学術論文の技法 新訂版

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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784888883528

感想・レビュー・書評

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    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/58545

  • 卒論作成へ向けて。
    以下、本書より。

    普通、「読み書き」能力などと一言でいいますが、しばしば指摘されるように、日本語の場合、読む能力と書く能力との間にはかなりの違いがあります。
    大変な読書家であっても、文章を書くとかなり誤りが多いという人はざらにいます。
    これは日本語というものの特質によるのかも知れません。
    「話すように書け」などといわれますが、日本語の会話表現は決してそのまま文章になるようなものではありません。
    社会学者の清水幾太郎氏は「日本語を外国語と思って扱え」という提言をされていますが、これは適切な忠告です。
    私たちは文章を書く場合、日常会話とは違う言葉を書くのだということを頭に入れて、とりかからなければなりません。

    日本語の文法体系はヨーロッパ系言語のそれとは甚だ違っていますし、一見、非論理的に感じられますが、日本語は決して非論理的なのではなく、論理を表現する仕方がヨーロッパ系の言語と著しく違っているのです。
    日本人相互の会話はそれで事足りているのですが、さて、それを文字に定着させようとする際に、会話の表現では舌足らずになるのです。
    というのは、日本語の会話は「室内語」と呼ばれるように相互に一定の諒解の下に成り立っているのですが、それを文章に移す場合には、相手すなわち読者がどのように自分のいうことを理解してくれるかわからないので、つまり、相互諒解を前提としていないために、念を押す意味で、厳密な、あるいはくどい表現形式をとらなければならないのです。
    ヨーロッパ系の言語にはこの厳密さあるいはくどさがあり、それがそれらの言語を一見論理的にしているのです。
    ヨーロッパ系の言語では、必ず主語が入るか、あるいは人称と単数・複数による動詞の活用語尾をつけることによって、「何が」「誰が」ということをわかるようにするのです。
    それだけ表現が厳密になり、また、くどくなるのです。

    このように考えるならば、文章を書く場合、「話すように書く」などということができないことが容易にわかるでしょう。
    そこで「書く」能力を養うことが必要となってくるのです。
    もちろんここで「書く」能力といっているのは、文章の上手・下手ということではありません。
    自分の意志を誤りなく伝えるための表現の正確さということです。
    良い論文を書くためにいわゆる名文家・美文家になる必要はありません。
    「うまく」ではなく、「正しく」書くことが大切なのです。

  • 816.5||Sa2||Ga=1S

  • 大学生になって第一に知るべきことは、「勉強」と「研究」の違い、「レポート」と「学術論文」の違いです。まだ、よく分からないという人は、本書の3~14ページの序章を読んでください。OPAC→http://libopac.lib.juen.ac.jp/opac/opac_detail_book.cgi?lang=0&amode=11&key=B142898367709559&place=&blkey=268152&start=1&srmode=0&bibid=0000185932

  • 卒論向け。おそらくどの分野でも役立つ。徹底的な資料の集め方など、卒論とはここまでやるものなのかと思った。もちろん盗用は言語道断である。逆に言えば小保方は卒論程度のことも守れていなかったのだがそれも大学にも責任がある。
    何度か改定を繰り返し、PC周りの記述がさすがに古さを感じさせるが良書。

  • 論文とは何か、論文の書き方を簡潔に示す。

  • 2013年11月~ 企画コーナーにて展示中

    越谷OPAC : http://kopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1000542400

  • 序章 学術論文とは何か
    1 文章の目的
    評論=具体的な問題についての結論を明確にするのが目的
    論文=結論に達する研究手続きをあきらかにするもの

    学術論文は、学者・専門家に読んでもらうという明確な目的を持っている

    2 学術論文の目的と特質
    「論文は、それぞれの学問分野で専門の研究者によって書かれるもので、その著者が自分の研究でえた結果を報告し自分の意見をのべたものであり、それによってその学問分野に新知見をもたらすものである。」(p.7)

    1 一冊の書物や、一篇の論文を要約したものは研究論文ではない
    2 他人の説を無批判に繰り返したものは研究論文ではない
    3 引用を並べたものは研究論文ではない
    4 証拠立てられない私見だけでは論文にならない
    5 他人の業績を無断で使ったものは剽窃であって研究論文ではない(pp.7-8)

    ・論文は、自分の獲得した新知識や新見解だけを提示すればよい

    第一章 論文への出発
    1 テーマの設定
    テーマ=取り上げる問題
    日々の疑問・問題がないと論文が書けるはずがない
    テーマの条件
    相談すること
    学術雑誌に数多く触れ、そのテーマを選んだ自分の根拠を明確にすること
    必要不可欠な素材が利用できるかどうかを確かめてからテーマを決める
    自分の条件
    自分の力と事情に応じたテーマに変えなければならない=そのほうが結局長い目で見れば自分の力を養うことになる
    2 テーマの修正と決定
    学習を進めてはじめて設定すべてテーマがわかる
    自分がつけ加えるべきものは何か?悩む(膨大な蓄積に潜む欠陥や空白について意識する)
    関連分野の文献目録を徹底的に調べることからはじめる
    3 論文の分量

    第二章 資料の蒐集と記録
    1 資料の蒐集
    テーマの決定と資料の蒐集とは同時的に進むもの
    「足で書く」
    資料集めの労苦を厭うようでは論文作成は望めない
    何が資料になるかは決まっていない
    はじめにリスト作り(試行錯誤的)=自分の研究を学説史上の何らかの場所に位置づける
    2 文献の探索 図書館の利用
    文献目録 百科事典
    総記
    3 文献の探索 オンライン情報の利用
    4 文献目録の作成
    5 ノートの記載
    レーニンの「哲学ノート」「帝国主義論ノート」
    切り貼り、思いつき
    6 大量の文書データの管理

    第三章 論文の構成と体裁
    1 論文の構成
    ・序章、本論、結論
    ・自然科学の本論=材料と手続き・方法、結果、考察
    ・書けるところから書く
    2 序論の役割
    3 論文の体裁
    4 論文の学術性
    歴史学者の太田秀通 
    実証性の吟味の基準
    1研究材料の理解が正しいか
    2研究材料の解釈に無理はないか
    3研究材料の証明力の判定に誤りはないか
    4事実認定に実情を無視した点はないか
    5状況証拠からの想定に誤りはないか
    合理性の吟味の基準
    1概念の使用が一貫しているか
    2原因の推理に不合理な点はないか
    3推定に推定を重ねた形跡はないか
    4論理の進め方に無理はないか

    ・資料がどのくらい信頼できるか
    ・事実を歪めたり証拠もないのに断定したりしてはいけない
    ・概念を首尾一貫させる
    ・一語一語に自分の立場についての絶えざる反省と自覚とを迫られる85
    ・わからないところは正直に次回の課題にする

    第四章 論文の文章
    1 文体の表記
    ・日本語を外国語のように書く
    ・文章にお化粧をしない
    ・説明のための注、出典の注
    ・フランス語の注は大文字を避ける
    最初と固有名詞のみ
    かんしなら次も大文字
    ・opcit あいだに入った
    ・明朝体
    ・図書館などに足繁く通ってコツコツ調べる努力と、問題を考えぬく情熱が基本的なエネルギー
    ・自分にとって都合のよい条件を生かし、自分なりの勉強法を案出する

  • 本当に基本的なことのみが書いてあります。
    これはいい本。使いやすいと思います。

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著者プロフィール

中央大学文学部教授

「2012年 『デジタルメディアの情報インデックスと知識と地図の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

斉藤孝の作品

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