予定不調和 (Dis+Cover Science)
- ディスカヴァー・トゥエンティワン (2010年4月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784887597945
作品紹介・あらすじ
「体細胞由来クローン」「脳画像技術による嘘発見器」「遺伝子ドーピング」…。最先端の科学によって登場しつつある"今までになかったもの"は、単に生活を便利にするだけでなく、私たちの価値観を揺さぶる存在に-。ある技術だけを推し進めた際に生じる「予定不調和」。一見、気味悪そうな現象に「調和」をもたらすためには、何が必要なのか?近未来を想定したフィクションで多彩な事例を紹介しつつ、研究の今を描き出す異色の作。
感想・レビュー・書評
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これからの科学の在り方についてに関する本としては面白かったが、あまり科学に深く触れてないのが物足りなかった
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サイエンス
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科学技術の光と影といった、科学技術をそれ単独で見るような単純な図式ではなく、科学の未来に調和をもたらすのはいったい何なのかを考えるのに最適な本。おすすめ。
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なんのこっちゃ
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SFは科学技術がもたらした未来社会と、人間の倫理感との乖離や矛盾も面白さの一つだと思います。
でも、それがもはやフィクションだけの世界ではないかもしれない、そんな未来がすぐそこまで迫っているかもしれない、そんなことを考えさせられる本です。
この本で取り上げられるのは、クローンや遺伝子操作、脳科学、パワードスーツ、管理社会などです。そして、それらの科学は一般に浸透した近未来を想定し、その未来の薄気味悪さを描きつつ、そうした技術の現状を描きます。
読んでみると、多くの技術が予想以上に進んでいることに驚きました。この本が発行が5~6年前なので、たぶんもっと進んでるんだろうなあ。
技術に対して抱く恐れは、二つに分けられるような気がします。技術自体に対する恐れと、技術を使う人間に対する恐れです。前者は研究が進めば危険性はある程度減らせそうな気がしますが、後者に関しては技術が進むごとに膨らむもののような気がします。
管理社会もののSFなんかはまさにその典型。管理に対する技術というより、管理する権力者たちが問題となるわけです。
そして技術が進むと、人間が想定してなかった問題も生まれます。現代でも、治療技術が進んだために、尊厳死や安楽死、介護の問題に人間は追いつけてなく、ネットが発達するごとに、プライバシーの侵害や犯罪のリスクも高まります。一時期話題になった「バカッター」も技術に人間の倫理が追い付いていないんだろうな、と今は思います。
技術の発達は何をもたらすのか。多角的に見ることの必要性を考えました。 -
遺伝子、クローン、ブレインマシン、科学分野が発達していくと世の中にどんな未来が待っているのか。フィクションではあるが決してありえなくはない科学の話。もう少し深く突っ込んで欲しいなというところもあるけど中々面白かった。
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科学技術の進歩に伴い、私たちは常に選択を迫られる。
目紛しい進歩から、世代間ギャップの低年齢化も進んでいるのではないだろうかとさえ思える現代において、今一度立ち止まって考えたい。 -
[途中]
▼スマートドラッグの章に関して。
薬害なんてものは、架空の話でも、
あるかもしれない未来の話でもないだろう。
もうすでに少なくとも何十年も前から、
日本の職場にあったではないか。
「呑みニケーション」という形で。
呑まないとやってられない仕事と、
上司が部下を呑みに連れて行く文化は、
最近まで、極一般的な光景だった。
アルコールの依存度は、リタリンや覚醒剤と、
同等であり、なぜ規制されないかと言えば、
酒造が、伝統文化であるのと、
大手飲料メーカーが幅を利かせているだけに他ならない。
また、日本でスマートドラッグや大麻が、
規制される一番の原因は、ビールが売れなくなるから。
神経に影響を与えるのは、
スマートドラッグだけではない。
アルコール、ニコチン、カフェイン、ハーブ、香辛料。
全部規制すれば、紅茶もカレーも食べられない。
かといって依存度ではアルコールを規制しなければならない。
こういった規制の法律は既得権益で成り立っている。
(というレポートを書いたら、体育教師に完全無視された)
