喋る馬(柴田元幸翻訳叢書|バーナード・マラマッド)

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制作 : 新井 敏記  柴田 元幸 
  • スイッチパブリッシング (2009年9月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784884182892

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喋る馬(柴田元幸翻訳叢書|バーナード・マラマッド)の感想・レビュー・書評

  • どの短編にも、この世界には身を置くところがなく、迫害や苦しみから身を守るものを何ももたないと感じている人物が出てくる。かれらは見るからにみすぼらしく、ときには人間の姿さえしていない。かれらは同胞にとってさえ、たかり屋の厄介者である。国家に裏切られた多くのユダヤ人難民たちが拠り所とした「知性」さえも、かれらを疎外するばかりだ。
    このような存在ばかりを描いた作品集が、なぜ、こんなにも美しいのだろう。かれらには何か、その存在を前にした者たちに、身を投げ出すことを強いるようなところがあって、それはもしかするとユダヤ思想の「神」に通じるのかもしれないのだけれど、物語の寓意がよく理解できないとしても、ただそこにある美しさを感じとればいいのかもしれない。

    といった感想をだらだら書くより、「訳者あとがき」で柴田元幸さんが引用しているフィリップ・ロスの批評が実に的を得ているので、ここにも書き写しておこう。

    ロノフ(マラマッド)の文章の多様性の欠如、関心領域の狭さ、つねに厳しくはたらかせている抑制、そういったものは、物語の含蓄を内側から崩してしまったり、衝撃を弱めたりするどころか、むしろゴングにも通じる、なんとも不思議な反響を生み出しているのだ。その反響を通して、かくも多くの重々しさ、かくも多くの軽やかさが、かくも小さなスペースの中で、すべてを懐疑せずにはおれぬ精神と結びついている。

    最初の七年|The First Seven Years
    金の無心|The Loan
    ユダヤ鳥|The Jewbird
    手紙|The Letter
    ドイツ難民|The German Refugee
    夏の読書|A Summer's Reading
    悼む人たち|The Mourners
    天使レヴィーン|Angel Levine
    喋る馬|Talking Horse
    最後のモヒカン族|The Last Mohican
    白痴が先|Idiots First

  • ユダヤの被害者意識が反映されている作品かと思ったが、どうやらそうではない。ユダヤ人か否かは関係ない。自分の中に救いを見いだす葛藤と、はたしてその一見救いに見えるものに意味はあるのかという問い。

  • 「夏の読書』は以前読んだことがあるような…。読書が少年の未来に光を与えてくれるんだろうか。「ドイツ難民」は胸を衝かれた。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:933.7||M
    資料ID:50900832

  • あとがきより、柴田さんの「マラマッドは、他人の為に苦しむ‘義の人’を文学に持ち込んだ」に、だから割と苦しい話が多いのかと思いながら「シンプルな言葉だからこそ持ちうる奥深さ」をあじわう11編。表題作でまさかのケンタウロスにほのぼのし、“最後のモヒカン族”は入り口のミステリわくわくから、ラスト思わぬ所へ連れて行かれる。“白痴が先”はタイトルの意味も分からぬうちから父を応援する。他に“夏の読書”が特に好かった。

  • 非常の面白い短篇集。

    マラマッドの短篇をもっと夜みたい。

  • 短編集だから、中には★5つのもあるし、どうも読み進められないのもあった。けれど、思いつかないような比喩、詳細な表現。圧倒された。
    小説の中とは国も時代も違うのに、日常的に誰もが感じる思いが描かれている。面白かった〜。

  • ユダヤ系アメリカ人作家の名作短編集。

    過度な装飾を排したシンプルな筆致のなかに、たっぷりとユーモアと底悲しさを漂わせる、余韻が残る作品が多く、数十ページの間にしっかり世界に持って行かれてしまう。
    とは言え、これは個人的な好みだが、やはり移民ユダヤ人作家の作品全体に漂う、孤独感・寂寥感が本作にも漂い、それゆえ手放しに「面白い」と言ってしまうことに抵抗がある。

    もう一つ、貧しい人たちが登場人物の殆どだが、貧しさと美しさの競演という訳者のコメントがバッチリあてはまる。貧乏の描き方が実に素敵。

  • 短編集。ブラックユーモアの効いた作品たち。あまり自分には合わなかった。

  • 何と奇妙で悲しいことか。難民の、もう大人になつた、辛い経験ゆえ頭も禿げて年老いた、ヒトラーの焼却炉を間一髪逃れてきた男が、アメリカに渡ってきたら、自分の半分の歳にも行かぬ娘に恋をするとは。(最初の七年)

    教育といったって要するに本じゃない。(同上)

    いつも読んでいる悲しい本のせいで
    涙が流れがらだった。(同上)

    何という変わり者か、何の教育も
    ないのに本だけはこんなに読む
    なんて。(同上)

