ブランディング22の法則

  • 東急エージェンシー
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784884970734

感想・レビュー・書評

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  • 第1章 拡張の法則
     ブランドの力はその広がりに反比例する。

     ラインの延長は短期的には売上げを増やすかもしれないが、これはブランディング思想とは相反している。もしあなたが消費者の頭の中に強力なブランドを築くことを望むなら、ご自分のブランドを拡張するのではなく収縮させる必要がある。長期的にはブランドを拡張するとあなたのパワーは減り、イメージが弱まるのである。

    第2章 収縮の法則
     フォーカス(焦点を絞り込む)する時、ブランドは強力になる。

     いい結果はビジネスを拡張するよりも収縮させる時に生まれる。小売業界のほとんどのカテゴリーキラーは、一様に次の五段階のパターンに従っている。
    1 焦点を絞り込む。強力なブランディング・プログラムは常にカテゴリーを拡張することではなく、収縮させることから始まる。
    2 製品を豊富にストックする。大型百貨店ですら玩具の在庫が三千点なのに対し、トイザラスは一万点の玩具を揃えている。
    3 安く仕入れる。トイザラスは玩具の販売ではなく、仕入れて利益を上げている。
    4 安く売る。安く仕入れておけば安く売ってもなおかついい利幅を維持できる。
    5 当該カテゴリーを支配する。ブランディング・プログラムの究極の目的は、カテゴリーを支配することである。

    第3章 パブリシティの法則
     ブランドが誕生するのは広告ではなく、パブリシティによってである。

     ほとんどの会社が広告こそ主要なコミュニケーション手段であるとの前提に立ってブランディング戦略を開発している。これは間違いだ。戦略は何よりもパブリシティの視点から開発されるべきである。

    第4章 広告の法則
     いったん誕生したブランドは、その健康を維持するために広告を必要とする。

     広告は強力なツールであるが、それは生まれたてのブランドにリーダーシップを築くためではなく、いったん確立したリーダーシップを維持するためのツールなのである。安定したブランドを守りたいと願う企業は、競合企業を押さえ込むための大規模広告プログラムの実施を躊躇すべきでない。

    第5章 言葉の法則
     ブランドは消費者の頭の中に自分の言葉を所有する努力をすべきである。

     まとめるとこうなる。リーダー・ブランドに追い着くだけでは、ゼロックスのよう総称的ブランドになることはできない。ペプシはたとえ売上げてコークを抜いても、コーラ・カテゴリーの総称的ブランドにはなれない(実際のところペプシはスーパーマーケット・チャネルでコークを抜いたことがある)。カテゴリーを総称する名前になるためには一番手のブランドとしてカテゴリーを築く必要があるのだ。

    「市場のサイズはどのくらいだろうか。そしてわれわれはそこでその何%を獲得できるだろうか」という発想が誤りの始まりである。あなたがブランドの成長を考えているのなら、「ブランドの焦点を絞り消費者の頭の中に一つの言葉を所有することによってどれだけの市場を創造することができるだろうか」と問い掛けるのが正解になる。

    第6章 信用力の法則
     あらゆるブランドの成功の鍵を握る要素は本物訴求である。

     私たちは世界中で仕事を依頼された数百社のほぼすべてのクライアントのために、利用可能な何らかの信用力を見つけ出してきた。それができない場合は新しいカテゴリーを見つけることによって信用力を創造した。
     信用力の威力は毎日の生活の中にも見うけられる。新しいレストランがほとんど空席であるためにその店を立ち去った経験を何度お持ちだろうか。ほとんどの人が空っぼの店で食事するよりも混んだレストランで席を待とうとする。その店が本当によいと思えるなら、ドアの外にまで行列ができるだろう。
     これが信用力の威力である。

    第7章 品質の法則
     品質は重要だけれど、ブランドは品質だけで築かれるものではない。

     品質が悪いというのではない。私たちはクライアントに経済的に可能な限り高品質のブランドを作るよういつも提言している(そうすれば後日サービス費用の節減にもつながるだろう)。しかし、ブランドを築くに当たって品質のみに頼ってはならない。高品質ブランドを構築するためには、焦点を絞り、その絞った焦点と優れた名前、高い価格とを組み合わせる必要があるのだ。

    第8章 カテゴリーの法則
     リーディング・ブランドはブランドではなく、カテゴリーを売り込むべきだ。

     ブランディングの最も効果的で、実り多く、役に立つ側面とは新しいカテゴリーを創造することである。言い換えると焦点をゼロにまで絞り、まったく新しい何かを始めることである。
     そうすることにより急成長する新しい市場でリーディング・ブランドとして輝やくことができる。
     存在しないカテゴリーの中にブランドを築く、つまり無から有を生み出すためには二つのことを同時にやらなくてはならない。
    ・ブランドの立ち上げはそのブランドが一番手であり、リーダーであり、パイオニアであり、オリジナルなものであるとの認識の下で行わなくてはならない。ブランドを説明する時にはこうした言葉のどれか一つを使用すべきである。
    ・新しいカテゴリー自体を売り込まなくてはならない。

