- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784884748067
感想・レビュー・書評
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十一月二十五日
人は他を批判する前に、まず自分としての対策がなければならぬ。しかも対策には何よりもまず着手点を明示するを要する。この程度の心の用意のなきものは、他を批判する資格なしというべし。
十二月七日
根本的原罪は唯一つ、「我性」すなわち自己中心性である。そして原罪の派生根は三つ。(一)性欲(二)嫉妬(三)搾取。
十二月八日
ひとたび「性」の問題となるや、相当な人物でも過ちを犯しやすい。古来「智者も学者も踏み迷う」とは、よくも言えるもの哉。
十二月二十日
「誠実」とは、言うことと行うことの間にズレがないこと。いわゆる「言行一致」であり、随って人が見ていようがいまいがその人の行いに何らの変化もないことの「持続」をいう。
一月十七日
五分の時間を生かせぬ程度の人間に、大したことは出来ぬとかんがえてよい。
一月十八日
やらぬ先から「○○をやる」という人間は、多くはやり通せぬ人間と見てよい。
一月三十日
相手の心に受け容れ態勢が出来ていないのにお説教をするのは、伏さったコップにビールをつぐようなものー入らぬばかりか、かえってあたりが汚れる。
「伏さったコップを先ず上向けにすること」が何より大切詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
[森信三一日一語] 人生に処する知恵
2011年4月26日読了
Author [森信三]
Publisher [致知出版社]
Contents
・つねに腰骨をシャンと立てること ―
これ人間に性根の入る極秘伝なり
・幸福とは求めるものではなくて、与えられるもの。
自己の為すべきことをした人に対し、
天からこの世において与えられるものなのである。
・一切の悩みは比較より生じる。人は比較を絶した世界へ
躍入するとき始めて真に卓立し、
所謂「天上天下唯我独尊」の境に立つ。
・いかなる人に対しても、少なくとも一点は、
自分の及びがたき長所を見出すべし。
・「一日は一生の縮図なり」―― かく悟って粛然たる
念いのするとき、初めて人生の真実の一端に触れむ。
・人間は一生のうち逢うべき人には必ず逢える。
しかも一瞬早過ぎず、一瞬遅すぎない時に―。
・野の一輪の草花をコップにさして、
そこに幽かな美の感じられないような人は、
真に心の通う人とはいえないですね。
・多少能力は劣っていても、
真剣な人間の方が最後の勝利者となるようです。
・三ツのことば ①「人を先にして己を後にせよ」
②「敵に勝たんと欲するものはまず己に克て」
③「義務を先にして娯楽を後にせよ」
・「下学(かがく)して上達す」―――
下学とは日常の雑事を尽くすの意。
それゆえ日常の雑事雑用を軽んじては、
真の哲学や宗教の世界には入り得ないというほどの意味。
・我が身にふるかかる事はすべてこれ「天意」―。
そしてその天意が何であるかは、
すぐに分からぬにしても、
噛みしめていれば次第にわかってくるものです。
・如何にささやかなことでもよい。
・とにかく人間は他人のために尽くすことによって、
はじめて自他共に幸せとなる。これだけは確かです。
・足もとの紙クズ一つ拾えぬ程度の人間に何が出来よう。
・一、時を守り 二、場を浄め 三、礼を正す
これ現実界における再建の三大原理にして、
いかなる時・処にもあてはまるべし。
・「物質的に繁栄すると、とかく人間の心はゆるむ」
・人間は他との比較をやめて、
ひたすら自己の職務に専念すれば、
おのずからそこに一小天地が開けてくるものです。
・玄米とみそ汁を主とする生活の簡素化は、
今日のような時代にこそその意義は深い。
それは、資本主義機構に対する自己防衛的意味を
もつ一種の消極的抵抗だからである。
・人生を真剣に生きるためには、
・できるだけ一生の見通しを立てることが大切です。
いっぱしの人間になろうとしたら、
少なくとも十年先の見通しはつけて生きるのでなければ、
結局は平々凡々に終わるとみて良い。
Impressions
他にも善き言葉が多々あったが、割愛した。
定期的にこういった「精神」に触れることは
とても大切なことで、いつの間にか眠りかかっていた
心を覚醒させてくれる。
2015年7月26日、再読。
4年の月日が流れた重さを実感した。感動した項目を
赤のボールペンで、第一回目はチェック、今回は付箋で、
チェック。重なるところ、新しく付箋したところ、
ボールペンのチェックがあっても、今回は付箋なし、
など、自分の変化を面白いと思った。
3回目はいつになるのだろうか。 -
とても短いのに、ずしりと重い。確かな言葉、しっかりとした言葉というものがここにある。甘えや緩み、一切の妥協がない。だからといって壮絶というか暗澹としたものもない。
真剣に真剣に心の奥底を覗き込み確かめられたものばかりであるので、全幅の信頼を寄せて受け止めることができる。つぎはぜひ著作を読み、心の、人生の糧としたい。