さらにではなぜ、一般的にアルコールより、
覚醒剤のほうが怖いと思っているのか。
それは、飲料メーカーのテレビCMにある。
ビールのテレビCMが大量にオンエアされ、
アルコールには、親近感を抱かせる。
芸能人の覚醒剤使用などが、センセーショナルに報じられる。
しかし、アルコール依存症はニュースにならない。
なぜなら、飲料メーカーはテレビ番組のスポンサーであるから。
そして日本のテレビ、新聞、ラジオの大手マスコミは、
互いに株式交換をして共謀関係にある。
仲間内で不利になるニュースは決して報道しない。
また、神経に作用するものは服用するもの以外にもある。
ギャンブル、セックス、スポーツ、瞑想が主な例。
なので、政府はギャンブルや性的行為、表現に対して、
規制をかけている。
▼科学的なテストの章に関して。
好きこそものの上手なれ
好きなものだから上手になれるのであって、
上手になれる可能性が高いから好きになるのではない。
教育とは、可能性を広げるものであるべきで、
可能性から選択するのは個人の自由意志。
局所的な可能性を高める為に効率を優先する、
オーダーメード教育では、結果として可能性狭めることになる。
▼遺伝子ドーピングの章に関して。
我々は驚異的な記憶力も集中力も必要ないから、
そのように出来ているのであり、
必要な負荷が掛かれば、遺伝子は次の世代で書き換わる。
理想とするチューンナップなどというものは、
無いモノ強請りに過ぎず、遺伝子の運び手として必要なものは、
全て備わっているのが生命ではないだろうか。
仮に理想とするチューンナップなど行えば、
多様性が失われ、単一のウイルスや気候変動などで、
ドーピングした個体全てが瞬く間に全滅するという事態が、
想像されるがどうだろうか。
遺伝子を運ぶという生命の使命を忘れ、
我欲に走るが故に人類は滅亡してしまうのかもしれない。
▼体細胞由来クローンの章に関して。
オチなし。
たとえば、北朝鮮のような独裁国家だとか、
新興宗教だとか、過激な動物愛護団体だとか。
いったいどのくらいのリソースがあれば、
クローンの研究が出来るのだろうか。
▼デザイナーベイビーの章について
木を見て森を見ない。
では、本当に人間の見知で森を見る事は可能だろうか。
いくら遺伝子の基礎研究を続けたところで、
全体の繋がりを全て解けるはずもない。
遺伝子の繋がりで何かの要素が発現するには、
社会的要素、環境的要素も当然関わってくるはずである。
アメリカ人での研究が日本人では当てはまらない。
二酸化炭素濃度や平均気温の僅かな変化で、
確率が大きく変化する。そんな事がないほうがおかしい。
だから、森を見るなんて事は、神を見るに等しい。
アーカーシャ、アカシックレコードの世界だ。
人間は世界の陰影を一つの方向からしか見ることは出来ない。
役立つ事を目的にしているのが現在の科学なのだ。
だから、科学は木を見ることしか出来ない。 -
スマートドラッグやクローン、遺伝子ドーピングといった、現在の立場で考えると倫理的に様々な問題を抱える「未来の技術」について考える本。
SFのようにあくまでフィクションとして書かれている「もしこんな世界になったら……?」という文章で問題が提起され、簡潔な説明があって、そんな中で問題が解決される可能性について探っていく。
様々な事例を載せてあるため深い学術的知識が得られる類のものではないが、基本的な事はわかりやすいようになっている。
概要を知って、その上で問題を見つめ直す――という形だが、この本が他と違うのは、とても前向きに書かれている事だ。
他に発展していくどんな技術が、この問題を解決する糸口になるのか?
現在抱える、開発途中の技術の良い点・悪い点を考え、こんな視点で捉えていく。
新しい物の見方を教わったと思う。
又、各章の最後に参考文献が載っているので、気になった事を調べやすい。 -
SFの様な小話が各章にあり、わかりやすい。それぞれの章の内容は薄いが、広い分野を扱っているので仕方がないと思う。参考文献は載っているので興味を持った内容をもっと詳しく調べることができる。
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2010 5/20読了。Amazonで購入。
面白かった!
伊藤計劃のSFをめちゃめちゃマイルドにしたようなフィクション部分に、解説がついてくる感じ。
実際、『虐殺器官』や『ハーモニー』に出てくる技術と関連するような話も多々。あるいは『攻殻機動隊』とか。 -
サイエンスコミニケーターである長神先生の新作。
科学が発達し、これから恐ろしい時代がやってくるのでは?というのを、フィクションでユーモアたっぷりで書かれてます。
将来的に大学受験が脳画像診断解析だけで受けられる?
将来的にドーピングはゲノム操作によりわからなくなる?
将来的に受精卵のゲノムを操作することで、デザインベビーが生まれてくる?
などなど盛沢山!!