    第9章 名前の法則
     結局のところブランドとは名前のことである。

     あなたが行う最も重要なブランディング上の決定は、自分の商品やサービスへの命名である。というのは、ブランドとは結局のところ名前だからである。

    第10章 ライン延長の法則
     ブランドを破壊する最も簡単な方法は、あらゆる商品にそのブランド名をつけることである。

     眠っているブランドは起こさないのがよい。ライン延長を行う前に、現行のブランドの顧客がライン延長ブランドを見てどう思うかを自分に問いかけてみるべきである。
     もし市場があなたの足もとから流出しそうな場合には、いまの場所に留まって第二のブランドを打ち上げることだ。そうでない場合にはいまいる場所に留まってブランドの構築を続けるのがよい。

    第11章 協調の法則
     カテゴリーを築くには既存ブランドが他の競合ブランドの参入を歓迎する必要がある。

     …拡張の法則はこれと反対のことを説いている。ブランドを拡張すればブランドは弱体化するのである。マクドナルドがアーチデラックス・サンドウィッチでアダルト市場に訴求範囲を広げようとした時、どんな事態が生じただろうか。市場シェアが落ちこみ、結局この商品を打ち切るはめになったのだ。
     というわけで次に「協調の法則」を考えてみる。支配的ブランドは競合ブランドを単に許容するだけでなく、進んで迎え入れるべきである。コカコーラにとって一番よかったのはペプシコーラの存在だった(この点、「コーラ」の名前の使用をめぐってコカコーラ社がペプシコーラ社と法廷で争ったのは皮肉である。コークにとって幸いなことに同社は裁判で敗れ、以来すさまじい成長を遂げるカテゴリーを誕生させた)。

    第12章 ジェネリックの法則
     失敗に至る一番の近道はブランドに総称的な名前をつけることである。

     ラインの延長が市場ではかばかしい成果を上げられないのは、ブランド名と総称名を組み合わせることが多いせいである。力のないジェネリック・ネームはブランド構築の本来の目的である個別のアイデンティティ(個性)を創造することができない。

    第13章 企業の法則
     ブランドはブランドであり、企業は企業である。
     両者の間には大きな違いがある。

     あなたはブランドそのものに関心を集中させるべきである。企業名を使う必要があるというなら使ってもいい。しかしながらそうするときにはあくまでも脇役として使うということを心がけるべきである。

    第14章 サブブランドの法則
     ブランディングによって構築されたものがサブブランドの導入によって破壊される場合がある。

     ブランドとは何かを突き詰めてゆくと、それは顧客の頭の中に刻まれたアイデアであり、特徴であり、典型的顧客像であるということになる。サブブランディングは当該ブランドをその正反対の方向に導く考え方である。サブブランディングはブランディングが築いたものを破壊してしまう。

    第15章 兄弟の法則
     第二のブランドを発進させるには時と場所を選ばなくてはならない。

     兄弟ブランドはすべての企業に妥当な戦略ではない。しかし然るべき企業にあっては、あるカテゴリーを長期にわたって支配するために有効な戦略になりうる。

    第16章 形状の法則
     ブランドのロゴタイプは目にフィットするようにデザインすべきである。両眼にである。

     効果的な商標となる単純なシンボルは数えるほどしか存在しない(メルセデスの三ツ星はその一つである)。もしあなたが今日までそのような単純なシンボルを受け継いでいないなら、自分でそれを創造するのはもはや手遅れである。

    第17章 色調の法則
     ブランドは競合とは反対の色を使うべきである。

     長期にわたる色の一貫性はブランドを人々の頭の中に焼き付けるのに役立つ。

    第18章 国境の法則
     グローバルなブランド構築に障壁はない。
     ブランドに国境があってはならない。

    第19章 一貫性の法則
     ブランドは一夜では築かれない。
     成功は何年単位ではなく、何十年単位で測定される。

    第20章 変更の法則
     ブランドは、ごく希に、そして細心の注意を払えば変更できることがある。

    第21章 寿命の法則
     どんなブランドにも永遠の生命はない。
     多くの場合、安楽死がベストな答えである。

    第22章 特異性の法則
     ブランドの最も重要な側面は一つのものを追い求めるひたむきさである。
     ブランドが社会で重要な機能を果たすのを助けるのはその特異性である。 

     ブランドとは何だろう。それは普通名詞に代わって使うことのできる固有名詞である。

  • マーケティングとはブランディング

    いい結果は焦点を絞る時に生まれる

    広告が新しいブランドを離陸させることはない
    ブランドはパブリシティによって構築され、広告によって維持される

    広告はいわば市場への入場料を引き上げることによって競合企業が市場シェアを大きく切り崩すのを困難にする

  • レクサス、スターバックス、エイビス、ゼロックス等、錚々たる企業の”ブランド”について、それら企業や競合企業がどの様な戦略を取ってきたのか、ブランド戦略を間違うとどうなってしまうか等の法則が書かれています。

