ゾロアスター教史: 古代アーリア・中世ペルシア・現代インド (刀水歴史全書 79)

著者 :
  • 刀水書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887083745

作品紹介・あらすじ

日本語で書かれた初めての通史。謎の多い古代アーリア人の宗教から、超大国サーサーン朝の国教としての全盛期、ムスリム支配後のインドでの大財閥としての復活〜現代の信仰のようすまでを圧縮して一気に読ませる。世界の諸宗教への影響、ペルシア語文献の解読、ソグド〜中国の最新研究成果に注目。

感想・レビュー・書評

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  • 今まで読んだゾロアスター教関連の本のなかで一番とっつきやすかったです。ゾロアスター教に興味をもったら一番最初に読むのに適してる本って感じでしょうか。最後の方に日本のゾロアスター教研究史と参考文献が紹介されているので、もっと勉強できますし。

  • 目次は、以下のURL参照

    http://www.tousuishobou.com/rekisizensho/4-88708-374-5.htm

     著者の青木健氏は、東京大学文学部イスラム学科に学んだ研究者(博士)。これまでに、『ゾロアスター教の興亡−サーサーン朝ペルシアからムガル帝国へ』(刀水書房、2007年)や、『ゾロアスター教』(講談社選書メチエ408、2008年)などの著作がある。

     ゾロアスター教は、ヨーロッパに大きな影響を与えている。(ニーチェの著作『ツァラトゥストラはかく語りき』(リヒャルト・シュトラウスの交響曲でも有名)のツァラトゥストラは、教祖ザラスシュトラのドイツ語発音である。)クイーンの故フレディー・マーキュリーや、指揮者のズービン・メータ氏がゾロアスター教徒として有名である。また、インド経済に大きな力を持つタタ財閥(本書ではターター財閥と表記)は、ゾロアスター教の神官の家系であるという。本書は、そのゾロアスター教についての「日本語で書かれた初めての通史」(帯より)だという。ゾロアスター教の母体となった原始アーリア民族の信仰から、現代のゾロアスター教徒の活動や学会の研究状況までを網羅しており、学ぶことが非常に多かった。

     ゾロアスター教は、キリスト教・ユダヤ教・仏教などにも影響を与えたと言われており、それらに関心のある人にとっては重要だと言える。また、現代のゾロアスター教についての叙述では、タタ(ターター)財閥の歴史もコンパクトに紹介されており、インド経済に関係のある人にとっても一読の価値があると思われる。あと、しっかりした索引や参考文献の目録が付されているのも、非常に好印象。あらゆる意味で「バランス」のとれた一冊であり、幅広い人たちの関心に応えうるものになっていると思う。

     個人的には、「日本ゾロアスター教研究小史と参考文献」の箇所がとても興味深かった。『無量寿経』の梵本校訂でも知られる足利惇氏氏が、あの室町幕府の将軍家の流れをくんでいることや、伊藤義教氏が、浄土真宗本願寺派の寺の出身であることなどには驚いた。

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著者プロフィール

昭和19年生 名大卒 愛知淑徳大学非常勤講師 「中原中也の会」理事 詩人 作家 文芸評論家
著書「星からの風」(新潮新人賞)「中原中也」「幕末漂流 日米開国秘話」ほか

「2019年 『季刊文科 79号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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