宮沢賢治はなぜ石が好きになったのか

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  • どうぶつ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784886223357

感想・レビュー・書評

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  • 鉱物学者による鉱物の歴史、逸話、昨今の鉱物界について。沢山の鉱物について述べられている。印象的だったエピソードを覚書き。

    世界的なミネラルショーが、ツームストン(米)とミュンヘン(独)で行われていると言う。

    水晶    :北上川のダイヤモンドは高温水晶。ハーキマーダイヤモンドも水晶。山梨の草入水晶、ススキ入水晶。

    瑠璃(ラピスラズリ): 古来(ツタンカーメンにも使用)より重用。変高価であったため、これを節約すべくローマンガラスやシリアガラスが発達。アフガニスタンで現在も採掘されており、タリバンの資金源になっている。

    玉: 翡翠とネフライトを示す。

    エメラルド(ベリル、緑柱石):緑色はバナジウムやクロムによってもたらせる。水色のベリルはアクアマリン、ピンク色はモルガナイト(発見者はJPモルガン!)、黄色はゴールデンベリル。

    宝石と放射線加工
    青色のトパーズや黒真珠は放射線処理によって色を加工している可能性あり・・・・

    コランダム:ルビーは赤色のコランダム。青色はサファイア、ピンクはピンクサファイアと呼ばれている。

    大理石 :イタリアのカララに大理石の一大産地がありミケランジェロは石切場に赴き自ら切り出したと言う。

    めのう :火山国に多い。イダーとオバーシタイン、甲斐と遠敷。

    ゲーテ鉱(針鉄鉱): ゲーテはドイツ鉱物学会の創立会員。ベスビオスにも調査のために三回登っている。

    フリーメイソン:石の職人の組合に端を発していると言う。

    チェコ :柘榴石の加工とチェコグラスの技術。
    スイス :石英(クオーツ)の一大産地。加工に富む。
         圧力をかけると微弱な電波を帯びる。
    琥珀の間:ナチスの侵攻によりオリジナルは行方不明に。別の琥珀で再建。

    ブルガリア:キリル文字とロシア正教発祥の地。

    福島県:宝坂オパール

    鉱物標本がほしくなってくる。

  • 鉱物を愛し日本における鉱物の扱いを憂う堀秀道が、あちこちに書いた文章をぎゅっと集めた一冊。
    宮沢賢治に関しては、キャッチーなタイトルのために冒頭に引っ張って来られただけかな。
    宝石や「パワーストーン」ではなくて、鉱物に興味のある人はぜひ読んでみて欲しい。
    読みやすいところだけ一部でも、面白いと思えばぜひ全部。

  • 間にいろいろ手を出したせいで読むのが遅くなりましたが、読了。なんでも鑑定団の鑑定士も務める著者があちらこちらで書いた鉱物にまつわるコラムをまとめた本です。この本で初めて東京国際ミネラルフェアについて知って、行ってきたのはいい思い出です。他の方も書いている通り、賢治については数ページのみ。鉱物に興味のある方には面白いと思います。

  • この本は雑誌等に掲載されたエッセイ集みたいなものなので,宮沢賢治は最初の数ページしか出てこない。。。
    だが,いろいろな石の話があり面白い。バラの石はコーラで修復できるとか!かなり古い話もあるし,重複している話もあるが,筆者の石への愛が感じられる。
    ただ本文中の写真が白黒なのは残念。さらには,一部のマナーの悪い採掘者のために出入り禁止や採掘禁止のところが増えているのも残念。

  • 他の方のレビューにあるように宮沢賢治は最初のちょっとしか関係なかった!でも石の話たくさんでよいと思う。まだパラパラと読んだところだけど、全部しっかり読みたい。

  • 宮沢賢治に触れたのは1章だけなので、賢治ファンには面白いかどうかはわからないが、鉱物採集の初心者は鉱物図鑑片手に読んでおくと、とても役立つと思う。以前雑誌に寄稿したり、連載したものの原稿を集めた本なので、多少の内容重複がみられたり、歴史を感じずにはいられないが、逆に今に比べ自由に採掘ができた頃を知ることができ、うらやましく思う。一部の心ない採掘者の為に、今があるのかと思うと悲しくもある。

  • 著者の、色々な雑誌や機関誌などに寄せた鉱石にまつわるエッセイを一冊にまとめたもの

    宮沢賢治の石好きに関するエッセイは最初に数ページ出てきて、それで終わり。でも誕生石やらミネラルショーのことやら色々書かれていて面白い。月でも火星でも地球でも、構成される元素が同じ組み合わせなら、「まるで見たこともない」ような石ができることはない、とのこと。なるほど、全宇宙共通の趣味になり得るわけか!
    それにしても、本文中の鉱石の写真が白黒だったのが惜しいなー

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著者プロフィール

堀 秀道(ほり・ひでみち)
1934年、東京生まれ。アマチュア鉱物界の泰斗、桜井欽一氏に師事し、中学校時代より鉱物を愛好する。北里大学化学科助手、モスクワ大学地質学部留学を経て、鉱物標本の販売および鑑定・研究の機関、「ホリミネラロジー」(旧・鉱物科学研究所)を設立。
その所長として鉱物漬けの日々を送る。2019年1月3日、敗血症のため死去。長石の新種「ストロナ長石」をはじめ3種の新鉱物を自身発見、研究・発表し、これらの業績に「櫻井賞」を贈られている。その後も岩代石などを発見。また「東京国際ミネラルフェア」の開催に主導的な役割を果たし、アマチュア愛好会「鉱物同志会」の主宰、テレビ東京の人気番組『開運!なんでも鑑定団』の石の鑑定レギュラー、各地の鉱物博物館の開設協力など、日本における健全な科学趣味の普及に大きな貢献を残す。著書に『楽しい鉱物学』『堀秀道の水晶の本』(草思社刊)『鉱物 人と文化をめぐる物語』(ちくま学芸文庫、2017)など。訳書に『石の思い出』(フェルスマン著、草思社刊)、『合成宝石』(バリツキー著、新装飾刊)などがある。理学博士。

「2019年 『愛蔵版 楽しい鉱物図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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