子どもと声に出して読みたい「実語教」

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  • 致知出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784884749880

作品紹介・あらすじ

日本人の心を育んだ29の教え。寺子屋教育の原点はここにあった。

感想・レビュー・書評

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  • 実語教は、儒教と仏教のエッセンスが詰まって、かつそれが子供にも伝わるように、シンプルにまとめられていることがよくわかり、子供に読ませたいと思いました。
    しかし、その解説において、筆者の「●●は○○あるべし」という私論が折に触れて被されており、少しくどいなと感じました。

  • 福沢諭吉の学問のすゝめの冒頭に出てくる「実語教」。日本で古くから子供の教育に使われたものらしい。勤勉性が特徴的な児童期にこの内容を精神の芯とすることができれば,学びにおける基本的構えとそれを支える仁義礼の構えを持つことができるだろう。小学校ではこれを九九みたいに位置づけておけば,学習指導や生徒指導の時に関連付けることができると思う。日本にはこういう財産もあるのだから,活用していく視点が必要だろう。もしかしたら国語の教科書に入っていたりするのかな。

  • 人としての基本的なこと。
    親を敬え、利己的になるなといったことが記載されている実語教。

    なぜこんなに大切なことが今の教育では学べないのか。

    自分自身にも足りないところが多くあるので早く身につけ自然に振る舞うことができるようになりたい。

  • 子どもと一緒に音読しよう。へんな情操教育より効果あるんじゃないだろうか。

  • 実語教

    山高きが故に貴(たつと)からず。
    樹(き)有るを以て貴しとす。
    人肥へたるが故に貴からず。
    智有るを以て貴しとす。
    富は是(これ)一生の財(ざい)。
    身滅すれば即ち共に滅す。
    智は是万代(ばんだい)の財(たから)。
    命(いのち)終れば即ち随つて行く。
    玉磨かざれば光無し。
    光無きをば石瓦(いしかわら)とす。
    人学ばざれば智無し。
    智無きを愚人とす。
    倉の内の財(ざい)は朽つること有り。
    身の内の才(ざい)は朽つること無し。
    千両の金(こがね)を積むと雖も、
    一日(いちにち)の学には如(し)かず。
    兄弟(けうだい)、常に合はず。
    慈悲を兄弟(きやうだい)とす。
    財物(ざいもつ)、永く存せず。
    才智を財物とす。
    四大(しだい)、日々に衰へ、
    心神(しんしん)、夜々(やや)に暗し。
    幼(いとけな)き時、勤め学ばずんば、
    老ひて後、恨み悔ゆると雖も、
    尚(なを)所益(しよゑき)有ること無し。
    故(かるがゆへ)に書を読んで倦むこと勿(なか)れ。
    学文に怠(をこた)る時勿れ。
    眠(ねぶ)りを除ひて通夜(よもすがら)誦(じゆ)せよ。
    飢へを忍んで終日(ひねもす)習へ。
    師に会ふと雖も、学ばずんば、
    徒(いたづら)に市人(いちびと)に向ふが如し。
    習ひ読むと雖も、復さざれば、
    只隣(となり)の財(たから)を計(かぞ)ふるが如し。
    君子は智者を愛す。
    小人は福人(ふくじん)を愛す。
    冨貴(ふうき)の家に入(い)ると雖も、
    財(ざい)無き人の為には、
    猶(なを)霜の下の花の如し。
    貧賤の門(かど)を出づると雖も、
    智有る人の為には、
    宛(あたか)も泥中(でいちう)の蓮(はちす)の如し。
    父母は天地の如く、
    師君は日月(じつげつ)の如し。
    親族は譬(たと)へば葦(あし)の如し。
    夫妻は猶(なを)瓦(かはら)の如し。
    父母には朝夕(てうせき)に孝せよ。
    師君には昼夜に仕へよ。
    友に交はつて諍(あらそ)ふ事なかれ。
    己(おのれ)が兄には礼敬(れいけい)を尽くし、
    己(おのれ)が弟(をとゝ)には愛顧を致せ。
    人として智無きは、
    木石に異ならず。
    人として孝無きは、
    畜生に異ならず。
    三学の友に交はらずんば、
    何ぞ七覚の林に遊ばん。
    四等(しとう)の船に乗らずんば、
    誰(たれ)か八苦の海を渡らん。
    八正(はつしやう)の道は広しと雖も、
    十悪の人は往(ゆ)かず。
    無為(むゐ)の都は楽しむと雖も、
    放逸の輩(ともがら)は遊ばず。
    老いを敬ふことは父母の如し。
    幼(いとけな)きを愛することは子弟の如し。
    我、他人を敬(うやま)へば、
    他人亦(また)我を敬ふ。
    己(おのれ)人の親を敬へば、
    人亦(また)己(おのれ)が親を敬ふ。
    己(おのれ)が身を達せんと欲せば、
    先づ他人を達せしめよ。
    他人の愁いを見ては、
    即ち自(みづか)ら共に患(うれ)ふべし。
    他人の喜(よろこ)びを聞いては、
    則ち自ら共に悦ぶべし。
    善を見ては速(すみ)やかに行(をこな)へ。
    悪を見ては忽(たちま)ち避(さ)け。
    悪を好む者は禍(わざはひ)を招き、
    譬へば響きの音に応ずるが如し。
    宛(あたか)も身に影の随(したが)ふが如し。
    善を修する者は福を蒙(こうむ)る。
    冨めりと雖も貧しきを忘ることなかれ。
    或ひは始め冨みて終はり貧しく、
    貴(たつと)しと雖も賤(いや)しきを忘るゝことなかれ。
    或ひは先に貴く終(のち)に賤し。
    それ習ひ難く忘れ易きは、
    音声(をんじやう)の浮才。
    又学び易(やす)く忘れ難きは、
    書筆の博芸。
    但し食有れば法有り。
    亦(また)身有れば命有り。
    猶(なを)農業を忘れざれ。
    必ず学文を廃することなかれ。
    故(かるがゆへ)に末代の学者、
    先づ此(この)書を案ずべし。
    是(これ)学問の始め、
    身終はるまで忘失することなかれ。