  • 短編集。現実的な話あり、動物が喋ったり天使が現れたりする話ありと、味わいは様々。移民の話が多く、読後も色々と考えさせられる。
    表題作は、哲学的・観念的な隠喩の話だと思っていたら、ラストに力技でねじ伏せられた感じ。度肝を抜かれた。
    これらの物語が言わんとすることをきちんと理解できるよう、また読みなおしたい。

  • 短編集で関連性は全くない話ばかりなのですが、それぞれの根幹にあるテーマは一貫して「逃げる」こと。

    逃げる対象は目に見える敵だったり自分の置かれた状況だったり様々ですが、とにかく前を見て進んでいくという希望よりも、背後を振り返り振り返り、自分を捉えようとする何かから逃れようとする、後ろ向きで内的な足掻きのような印象を受けました。
    それなのに、読後感は悪くないんですよね…。ちょっと味わったことのない不思議な世界観です。


    ●最初の七年…娘に見合いの男を紹介しようと画策する靴屋の親父。ところが、ある日突然頼りにしていた使用人が店に来なくなってしまい…。

    ●金の無心…旧知の共に金を無心されたパン屋は、後妻に協力を申し出るが…。

    ●ユダヤ鳥…人語を話す鳥が窓に降り立った家族は、しばらくの間だけ面倒を見ることになるが…。

    ●手紙…門の前で、彼らは手紙を持って立っている――何も書かれていない手紙を。

    ●ドイツ難民…難民に英語を教える「僕」。その成果あって、生徒の一人は講義を見事成功させるが、彼に届いた一枚の手紙が事態を一変させる。

    ●夏の読書…引きこもりジョージは本を読まない。しかし、敬愛するご近所さんに読書家と誤解されて以来、周囲の眼差しが好意的になっていくことに気付き…。

    ●悼む人たち…長屋を追い出されそうになる年金生活者と家主達の攻防。

    ●天使レヴィーン…過酷な不運に見舞われた仕立て屋の前に現れた天使は、黒人のユダヤ人だった。

    ●喋る馬…「私は果たして馬のなかにいる人間なのか、人間みたいな馬なのか?」思考し、喋る馬の苦悩、葛藤、そして意外な結末。

    ●最後のモヒカン族…研究の為にやってきた旅行客に執拗にスーツを無心する男。行く先々に顔を出す男を当初は無視していたが、ある日書類が紛失してしまう。

    ●白痴が先…病気の息子を叔父のもとに送るため、金を都合しようとする老父。彼は人生の期限内に目的を達することができるのか?

  • 何気なく読み始めて、途中で知ってる気がしたら、大学時代に英語の授業で原文を読んだことがありました。「最初の2年間」と「夏の読書」かな。柴田さんの訳で読んで、こういう話だったんだと思った。
    天使の話が好きです。

  • 雑誌Coyote誌上で連載中の「柴田元幸翻訳叢書」、単行本化の第2弾はバーナード・マラマッド。この本に収められたマラマッド最良の短篇小説群と、長篇『アシスタント』は、まだ当分「古びる」ことはないだろうと柴田元幸が語る、底抜けに哀しく可笑しい12篇を収録

  • [ 内容 ]


    [ 目次 ]


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    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 大好きなマラマッドを柴田元幸が訳しているとなれば、どうしても読まなければならない必読の書。しかし、柴田元幸をもってしてもマラマッドの翻訳は難しい。

  • 面白かったです。
    初めて読む作家でした。
    短編集だけど、どの作品にも共通する雰囲気やテーマが含まれている気がしました。
    でも厭ない。

    暗いと言えば暗い。
    密やかなユーモアや倦怠、熱い気持ちやどうしようもなさ、人として生きる時に湧いてくる、付き合わざるを得ない感情や葛藤が地味ながらシッカリと、描かれていると思いました。

  • 胸がつまった。表紙のあったかさ加減と反対にひりひりするお話が多くて、ひりひりするのにどこか滑稽で余計ひりひり。本当に哀しくて可笑しい。

  • 短編集。
    突然理不尽に他者の介入を受ける話が多かった。からむ側の社会的立場が低く、断るのは精神的/倫理的にいかがなものか、でもこっちだって恵まれてるとはいえない・・・
    ユダヤ系作家ということで、ユダヤの不遇の歴史も関係あるのかもしれない。
    完璧に幸せなひと、生活に不安のないひとは一人も出てこない。「ドイツ難民」が唯一語り手が一人称の「僕」で、「僕」は第三者として実質被害は被らないのだけど、でもやっぱり後味が重い。

  • 20091115読売新聞。「マラマッドの短編集に登場する人物は並べてつましく勤勉。しかし貧しさから逃れられない。彼らには内に秘めた思いや希望がある。それを叶えようとすれば、無理も生じる。人間関係にヒビが入り、互いに疲れる。だからといって暗いままでは終わらない。マラマッドは登場人物たちの脇に、諺通り天使を通らせる。つまり一瞬の沈黙、間を与える。絶妙の、この小さな間はまさに天使の笑みで、光に変わり、ユーモアとなって湧きあがり、行きずまった関係を変える。信頼や友情が蘇生し、人々を包み込む。」

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