図書館の誕生―古代オリエントからローマへ (刀水歴史全書)

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制作 : Lionel Casson  新海 邦治 
  • 刀水書房 (2007年4月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887083561

図書館の誕生―古代オリエントからローマへ (刀水歴史全書)の感想・レビュー・書評

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  • 古代世界の図書館についての研究書です。ギリシャやローマでの図書館の発展について知ることができます。

  • 2013 8/22読了。司書課程資料室の本。

    図書・図書館史授業用。
    古代、特にギリシア・ローマにおける図書館や関連事象について調べたく読んだ本。
    これ1冊で古代~中世の授業はできちゃいそうなくらい、記述は厚い。かなり使える内容が多い(のでメモも多い)。
    反面、社会変化とのかかわり等、図書館だけにとらわれない視野の広がりのようなものにはいささか欠ける面もある。この本だけで授業はできなくもないが、それをやるとつまらない、といった感じ。

    以下、各章ごとに気になった点のメモなど。

    ◯1章
    ・p.3 エジプトの書物史をたどれない理由・・・パピルスは保存がきかないことに言及あり

    ・p.4 粘土版もメディアとしては2500年位上使われ続けていた
     ⇒・ってことは、なんだ人類史の大半において、本は紙じゃなかったわけじゃないか!

    ・p.7 エブラ・・・棚を見渡せば調べ物が終わる程度のコレクション
     ⇔・ニップール・・・そこそこ大きくなる⇒目録が出てくる
     ←・この話、第2回の授業に盛りこもう。ただしニップールの目録は一貫性のない順序で題名を表にしただけのもの

    ・p.8~10 ヒッタイト帝国図書館・ノットゥケの遺跡
     ⇒・「奥付」と粘土板への番号付けが行なわれたものが散見される
     +p.10 1段落目より・・・組織化方法の詳細:
     「それぞれの記載は、記録される作品を構成していた粘土板に番号を振ることで始まっている。ちょうど現代の目録が、複数巻の出版物に巻数を付けるのと同じである。それからその記載は作品そのものを識別するために、一行目を引用するような形式で表題を付けたり、ごく簡略化した内容を記したりしている。さらには、その粘土板が作品の最後を表していたのか否かを告げている。また時には、著者ないし著者たちの名前がその記載に含まれていたり、あるいはその他役に立つ情報が加えられたりもする。」
     ←これも第2回に差し込むかな?
      ・ニップール⇔アッシュールバニパルの図書館の間
      ・その前にディグラト・ピトセル一世という王が図書館を作っていた(p.15)
       ←・名前のわかる最古の図書館建設者・・・アッシュールバニパルのところに軽く名前を足すか??

    ・p.19 アッシュールバニパルの蔵書構築法について:
     「アッシュルバニパルの代理人たちは、自分たちに対する王の「要求」に含まれたり表明されたりしていた粘土板を、おそらく没収したのである。それはあたかも所有者たちが、自分たちの職務には直接結びつかず、それゆえ、なくて済ませることが比較的容易だった文書を、王に引き渡したかのように見える。」

    ・p.21:アッシュールバニパルが既に蔵書盗難に悩まされていたむねの記述/汚損の話も
     ・個人コレクションの中には既に貸出を行なうものもあった旨の記述があるが・・・持ち出しを禁じるものも多い

    ・p.25~26:再びエジプトについて:図書館があったという記録があっても、後代の実物は発見し得ない
     ⇒・これはパピルスを使っているため
     ⇔・現代の電子メディアがどうなるか・・・と考えると面白いな
      ←・これは第3回のどこかで組み込んでもいい


    ◯2章:ギリシア
    ・p.29~30:前8世紀中葉:ギリシア人のフェニキア文字との接触・ギリシア式アルファベットの開発
     ⇒・楔形文字に比べ読み書きの修得が容易に
      ⇒・多くの人がリテラシー能力を手に入れる第一歩
      ⇔・(コメント):これがよくわからない・・・それだと日本・江戸期の識字能力の高さってどう説明つけるんだ?

