このあたりの人たち (Switch library)

著者 :
  • スイッチパブリッシング
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本棚登録 : 372
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784884184506

感想・レビュー・書評

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  • しばらくはエッセイなのかなと思ったけれど読んでいくうちに違うと分かりました。ひとつずつは短いエピソードなのですが世界観と出てくる人たちがゆるやかに繋がっているという好きなやつで、旧き善き時代を描いているのかと思わせといてエスエフっぽいスパイスが効いていたり、ちょっと意地悪だったりして楽しめました。今年の春から鶏を飼っているので、「鶏地獄」と「鳩鳴き病」がものすごく気になりました。

  • 読みたいリストより。
    梅田〜京都に帰るまでの電車で読んだ。
    おもしろい、不思議な話、「人たち」がかわいらしい。よかった。

  • 変わらずの川上弘美さん節でした。
    へんてこだけど、その世界をそのまま受け容れたくなる。
    読んでいるときだけでも、その世界の住人になりたくなる。
    短いストーリーが連なるなかで、クスッとしたり、ぞわぞわっとしたり。
    これからも読者を異世界まで連れていってほしいです。

  • 最初と最後の話が好き。最後まで読みきったときなんとなくまた最初のページ読みたくなったりして、そしたらぐるぐる、あるようなないようなその辺をふらふらずっと歩いてる気分になったり。

  • 川上さんらしさ全開!
    4ページほどの短い話が全部で26話。全体でも150ページに満たない薄い本です。
    各話で、架空の町「このあたり」の住民が一人一人描かれます。もっともそこは川上さんです。影が2つある影じじいが出てきたリ、朝剃った髭が夜には20㎝も伸びるようになったり、足の裏にできた水ぶくれにオタマジャクシが住みついたり、喋る言葉が鳩の鳴き声になる鳩鳴病が流行ったり。クスリとするような話の中に悪意としか言いようのないものも混じります。ちょっと怖い。
    とは言え何かの現代社会を批判するような寓話では無く、川上さんの真骨頂の「うそ話」なのだと思います。
    どこか「遠野物語」を思わせるような、シュールな現代の民話。その奇妙さの中をただフワフワと漂って楽しむ。そんな話でした。

  • 女性の語り手が静かに紡ぐ連作短編集。
    ショートショートを並べたような作りになっていて一つ一つのエピソードは短いけれど、読後の余韻が穏やかに押し寄せる。
    「このあたりの人たち」の周りで起こった、ちょっと不思議な出来事の数々は、体験した訳でもないのに何故か懐かしさを覚える。
    そして短編が進むにつれ川上ワールド炸裂!

    個人的には時折登場する「かなえちゃん」の変遷が好き。
    意地悪だった子供時代に始まって、中学時代は不良→暴走族の頭の女→かなえちゃんの二股が原因で起こった乱闘事件→不純異性交遊→大人になってファッションデザイナー→フランスへ留学→郷土の誇り…正に人に歴史あり、である。

    「このあたりの」愛すべき人たちは何処にでもいそうで、やっぱり何処にもいない実に面白い人たちだった。

  • 1時間もあれば読み終えられる。
    読後は”このあたりの人たち”がみな愛おしい。
    中学で不良になったかなえちゃんも、イタコになったかなえちゃんのお姉ちゃんも、メニューが二つしかないスナック愛のおばちゃんも、その他出てくるちょっと変わった人たちも、みなひょうひょうとしたおかしみがあって好き。
    各章の唐突な終わり方も好き。

  • 読み始めの頃・・・
    「うっわー、川上さんっぽさ全開!これきっと、めっちゃ好きそうな予感・・・」

    もう少し先で・・・
    「こんなん、私にも書けそうな気がするな~~w」

    さらに先・・・
    「ぷぷ。めっちゃ『このあたりの人たち』のことだわww」

    ずずいっと先・・・
    「うーん、やっぱ無理っ!こんな発想ないわー。」

    終わりの方・・・
    「だ~~~っ!やっぱ川上さんってヘン!ww ムリムリ!私には書けないっw 完敗っ!うへへぇ~、平にお許しを~~!・・・ぶはははは、面白すぎるぅ~~っ!!www よしっ、これもツレに読ませちゃろっと♡」

  • 世界観が不思議な地域だけど、子どもの時には周りの人をこうゆう感じで見ていたような気もする。ただの普通の人って本当はいない、よく観察するとみんな違う特別なものを持っている気がする、ということを思い出させてくれたような気がする。

  • 一編一編がかなり短い短編集
    どこかの地方都市の小学生の女子の視点で統一されている。
    オムニバスで映画にしたら面白そうだ

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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