わたぶんぶん―わたしの「料理沖縄物語」 (〈文明の庫〉双書)

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著者 : 与那原恵
  • 西田書店 (2010年3月3日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784888665230

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わたぶんぶん―わたしの「料理沖縄物語」 (〈文明の庫〉双書)の感想・レビュー・書評

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  • おなかがすく。

  • エッセイや小説は、全体であじわうもので、数値分析はむずかしい。
    「考える人」編集長のメールマガジン
    http://www.shinchosha.co.jp/kangaeruhito/mailmag_html/588.html
    を読んで。
    表現がきれい。エッセイは文が心に沁みるかどうかで好みを決めている気がする。

    ・ぽうぽうもちんぴん(柔らかいクレー部のようなもちもちしたおやつ)も、丁寧にゆっくり焼き上げる。あわててつくってはなめらかな口ざわりにならない。思い出すのは、夏の日曜日の午後、うるさい兄や姉が外に遊びに行って、狭い長屋のわが家でさえのんびりとした空気がただよう時間である。五人きょうだいの末っ子のわたしは父にとくべつにかわいがられていたから、父がわたしのためだけにつくってくれるお菓子なのである。兄や姉にはナイショにしておこう、と十歳のわたしが優越感にひたるときでもあった。

    縁側に腰掛けて足をぶらぶらさせていると、台所から甘い匂いとあぶらのかおりがただよってくる。わたしは「茶飲みばあさん」とあだ名されていたほど日本茶好きの子どもだったのだけれど、お湯がたっぷり入った急須も用意して、父がつくるぽうぽうを待っていた。

    …ぽうぽうという音の響きはその味のように甘くやさしい。父のようにわたしを愛してくれるひとはこの世にほかにいない、そのことをわたしは知っていたと思う。

    ・奄美の島唄は、沖縄の民謡とはまったくといっていいほどことなる。沖縄の民謡が浅く遠い海に届くものとすれば、奄美の島唄は深い森のなかに響くような感じがある。

    旋律としても、奄美群島の徳之島までが日本の民謡音階で、沖永良部島から琉球音階となるのだけれど、唄にこめられる詩の世界もずいぶんとちがう。暮らしに根ざした描写、伝承の物語が静かな言葉でつづられ、それゆえにつよく胸にせまってくるのだ。

  • 沖縄の両親をもち、内地で育った著者の、沖縄の食をめぐるエッセイ。沖縄関係のエッセイでいちばん心地よく読めた一冊だ。料理とは、レシピが残っていても、それを作り手がいなくては、思い出の中の味になってしまうものだ。それがいつまでもきらりと光る味なのか、心の奥底で鈍く光る味なのかは、いろいろだ。ひとつひとつの逸品料理が失われてしまって、食べられないのはとても悲しいけれど、想像するとゆたかな気持ちになれる、そんな一冊。

    沖縄料理では、じーまみ豆腐が最も好きだから、おばあの柔らかだけど年季の入った手で裏ごされる味わいを想像してしまって、ますます虜になった。
    じーまみ豆腐は、沖縄に行ったときに、私がそのお店のレベルを測るのに試す料理でもある。スーパーでパックで売ってるやつや、下手な観光客相手の店だと不味くて食べる気が失せるのだ(ちなみに漁港とかで売ってるやつは安いのに結構イケる)。それもそのはず、とても手のかかる、ハレの日のごちそうだと知ったのだった。

    私はいつだって美味しい、手作りのじーまみ豆腐が食べたいし、この本を読んでからは作ってみたい、と思うようになったのだった。

  • タイトルの「わたぶんぶん」は「おなかいっぱい」のこと。もくじにずらり並んだ、「ソウミンプットゥルー/ぽうぽう/ビーフン/うからいりちー/みぬだる/すば/じーまみ豆腐/らふてぇ/上海蟹/刺身/アーサ汁/ぐるくん/ひーじゃー汁/マンゴー/いかすみ汁/鶏飯/くうぶいりちー/ごぼう巻」……見るだけでおなかが空いてきます。

    新宿成子坂下にあった沖縄料理の店「壺屋」のおばちゃんをはじめ、著者につながるいろいろな人たちの思い出が食べものとともに紡がれ、あとがきにあるように「料理の記憶とは、ひとと過ごした時間のこと」だと読み手にも伝わってきます。

  • わたぶんぶん…おなかいっぱい
    ・あんだぁ…豚の脂身を煮詰めてつくった脂(これが沖縄料理の命といえる)
    ・てぃあんだぁ…おかあさんの手の脂=手料理が料理をおいしくする
    ・あじくーたー…濃い味
    ・がちまやー…食いしん坊
    ・すばジョーグ…沖縄そば好きの人達のこと・・・

    沖縄料理の一皿に込められた著者のエピソードはあたたかく、しかも濃い。とても真似できないけれど、私も自分のてぃあんだーをもっともっと育てたい。読んでよかったさぁ~~~

    いちばん食べたいと思ったのは「じーまみ豆腐」、おいしいじーまみ、出会いたい。

  • とても深いお話がいっぱいです。
    そしておいしそう。

  • 2010.04.11 朝日新聞に紹介されました。

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わたぶんぶん―わたしの「料理沖縄物語」 (〈文明の庫〉双書)の作品紹介

沖縄料理の手づくりの味わいをあらわす言葉に、「てぃあんだぁ」つまり「手」のあぶらというのがある。お母さんの手のあぶらが料理をおいしくする、という意味だ。おばちゃんのてぃあんだぁも上等さあ。そういえば、もうひとつ沖縄言葉に「あんだぁぐち」というのもある。あぶらの「口」、意味はお世辞がうまい、である。おばちゃんの口にあんだぁはまったくついていない。ちょっとはつけたらといってみたいけれど、きっとぶたれる。

わたぶんぶん―わたしの「料理沖縄物語」 (〈文明の庫〉双書)はこんな本です

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