  • 自社のブランドとは何か?
    それを明確にしないまま、多角化してはいけない。
    そこが主眼か。

    自分をブランド化する際も、他者との差別化やこだわりなどを持ち、何でも屋になっては生きていけず、会社にうまく利用されてしまうことにつながるのと似ている。
    そういう意味で原則的なヒントをもらえる。
    読んでおいて損はない。

  • - 広範囲に及ぶマーケティング機能を結合させる接着剤はブランディングである
    - ブランドはブランドであり、ブランドである
    - 雑多なものに同じブランド名を使えば使うほどそのブランドは弱いものになる。ブランドのパワーはその広がりに反比例するのである
    - いい結果が生まれるのはブランドを拡張するよりも収縮させる時である
    - ブランドについては、自分で語るよりも他人が語る内容のほうがはるかにパワフルである
    - 今日ではブランドはパブリシティによって構築され、広告によって維持されている
    - ブランドは消費者の頭の中に自分の言葉を所有する努力をすべきである
    - あなたがブランドの成長を考えているのなら、「ブランドの焦点を絞り消費者の頭の中に一つの言葉を所有することによってどれだけの市場を創造することができるだろうか」と問いかけるのが正解になる
    - 強力なブランドを築きたいと思うなら、買い手の頭の中に品質に関する強力な認識を築き上げなくてはならない
    - ブランド構築の手法とは市場の一部に焦点を絞ることである
    - ほとんどの場合、ブランド名を企業名より重視すべきである
    - 顧客が企業名とブランド名の両方を使わざるをえない時、あなたはたいていブランディング上の問題を抱えている
    - ファミリーアプローチに成功する鍵は各兄弟ブランドを独自のアイデンティティを備えたユニークで個性的なブランドにすることである。各ブランドを
    できる限り差異の際立つブランドにするのだ
    - もし活字が判読できなければ、そのロゴタイプは消費者の頭の中でほとんど存在しないことになり、まったく意味をなさない
    - ブランドとは顧客の頭の中にあなたが所有するただ一つのアイデアないしはコンセプトである

  • 楽しく読めて事例をもとに知識も得られる本としては良書。

  • The 22 Immutable Laws of BRANDING ―
    http://www.tokyu-agc.co.jp/business/publishing.html

  • 拡張の法則

    収縮の法則

    パブリシティの法則

    広告の法則
    広告はそれ自体では引き合わない。しかしもしあなたがリーダーだとすると、広告によってあなたの競合企業はあなたと張り合う特権を得るため無理な出費を強いられることになる

    言葉の法則
    もしあなたがブランドを築きたいと思うなら、見込客の頭の中に一つの言葉を所有することに努力を集中すべきである。他のだれも所有していない言葉をである

    信用力の法則
    プレステージのある商品やサービスのブランド構築に成功するためには
    ①商品やサービスを競合より高価なものにする
    ②プレステージをそれとなく表す表現を見つける

    高品質ブランドを構築するためには、焦点を絞り、その絞った焦点と優れた名前、高い価格とを組み合わせる必要がある

    カテゴリーの法則
    顧客が実際に気に留めるのは新しいブランドではなく新しいカテゴリーである。彼らはドミノには気を留めない。ピザが30分で配達されるかどうかを気にする。キャラウェイのことは気に留めない。その大型ドライバーがゴルフのスコアを縮めるかどうかを気にする。プリンスのことは気に留めない。その大型ラケットがテニスの成績を上げるかどうかを気にかける

    ピザのテイクアウトであれ、グルメのテイクアウトであれ、市場の一部分に絞る。そのうえであなたのブランド名にそのカテゴリーを代表させ(総称的効果)、同時にブランドではなくカテゴリーの利点を売り込むことによってカテゴリーを拡張する

    ライン延長の法則

    協調の法則
    プラネットハリウッドのベストな場所は、ハードロックカフェの向かい

    ジェネリックの法則
    レクサス(Lexus)は、Luxuryから数文字とって命名した
    人々の頭の中で認識する対象は文字ではなく、音声である

    企業の法則
    ブランド名を企業名より優先させるべき

    サブブランドの法則
    サブブランドはブランドが築いたものを破壊してしまう

    兄弟の法則
    一個の特性を選んでセグメントする

    色調の法則
    単一な色がほぼベストなカラー選択 ティファニー
    フェデックス オフィスで目立つ オレンジと紫

    国境の法則
    国のイメージを流用する コロナ、キリン、チンタオ

    特異性の法則
    ブランドが社会で重要な機能を果たすのを助けるのはその特異性である
    ブランドとは何であろう?それは普通名詞に代わって使うことのできる固有名詞である
    輸入ビールという代わりに「ハイネケン」を注文する
    高価なスイス製腕時計という代わりに「ロレックス」を注文する
    安全な車という代わりに「ボルボ」を注文する
    走りのいい車という代わりに「BMW」を注文する

    ブランドとは何だろう?それは顧客の頭の中にあなたが所有するただ一つのアイデアないしはコンセプトである
    それはそれほどまでに単純であり、それほどまでに厄介なものである

  • あんまりロジカルじゃない。

  • 事例を交えた説明がわかりやすい。

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