- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784888883634
作品紹介・あらすじ
昔話は独特の様式と構造をもっています。本書は、「こぶじいさま」「三びきのこぶた」などの誰もが知っている昔話を具体的に分析し、その語りの特徴や構造のもつ意味、昔話の残酷性について考えます。そして、絵本化された昔話絵本を場面ごとに読み取り、その魅力と面白さに迫ります。昔話と昔話絵本の世界をトータルにとらえた、フェリス女学院大学のオープンカレッジでの講義をまとめました。
感想・レビュー・書評
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昔話の読み解き、残酷さの必要性など、他書の引用も含めてまっとうな論考になっている。
学問的な分析は、ややもすると物語の豊かさを損なう恐れがあるが、本書は分析と総合のバランスがよくとれているように感じた。
・昔話とは「発端句をもって始まり、伝聞を示すことばを添えて語り進めながら、それが又聞きであることを示し、結末句を持って終わる伝承文芸である」(柳田邦男)
・P135のこぶとりじいさんのコラム。人まねは良くない。欲深いのはよくない。というだけでない。物語は細部に宿る。状況判断の妙がそこにはある。
・昔話絵本は昔話という語りを絵本にするのだから、音をイメージに変えること。時間の文芸を空間の文芸にすること。
・「子豚を食べる」のは、残酷だが、描写は残虐ではない。
・昔話が残酷なのは現実が残酷だから。昔話は現実ほどには残酷ではない。
・「かちかち山」は生存競争の苛烈さを示すシリアスな物語。
・大人も子どもも怖いものには興味がある。そして子どもであっても怖いものに立ち向かう必要がある。なぜならそれが人生だから。
・「大人が心配しなければならないのは、昔話の残酷さなどではない。親身になって子どもに昔話を聞かせる人のいないことだ。子どもの放りっぱなしにされている状態をこそ大人は心にかけるべきである。」(野村 ヒロシ)
・パロディ版昔話絵本(3びきのかわいいオオカミ。三びきのコブタの本当の話)。書き換え版詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
物語の残酷性についても言及アリ。