おっぱいの科学

  • 東洋書林
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887218147

作品紹介・あらすじ

進化、環境衛生、遺伝子、授乳、がん、豊胸-現代アメリカに生きる女性が文明批評的にからだの仕組みの自然・不自然を科学する、ちょっと気になる「まじめな話」。

感想・レビュー・書評

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  • 人間は基本,おっぱいが好きだけど,あまりおっぱいのこと知らないよね,ということで手に取ってみる.
    タイトルがすでに強い.

    中身は真面目,乳房に関する自然科学,社会科学目線それぞれでアプローチ.

    ・生物学的,乳房は子供に栄養を与える機関
    ・進化学的には,乳房は生物が多種多様な環境に対応するための進化の結果(哺乳類)
    ・現代の女性にとっての乳房は美を追求するための必須要素
    ・現在病という目線では乳房はその影響を最も受ける機関の一つで母やその子の健康,発育に悪影響を及ぼす.

    ・若干のヒステリック味を感じなくもない.内分泌撹乱物質を極限までゼロにしようとするのはわかるけど,それらがなかった昔も人間は不衛生な環境でウイルスや細菌を大量に摂取していたはずだ.内分泌撹乱物質にカテゴライズされないものでも人間に何らかの生化学的な反応を起こす,それと乳がんに固執するのはストレスを溜めるだけでは.

    ーーーーーーーーーーーーー

    ホモサピエンスと98%同じ遺伝子をもつチンパンジーには乳房というものがない.

    「乳房には母乳をたくさん蓄えて置けるので赤ん坊は以前よりも小さい体で生まれるようになり.脳も前より大きくなった.生まれてくる子が小さくなったので,臀部は以前より狭くなっても支障がない.このことが二足歩行への進化を後押しした.」→おもしろ!

    乳汁のもとは血

    所々にユーモアの効いた表現もありスラスラと読める.
    「(豊胸手術のビフォーアフター写真を見て)どこにも問題がない素敵な胸だったものが,痩せたあばらに載った水風船のような姿をしている」
    (豊胸後の結果をコンピュータシミュレーションを見ているときに)「私のサイバーおっぱいはみるみる縮んでいった」

    濃密な事実や分析とユーモアの緩急ある文章という点でも参考になる

    "今あるものだけでは足りないと思わせることにかけてアメリカの消費文化の右に出るものはない.”

    人類の歴史より乳房の歴史の方が遥かに長い(哺乳類全般をカバーするからね)

    表現型可塑性(ひょうげんがたかそせい):
    生物個体がその表現型を環境条件に応じて変化させる能力のことである


    豊胸の歴史:シリコンといううってつけの素材の発見(セレンディピティ).何人もの女性を犠牲にした豊胸手術の発達.(トライアンドエラー)
    進歩は計画・トップ的に行われるものではなく,偶然と失敗の連続で行われる.

    環境ホルモン,工業化,発育異常.家畜の成長ホルモン



    授乳コンサルタントという仕事があるらしい せかいひろい 
    授乳も命がけ
    母乳には大量の細菌が含まれている.ちなみに尿は無菌(へー!)
    自然界にはないけど母乳には含まれる糖やそれを好む細菌(あの,ビフィズス菌)がいる.菌と人間の共生
    母乳は栄養を与えるだけじゃなく,免疫をつけさせるきっかけにもなっているんだ

  • 『おっぱいの科学』はまじめな学術書です。おっぱいを守れ!

    http://naokis.doorblog.jp/archives/oppai.html【書評】『おっぱいの科学』〜おっぱいを守れ!

