題について『知ってもらう』にはいい物語。

  • これ、生きてるってことの尊さを思い出させてくれます。
    Life is Beautiful!!!!

  • あっさり読みきれる割に、重く残る。植民地とか、難民とか、そういう話。

  • カンボジアの少年が、家族とともに、ベトナム、タイ、日本と自由を求めて必死で生きていく姿を描く。
    兵士に追われ、川賊に襲われ、地雷のある森を歩き・・・少年の目を通すことによって残酷な内容は刺激的な描写になることはないけれど、だからこそ、その奥に潜む問題について考えなくてはいけないのだと思う。
    恥ずかしながら、「プノンペン」というヒントを与えられているにも関わらず、作中に出てくる「黒服」「緑服」という兵士たちがどういう政治体制の下にあった団体なのかわからなかった。少年がどうして難民となったのかも、はっきりと理解できなかった。
    日本はあまりにも平和で、忘れがちではあるけれど、世界には紛争は尽きず、この物語は完全なフィクションではないのだ、ということを思い出さされた。
    説教くさい部分はまったくないにも関わらず、「目を、外に向けろ」。そう言われた気がした。

  • 藍の空=プノンペン、雪の島=日本。
    最後の章で主人公の東南アジアでの生活が救われる。

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藍の空、雪の島はこんな本です

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