ナージャの村

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著者 : 本橋成一
  • 冬青社 (2007年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本
  • / ISBN・EAN: 9784887730717

ナージャの村の感想・レビュー・書評

  • 本作の舞台は、チェルノブイリ原発事故に見舞われたベラルーシ共和国チェチェルスク地区ドゥヂチ村です。

    今だからこそ、どうしても手に取って頂きたい1冊としてご紹介します。

    東日本大震災を受けて、多くの方が東北各地に、そして福島に、思いを馳せておられることと思います。
    「逃げろ」という言葉は、一体どういうことを意味するのでしょう?
    この作品では・・・
    現在も当たり前のように暮らし、生きている、人々の営みが、当人の言葉とともにまとめられています。

    語弊を恐れずに記すと、悲しみの大地に生き続ける人たちの姿は、私にとってとても輝かしく見えました。

    写真を補完するための言葉ではありません。一枚一枚の写真が物語り、そして何度も反芻するように頭を巡り続ける一説を、本文より少し引用します。

    " 悲しみの大地、と人は呼ぶが、
     ここで暮らしている人々のことは知らない。(略)
     問題は放射能ではなく、いのちのことなのに。
     いのちとつながっている、ふるさとのことなのに。
     そんなことは誰もいわない。
     ただ、危険だから逃げろ、という。(略)
     美しい藍色の空は広がり、落ち葉が舞う。
     なにも変わらない、わたしのふるさとだ。(略)
     この大地にいのちを葬りたい、という気持ちを、
     誰も知らない。(略)
     ここが、わたしのふるさとなのに・・・。"

    理論的に被爆を捉えることは多くの方が出来ると思います。だからこそ、当事者こそが持ちうる強い思いがベージをめくるごとに表れて、日常をとらえたモノクロ写真たちが、それを雄弁に語ります。

    にじみ出る郷愁を、この地を離れることで失ってしまうものを、"あぁ、そういうことなんだ" と、どうか感じて頂けたら。
    そう思います。

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ナージャの村の作品紹介

チェルノブイリ、ベラルーシ、ドゥヂチ村。いのちの大地…第17回土門拳賞受賞。

ナージャの村はこんな本です

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