    <目次>
    序章 乳房の惑星
    第1章 誰がために胸はある
    第2章 哺乳はこうして始まった
    第3章 乳房の配管工事のやり方、教えます
    第4章 豊胸の時代
    第5章 おなかのなかまで届く毒
    第6章 シャンプーやマカロニが少女の思春期を早める?
    第7章 妊娠と乳がんの割り切れない関係
    第8章 母乳vs粉ミルク、正しいのはどっち?
    第9章 母乳のなかの聖なる細菌、何より大事な人間の腸
    第10章 酸っぱいミルク
    第11章 未踏の荒野にひしめくピルとホルモン剤
    第12章 誇り高き少数の男性患者たち
    第13章 あなたは高密度?老いゆく乳房と乳がん検診
    第14章 乳房の未来
    訳者あとがき
    原注
    索引

    2013.10.07 HONZで見つける。予約。
    2013.10.27 借りる
    2013.10.29 読書開始
    2013.11.06 読了

  • 女性のジャーナリストによるおっぱいにまつわる科学の本。基本的に謎を解明していくというより、おっぱい関係の不安を調べていく。乳がんや母乳の汚染といったやつを。

    読んでいて『人体600万年史(下)』を思い出した。ようするに人体の仕組みと現代的な生活でミスマッチが起きているのである。普段は著者の性別についてそれほど気にすることはないが、この本に関しては著者が女性だからこそ書けた本であると思う。

  • 乳がんの話が多い。
    ホルモンや難燃剤などの薬品などとのかかわりが疑われているようだ。

    おっぱいの研究は研究者が少なくあまり解明されていることが少ないらしい。

    母乳を通じた生物濃縮が起きているらしいというのは興味深かった。

    誰それとのやりとりや私事が多く良くも悪くも科学感を薄れさせる。
    個人的にはなくてもよかった。

  • 進化した乳房、欲望の乳房、汚染された乳房。いろんな角度から乳房を考察。
    著者も女性で、母乳で子育てしたことから好奇心で調べ上げていき、ユーモアもあって読みやすい。
    乳がんを見つけるのは自身で触診する技を身につけるのが一番だそう。勉強になった。
    女性ならぜひ読んでほしい。

  • 2014/04読了。結構かかった。

    タイトルだけで気にいって購入。本書はおっぱいの歴史から始まり、おっぱいの役割、そして、現代社会でおっぱいがどのような環境下におかれているのかをまとめたおっぱい尽くしの真面目な本である。ホントだよ。

    読んでみて、感じたことは我々はおっぱいについて意外と知らないことが多く、そして解明もされていないということだ。生物学的な話から言えば、昔の化石とか見ても、その当時おっぱいがどうなっていたかなんてわからないし、他の動物と比較しても、ずっと膨らんでいるのも珍しく謎が多いらしい。まあ、「おっぱいの研究をします!」といってもお金が集まらないのも一因だろうけど。

    あと、我々が言葉を操ってコミュニケーションが取れるのはおっぱいのおかげであるというのは、目から鱗だった。それ以来、私のおっぱいへ対するリスペクトは止まらない。

    私は、多少の毒は生きていく上で必要だと範馬勇次郎的な考えがあるので、筆者の何としてでも有害物質を過度に危険視するのはあまり好きではないけど(一応、有害なだけじゃないとか、乳がんの原因が何かまだはっきりしないとは描いてるけど、そういう印象を受けた)、おっぱいを取り囲む環境は厳しいものが多く、影響を受けやすい器官であるということは理解できた。我々がおっぱいに恋し惹かれるのはそういったか弱い存在であるのからなのかもしれない。

    おっぱい派もおしり派の人どちらにも読んでいただきたい良書である。I love OPPAI.

  • 男も女も子供も大好きおっぱいの魅力の話から、乳がんの話へと展開される。
    性誘惑のためおっぱいは発達したのではなく、哺乳のために発達したというあたりの話は面白かった。
    環境と遺伝子は相互作用しているという今どきの理論にそって、化学物質の危険性などがパーセンテージで示されている。(実数は不明)
    ジャーナリストということで浮ついた文体で読みやすいが、後半はほぼ乳がんの話でちょっと疲れた。
    マンモグラフィーが世間話に出るようになってから10年くらいだろうか。
    マルコムグラッドウェルも効果が怪しいと書いていたが、科学の世界は変化が激しい。

  • 性的対象としての乳房の研究ばかりに異を唱える。あまりにも乳房はそれ以外の目的からはないがしろにされ好きだ。

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