    ・p.30:その他の知識生産の広がりの背景:
     ・学校があり、十分な数の人がそこをクリアできる
     ・功利以外の目的での「読み」の普及
     ・書物への欲求の高まり・・・書物の商業流通・個人所蔵
      ←・これらがいつ起こったかは正確には不明

     ・学校に多くの少年たちが通っていた記録
     ・女性が本を読む姿の記録
     ・劇作品中での記述・・・多くの本が流通していることがわかる
     ・料理本が紀元前4世紀の終わりには出てくる
      ⇒・どうも多くの「本」が出回り、多くの人が読む世界が成立していたらしい
     ←・なぜ? そこが知りたい・・・どんな社会だった影響?

    ・材料:パピルス
     ←・エジプトからギリシア世界にも大量に輸出され続けていた(p.38)

    ・p.40~:前5世紀当初は本はそれ1点のみ、著者は人々に読み聞かせる
     ⇒・後に写本を作り身近な人や主たる読者層に配る
     ⇒・前5世紀末には「書籍商」が既に出てくる
     ⇒・前4世紀には繁盛する仕事に。
       安い本なら1冊1ドラクマ・・・労働者の賃金1日分くらい(p.42)
      ⇒・今のイメージなら8,000円とか6,000円とか?

    ◎アレクサンドリア図書館へ影響することの流れ p.44~45
     ・アリストテレスの個人蔵書
     ・アテナイにおける版官吏の政令
      ⇒・アイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデスの作品について、信頼にたる写本を管理すること


    ◯第3章:アレクサンドリア
    ・p.47 学者ならば誰にでも開かれた図書館・・・そういうもの(コレクションと利用者を特定の目的・人物に限らない)は唐突に出てきたようにも思われる?

    ・プトレマイオス朝・・・アレクサンドロスの帝国中、もっとも経済的にめぐまれた土地?(穀物生産やパピルス等)
     ⇒・多くの輸出が可能に

    ・ムセイオン・・・「古代版シンクタンク」
     ・税金を払わずOK+給料が出る
     ・住居、食事も完備
     ・そして・・・図書館が利用できる!
      ・あらゆる書物の獲得を目指す
     ・特にホメロス・・・キリスト教徒にとっての聖書のようなもの
     ・p.55:大図書館はムセイオン等の会員向け:セラペウムは一般開放?
      ⇒・一般向けの文学古典のみを扱うからセラペウムは小さかった?
     ・巻物・・・多巻もののほかに、ひとつの巻物中に複数作品が入っていることも
     ・p.56・・・蔵書は著者名のアルファベット順で並べられていた?
     ・p.58~59:カリマコスの経歴説明
      ⇒・使えるか・・・とも思ったが詳しすぎるか? 零落貴族⇒初等教育教師⇒・なんか王の目について図書館に
     ・p.60-61:ピナケスの詳細について
      ⇒・複数主題を扱う作家の扱いについては不明
     ・p.67-68:最初の「文法書」もアレクサンドリア図書館で作られる
      ⇒・その後の文法テキストに大きく影響

    ◯4章:公開図書館のはじまり
    ・p.78~79:ヘレニズム期には教育熱の高まり
     ⇒・識字率が向上? 前3世紀~2世紀・・・
      ←市井の人々の書物が残っている

    ・p.82 エジプトにおけるギリシア人の手紙
     ⇒・ひまつぶしに読書する人の存在

    ・p.83-84:書籍制作体勢について:引用参照
     ←・その元となる本は? 図書館で借りていたのか?
      ←・例えば・・・ギムナシオン

    ◎巻物・・・中身をすぐにはチェックできないし、繰り返し使うと傷みやすい

    ◯第5章:ローマ
    ・ラテン・アルファベット・・・エルトリア語を経由してギリシア・アルファベットから流入
    ・ラテン文字・・・ギリシア文字の強い影響下
     ⇒・当時(前3世紀)、ローマ内では本は買えず、ギリシアに買い付けに行く

    ・プラトウス・・・ギリシア劇の本案で生計を立てる
     ⇒・自ら写本を買うほどは儲からない
      ⇒・劇のマネージャーたちが台本を管理
       ←・ここから得ていた

    ・ローマでの個人図書館の話:
     ⇒・前2世紀半ばにはローマ内に様々な個人図書館
      ・p.102~ スッラ/ルクッルスの個人図書館・・・戦利品としての図書館/ルクッルスは自らの図書館を広く公開
      ⇒・スッラの図書館の元はアリストテレスのコレクション

