100歳の美しい脳: アルツハイマ-病解明に手をさしのべた修道女たち
- ディーエイチシー (2004年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784887243651
作品紹介・あらすじ
678人の修道女の人生と脳を対象に、老化を多角的に研究する-。1986年にはじまり現在も進行中の「ナン・スタディ」はアルツハイマー病研究に多くの成果をもたらした。若年期のすごし方が老年期にどう影響するのか、アルツハイマー病の発病と発症の不一致の原因、さまざまな老化を防止する要素。このかつてない研究に、修道女たちは喜んで協力と献脳を申しでた。献身的で温かな"ファミリー"とともにすごす修道女の充実した日常が、単なる長生きではない「高齢という生き方」を問いなおす。最後まで充実したよりよい人生を歩むための、示唆にとんだ報告。
感想・レビュー・書評
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地味に読んだことなかったので、やっと読んでみた。知見は多少古いだろうが、シスターの生き様とアルツハイマー病に真摯に向き合った過程と結果がまとまっていてよかった。
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成毛選だと思い込んでたけど、これは瀬名科学本からのチョイスだった。何だか面白いと思えなくて、途中で出所を探してみて判明。で、ついでにそこで勧められる書評も読み直してみた訳だけど、どうしてこれで読みたくなったかな?っていう内容。当時の自分に疑いの目。他に勧められている諸々も、既読のものについては今一つピンとこなかった本が多くて、なるほど、氏のセンスは自分とは相容れないんだな、という発見はあった。嬉しくない発見だけど。という訳で、本作についても特に言及することはなし。日進月歩の脳科学分野についてなら、もっとスリリングな本が、これ以降にいくらでも上梓されていると考える。
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脳を紐解くナン・スタディという研究成果の本と思い読み始めたが、どちらかというと人類愛や他者へのリスペクトに満ちた濃いめのエッセイだった。
人間の体の様々なことを研究していくと最後には、「バランス良く食べて多少動き、よく笑い、新しいことに挑戦し勉強を続ける。するとより良い人生になる」という至極当たり前の結果が出てくるがこの本も似た側面はある。
但し、筆者のスタンスが研究というよりシスター達への敬愛を著したものになっているので、とても読みやすい。またシスター達は非常にエネルギッシュでとても素敵。生きる指針がある雰囲気が伝わってきた。 -
科学者としてアルツハイマー病の解明のために研究に向き合う筆者の姿と、ひとりの人間として修道女の生き方、言葉から幸せに生きることとはどういうことなのかを感じ取ろうとしている筆者の姿の両面が両方伝わり、とても共感できた。
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修道女を対象に十数年の研究を行い,アルツハイマーという病気の解明に研究がどのように貢献したのかを示した本.ものすごく感動した.二つの意味で.ひとつは多くの人にとって有意義な,独りよがりでない,すばらしい研究をされていること.もう一つは人間の人生がそこにあって,それが文章としてとてもよく伝わってきたこと.人間のある特性を研究するとき,その研究成果はすべての人において言及できるものでなければならない.そのため,通常科学者は研究の対象となる人々の余分な特性(年齢,教育歴,性別,生活水準,時間,空間などなど)が均一になるようにできる限りコントロールしようとつとめる.しかしこれはとても難しいことで,なかなかうまくいかない.とくに,今回のようにアルツハイマーの特性について検討すると行ったような場合,アルツハイマー患者の対象は非常に条件のコントロールが難しくなってしまう.著者は修道女という対象を選ぶことで(生活水準,性別,教育歴,など)うまい手法でコントロールした.さらに参加者約700名の被験者の生存中の認知的機能的データ,生理的データをとりつつ,死後の献脳を約束してもらうことで,あらゆるデータとアルツハイマーとの関連を検討可能にしている.このような研究は後にも先にもないだろう.でも最も「いいな」と思ったのは著者がそのような厳密な統制を行いながらも,対象者を思いやる心を忘れていない点である.対象となった修道女一人一人の生い立ちを丹念にひもとき,敬意と愛情をもって接しているのがよく伝わってくる.ひるがえって世間一般の多くの「人間に役立てるための研究」をしている研究者はどうだろう.目的と方法を見ればその研究者が「赤い血の流れた人間を対象にしている」ことをちゃんと認識し,「なにをどうすることが人間の幸せにつながるのか」認識しているかどうか,すぐにわかる.認識できていなければ「○○に役立ちます」といったところで,所詮はマスターベーションと同じレベルである.公開せずにちゃんと一人でやればいいのだ.
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ISBN-13: 978-4887243651
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アルツハイマーを研究する著者と、サンプルになってくれた修道女たちの記録。
みんな同じような生活習慣の修道女たちはブレが少ない。
だから亡くなった時に参加してくれた人全員の脳を見れば、アルツハイマーの人とそうじゃない人の差がわかりやすい。
ということでシスターたちに協力を乞う。
脳ってすごい、おもしろい!
だけどこの本が面白いのは、「脳」だけを見ているんじゃなくて修道女たちの生前があって、生き様があって、交流があって、筆者の悩みや使命感があって、つまるところ人がきちんと描かれているからだ。
これは確かに美しい。
ちょっと「クリスマスの木」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4105340018を連想した。 -
修道女はだいたいみんな同じ生活レベルで、生活習慣も同じだから、彼女らを比較研究することで、アルツハイマー病の原因などを調べる、というのがナンスタディ。アルツハイマーのことだけじゃなくて、健やかに年をとるということがどういうことか描かれている。