バイクとユニコーン (はじめて出逢う世界のおはなし)

  • 11人登録
  • 3.00評価
    • (0)
    • (1)
    • (2)
    • (1)
    • (0)
  • 3レビュー
著者 : ジョシュ
制作 : 見田 悠子 
  • 東宣出版 (2015年9月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784885880865

バイクとユニコーン (はじめて出逢う世界のおはなし)の感想・レビュー・書評

  • 亡命にまつわる会話があったり、アメリカとの関係を思わせる記述があったりと普段目にしない言葉が多々あり、キューバならではの世界を垣間見ることができました。
    『トラ猫』の最後は本当におまじないが効いたのかシチューの肉が「屋根のうさぎ」肉でブラックに終わるのか判断がつきませんでしたが…どちらだったのか気になります。

  • キメラを飼育する中年男の話「キメラなど存在しない」が秀逸。バラエティに富んだ5編、SFも含む。
    書かれていることの背景は、貧困であるとか、亡命であるとか、深刻な問題をはらんでいる。しかし世の良作がそうであるように、本作もその背景を露骨には描かず知らしめる。読者の目に第一に飛び込んでくるのは、キューバ市民の日々であり、ほの明るい手触りを感じる。

  • 東宣出版による「はじめて出逢う世界のおはなし」シリーズ、キューバ編。
    作者のジョシュは、写真を見るとごついハーレー乗りの兄ちゃん、という風貌だが、文章は繊細な文学青年の雰囲気を漂わせている。YAとして読むと面白い。
    短編が5つ。
    「トラ猫」→少年が、夕食を奪った野良猫を脅かしてやろうと父親の形見のライフルを持ち出して撃つ話。本当に死んでしまったネコを持ってうろたえる少年に、二人目の母親はまじないを使ってしかるべき方法で弔ってやる。
    「生ける海」→ある17才の高校生が意中の女の子の気を引くために、無謀にも単身小舟でハバナを目指す。途中で水と食べ物が尽き、嵐に襲われ命からがら生還したものの、肝心の彼女はというと……しょっぱい結末。世界各国の神話からヘミングウェイに至るまであらゆる海洋文学に対するオマージュかも。
    「バイクとユニコーン」→ある青年の部屋の中でとっちらかった小物たちが命を持って動きまわる世界。ある意味トイ・ストーリーかも。ポスターの中のハーレーとタペストリーの中のユニコーンが叶わぬ恋に身を焦がす。訳者あとがきによると、ハーレーは合衆国を、ユニコーンはキューバを暗喩しているのだとか。
    「キメラなど存在しない」→ファンタジーの世界が現実に侵入してくるなど、ぜったいにありえないと信じているバツイチの中年男。彼のもとに、我が子の手によってモノホンのキメラの卵がもたらされ、あろうことか孵化してしまう。彼は「キメラなどいない」と唱えつつ、しだいに想像上の生き物に取り憑かれてゆく。面白いのは、書き手と読み手の壁を取り払うような口調で、完全に二人称で書かれているところ。
    「時のない都市」→ガチSF。物理的な死を与える「死刑」が廃止された未来世界で、重篤な犯罪者は記憶を完全に上書きされ、一般市民としてある街に(自覚なしに)幽閉されているという設定の話。プロローグとエピローグ以外はすべて会話で物語が進むというスタイルが意味深。「あなたが、今見ているもの、手にしていると思っているもの、過去について記憶は本当に本物ですか?」と問いかけてくる。攻殻機動隊の某エピソード(いつわりの家族を与えられたゴミ回収業者の話)と重なる。

全3件中 1 - 3件を表示

バイクとユニコーン (はじめて出逢う世界のおはなし)を本棚に登録しているひと

バイクとユニコーン (はじめて出逢う世界のおはなし)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

バイクとユニコーン (はじめて出逢う世界のおはなし)の作品紹介

日常的極限状況が生む宇宙的想像力。
ユーモアがのぞく逆転発想という危機の詩学。
これは本物のキューバ文学だ。
(野谷文昭 推薦文より)


ジョスバニは小心者でどもり気味、目立たないタイプの19歳。ヒロイズムに憧れる、ぼさぼさ長髪のヘヴィメタ好きだ。そんな彼の部屋に貼ってある〈青いハーレーのポスター〉と〈白いユニコーンのタペストリー〉は、もう何年も互いに見つめ合い、ため息をつき、いつか一緒になれることを夢見ていた。そしてある日、いましかないわ!と思ったハーレーは、ポスターからタペストリーへと飛び込んだ……相容れない世界に生きながら魅(ひ)かれ合うふたりの姿をファンタジックに描く「バイクとユニコーン」をはじめ、90年代キューバの《特別な時代》を社会背景に、そこに暮らす人々の現実と希望を風味豊かに綴った「トラ猫」「生ける海」「キメラなど存在しない」ほか、近未来ディストピア小説「時のない都市」を収録。

バイクとユニコーン (はじめて出逢う世界のおはなし)はこんな本です

ツイートする