  • まず大人が声に出して読むべきことが詰まっている。
    今まで「実語教」の存在を知らなかったなんて、恥ずかしい…。
    子どもと一緒に何度も何度も読みたいとおもいます。

  • 日本で千年も使われていた教科書。
    とてもわかりやすく解説されている。
    子供だけでなく大人にも必要な事が詰まっていて、毎日でも読み続けたい教科書。
    特に子供と一緒に読みたい。

  • 学ぶことの大切さ、生き方などが平易かつコンパクトにまとまっているのが実語教であるということがわかります。是非とも子どもに繰り返して読んでほしい一冊です。

  • 鎌倉時代から明治初期まで使われていたとされる初等教科書「実語教」を、親が子供に語りかけるような口調で分かり易く解説している。
    民族の根底に流れる共通の人間像があるとするならば、この実語教に表現されていると言ってよいのかもしれない。
    例えば「己が身を達せんと欲する者は、先ず他人を達せしめよ」という言葉からは、現代の多くの人たちが忘れてしまい、さらに見落としてもいるいる人生の本質を思い出させてくれる。

  • 「実語教」
    学びの第一歩。
    学ぶことを忘れてはいけないということ、この学びの精神が日本をつくってきたということを、思い出させてもらいました。

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著者プロフィール

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。教育学、身体論、コミュニケーション論を専門とする。2001年刊行の『声に出して読みたい日本語』が、シリーズ260万部のベストセラーとなる。その他著書に、『質問力』『段取り力』『コメント力』『齋藤孝の速読塾』『齋藤孝の企画塾』『やる気も成績も必ず上がる家庭勉強法』『恥をかかないスピーチ力』『思考を鍛えるメモ力』『超速読力』『頭がよくなる! 要約力』『新聞力』『こども「学問のすすめ」』『定義』等がある。

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