長ぐつをはいたねこ

  • 童話館出版
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本棚登録 : 103
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (16ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887500815

感想・レビュー・書評

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  • 私たちの世代にとって『長靴をはいた猫』と言えば、「びっくりしたニャ」の東映アニメーションのやつ。
    今回、この絵本を手に取る機会があり、改めてアニメーションの方(1969年東映まんがまつりのもの)もあわせて見てみた。
    意外と二者で共通する点があって驚いた。絵本によるペローの原作と、アニメとの共通点を気づいたままに挙げてみる。
    (1) 3人の息子が親の遺産を引き継ぐが、末の息子だけが損な立場になっている。
    (2) 猫が知恵をきかせて王様による接見が実現し、末の息子のことを「カラバ侯爵」だと紹介する。
    (3) 王様が王女と領内を視察して川のほとりを通るのを猫が先に知り、末の息子に服をすべて脱いで川の中にいるように言う。
    そして通りかかった王様に猫が「カラバ侯爵が川で水浴び中に服を盗まれました」と進言し、王族ご用達の服を調達する。
    (4) 猫が農民たちに、王様が通った際には『ここはカラバ侯爵の土地です』というように仕向ける。
    (5) 猫が人喰い鬼の所へ行き、知恵を効かせて鬼を大きな生き物と小さな生き物とに姿を変えさせる。小さな生き物に変化した鬼を成敗する。

    ストーリーは、自分の出生や貧乏といった逆境を、猫のアイデアでひっくり返すところに面白さがあるが、アイデアと言ってもそんな大仰なもんじゃなくて、いわばコロンブスの卵的な発想。
    そもそも、猫に長靴(ブーツ)をはかせるという発想が奇抜。でも奇抜だけどギリギリで珍奇じゃない。
    そこをこの絵本では、ウォルター・クレインの絵が如実に示している。

    東映アニメのペロは、顔は猫で体つきは完全に人間。いわば見た目は「猫の着ぐるみ」。
    また、ドリームワークスの映画作品では、猫の体毛や肉付きは残しているが、直立二足歩行であり、その点では人間化されている。
    しかしクレインが描く猫は、背中が曲線を描く本物の猫のシルエットを保ち、その猫にブーツを履かせている。いわば、本物の猫によるブーツ姿。猫が猫の姿のままで、ブーツを履き、歩き、走っている。
    それが自然な姿として矛盾なく描かれているところに、クレインの画家としての挑戦がうかがえ、この本の価値を高めている。

    一方で、文・絵ともに子どもの嗜好にまで“降りてきていない”ので、子どもにすると「難しい」「とっつきにくい」本なのかもしれない。
    でも私は子どもに対して、大人側で勝手に噛み砕くような“へりくだった”態度で絵本を読ませるのが嫌いなので、まずは子どもにそのまま読ませる→それで子どもの反応を確かめる→難しいという子どもの感想を得る、この一連の流れ自体が大事だと思っている。
    すでに評価の定まった絵本での“安住”に満足できない親御さんは、この本での読み聞かせに“挑戦”してみてください。

  • このねこが賢過ぎる

  • 童話館大きいさくらんぼコース2月の配本。
    これまで読んできた「長靴をはいたねこ」の中のNo. 1!
    どこか品のある挿絵と子どもに媚びない、でも心地よい文章。芸術品。

  • 何が幸運を持たらすのか、分からないわね~

  • こんな猫ちゃんうちにも欲しい!
    美しい絵にこっけいなお話。
    世紀末美術がお好きな方にもオススメです。

  • 長靴をはいたねこが、最後大臣になるなんて、不思議!楽しいお話だっなぁ(娘)

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著者プロフィール

Charles Perrault (1628-1703)
17世紀フランスの作家、詩人。ルイ14世の宮廷に仕えた政府高官だったが、晩年に民話をもとにした作品を次つぎと公表し、フランス民話編纂の始祖として知られる。民話に独自のアレンジを加えた彼の作品は、後世に様々な影響を与え、いまでも読みつぎ語りつがれている。

「2023年 『民話の森叢書1 グラビアンスキーの絵本ペロー昔話集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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