    ・ローマの「公共」精神にふれておく必要があるか??
     ⇒・ローマ人の物語とか読み直すかなあ・・・

    ・キケロ・・・自分で作り上げた図書館/アッティクス・・・キケロの友人の図書館
     ⇒・ギリシア人奴隷が図書館員としてはたらく

    ・個人図書館の時代の資料/資料調査とは?:個人が互いに融通しあう
     ・p.111:個人宅の図書館が発掘された話
      ・友人から借りた本を自前のスタッフに写させる・・・新刊の入手法 or あたらしい図書は著者から入手することも
     ⇔・それなら自力でチェックできるが、書籍商から買うと写本の質がわからない・・・書籍商のものの方が低品質かも??
     ・非営利・大量流通時代の書籍流通


    ◯6章:皇帝たちの図書館
    ・カエサル⇒ポッリオにおけるローマ初の公共図書館
    ・p.122~123:その詳細についての記述
     ・ギリシア⇒ローマで図書館の様式が一変(p.124)
      ・ギリシア・・・小部屋に本/人々は柱廊で本を読む
      ・ローマ・・・大きな部屋の壁際に本/中心に閲覧場所
       ←今の閲覧室に近い
     ・書庫から閲覧室へ?
      ←その点でも古代ローマは進んだ時代やなあ・・・
     ・トラヤヌスが皇帝による単独の図書館のラスト?
      ・以後は浴場に組み込まれる

    ・ティベリウス帝・・・ローマすべての図書館の管理者ポジションを作る
     ・procurator bibliothecarum「図書館総裁」
     ・当時、皇帝管理下にあった4~5の図書館の効率的運営への欲求
     ・当初は解放奴隷⇒後に官僚の1ステップに
     ・図書館職員は奴隷or解放奴隷

    ・蔵書構築について・・・p.144~146あたりに記述あり
     ・当時すでにスペース不足の議論も
     ・p.150:図書の入手・・・一部の寄贈、ごく少数の購入、大多数の写本を作ることで得ている
     ⇔書籍商が図書館の本から写本を作ることも
     ・中には当時すでに貸出をしている図書館も

    ◯7章:ローマ帝国の地方図書館

    ◯8章:巻子本から綴じ本へ
     ・2世紀まで・・・図書館の本は巻物、大半はパピルス
      ⇔・1000年紀半ば・・・codexにとってかわられる
     ・codex・・・元々は平板をとじたノート
      ⇒・羊皮紙にすることでさらに強く
     ・パピルスもとじられていた・・・皮革紙だけではない
     ・p.182~:2世紀:綴じ本1.5%⇒3世紀:17%⇒AD300:50%⇒AD500:90%

    ・キリスト教によるcodex愛好(p.185)
     ・特定のページの参照しやすさ
     ・聖職者による日常利用
     ・キリスト教の国教化⇒巻子本排除が決定的に

    ・p.190:巻子本の時代、『博物誌』のプリニウスは音読者を雇うことでメモをとりながらの読書を実現していた話
     ⇒・codexにより一人でもメモを取りつつの読書が容易に

    ・p.191:図書館における管理・・・授業では自分の書いたイラストも参照

    ・ギリシア・ローマからある図書館・・・巻子と冊子の併用管理が必要に
     ⇔次の時代、キリスト教の教会や修道院・・・はじめから冊子体だけあればOK


    ◯9章:中世へ
    ・東西ローマともにキリスト教が勝利
     ⇒・文学(書物?)もそれを反映した宗教的なものが増える
      ⇒・キリスト教の独自の図書館・・・修道院等があらわれる
     ⇒・西ローマ・・・早々に異民族(ゲルマン)侵入に苦しみ分裂
      ⇔・東ローマ=ビザンツ・・・長年平穏、1453まで存続
         ・大学(的なもの)、王宮、総主教座の3つのすぐれた図書館

    ・西ローマ・・・教皇の蔵書群

    ◎修道院のはじまり・・・このあたりは別でも補う
     ・修道院には通常、図書館がある
      ・一般には小さく、100をこえない程度の神学作品のみ
      ・修道士が読むべきものを提供

     ⇔・南イタリア、カッシオドルス・・・修道院を建てる+『教程』を著す
     ⇒・本人がかんがえる十分な知識を修道士が身につけるための図書館
       ⇒・研究図書館的色彩
       ⇒・写字ナマを雇い蔵書の充実をはかる

    ・古代から、特にラテン語著作が生き延びることに貢献
     ←これとビザンツ/アラビアね

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