日本中世に何が起きたか―都市と宗教と「資本主義」

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著者 : 網野善彦
  • 日本エディタースクール出版部 (1997年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784888882583

日本中世に何が起きたか―都市と宗教と「資本主義」の感想・レビュー・書評

  • 1997年刊(初出80~97年)。著者は神奈川大学経済学部特任教授。言わずと知れた日本中世史研究の論客の書だが、相変わらず新たな気付き事項が多い。本稿では、鎌倉新仏教の興隆の要因(特に時宗・真宗・日蓮宗)として、貨幣を軸にした経済活動・交易の拡大と、彼ら勃興する交易民の心性に新仏教が響いたという点が第一にくるだろう。また、天皇を軸とする王朝支配が、中世初期以降、荘園公領制と共に、神人・供御人制に依拠するようになった指摘も同様。この交易活動拡大が、河川水運を利用した山中の村(農業民×、職人○)にも及ぶ点も。
    全体の見通しを良くする上で、古代から中世、近世くらいまでの交易史・商業史、これに貨幣史を絡めた論考を見てみたいところ。

  • 日本の仏教は、なぜ鎌倉期に優れた人材を輩出したのか? ほかの時代ではなくこの時代だったのはどうしてなのか? 著者はこの問いに向き合ってきたのだという。
    そして従来、農業社会と考えられてきた中世が、都市化されていたことを発見する。
    あわせて論考される「差別」について、差別は人間の根源的な問題ではなく、あくまでも社会システムによるものだとする。うーん、差別にはもっと自覚的にならなくちゃね。こればっかりは関東の人間はちょっと無神経かも。

  • 都市に基盤をおく重商主義的社会と農村を基盤とする農本主義的社会という対立軸を設定し、中世に前者の勃興による社会の変動をみる。
    人が制御できないもの=「悪」ととらえ(「悪僧」「悪党」「悪人正機」)、神・天皇と直結した非人・神人などが社会の周縁部=無縁において資本主義的ネットワークを構築する構図を描く。悪の肯定・悪の制御において鎌倉新仏教が果たした役割など興味深い。
    ただし、安達康盛、足利直義が農本主義、平ヨリ綱、尊氏、高師直が重商主義というのはやや図式的すぎるか・・・。

  • 著者の情熱にはマックス・ウェーバーの「プロ倫」を思い出させる気がします。後醍醐天皇の改革が日本の神仏を頼る人たちを没落させ、中世を大きく変革させた。そこから重商主義が勃興し「資本主義」の素地が出来たと言うのは皮肉です。同和問題の背景についても著者の説明は明快です。必ずしも江戸時代の幕府の政治的な政策に説明を求めることなく、何故差別が生まれて行ったかを社会の変化とともに描き、もっと根の深い問題であったことを痛感します。日本において神に仕えるとされた人たちが、差別される側に変化してしまう「聖と俗」の逆転について興味深く考えされる本です。

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日本中世に何が起きたか―都市と宗教と「資本主義」はこんな本です

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