夜の語り部

  • 西村書店
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本棚登録 : 98
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784890135493

感想・レビュー・書評

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  • 2023/5/5 読了

  •  「8月のシャハラザード」っていう演劇がありまして,面白いんですけど,シャハラザード(またはシエラザード)が何だか知らなかった高校時代の私です。無知ですまん。
     というか,アラビアン・ナイトの大筋についてもごく最近まで知らなかったので,偶然だけど知った後にこれを読んでよかったです。まあ,わからなくても大勢に影響はないんですが,豆知識的には知っている方がベターです。

     1950年代のシリア・ダマスカス。お話上手なのを長いこと御者の仕事に活かしてきたサリムじいさんが,突然口がきけなくなった!サリムじいさんが最後に言ったことには,長いことじいさんのそばにいた物語の妖精が引退したせいだという。もう1度物語の妖精についてもらい,じいさんが言葉を取り戻せるように,7人の個性的な友人たちが奔走するが・・・。

     筋はこのような感じで,ちなみに児童文学です。まさに当時のダマスカスの市井の人々の生活が描かれています。
     登場人物たちがそれぞれに物語を語っていくんですが,アメリカ帰りのトゥーマが,アメリカの話をしても全然信じてもらえなかったり,アメリカでシリアの話をしても全然信じてもらえなかったりというのが,一番シリアの特徴が描かれているなと思いました。値切らないで買うなんて信じられない!とかな。
     まさにアラビアンナイトの系譜ですな。そして,人生には物語がある。しみじみします。
     喫茶店のマクハとか,ハチワカとか,聞きなれない言葉も出てきて印象深かったけど,こういうのって21世紀の今でも残っているのかしら。。

     とても夢中になって読めました。生きているうちに,シリアにいける機会があるといいんだけど。。

  • 番外編02 第1回ビブリオバトルinなわて なわてvsいこまで発表された本です。 テーマ「大人も楽しい!子どもの本」。チャンプ本!

  • ダマスカス、シリアなどを舞台とした作品です。

  • ラフィク・シャミを初めて読んだのが、これ。
    大学の図書館にてジャケ借り→購入。

    「物語」好きにはたまらない一冊。

    タイトルもすてき。

  • 一度は行きたいダマスカス

  • 2008年3月30日読了。
    今年10冊目。

  • もう、装丁がラブリー以外の何ものでもないです(笑)。

    舞台はシリア。首都ダマスカスの下町に住む御者のおじいさんの口がきけなくなったため、友人たちがそれを治すためにあれやこれやと物語を語って聞かせる物語です。友人たちの語る物語はもちろん昔話ではなく、現代の自分たちや身内に起こった物語なんですが、これがどれも素敵な加減で「アラビアンナイト」のような夢物語感をはらんでいます。ただただ自分や友人の身に起こったことをとつとつと語るのではなく、語って聞かせる詩情があるというか。おとぎ話よりももっと大人の話ですが、おとぎ話よりももっとやわらかい響きを持っているように思いました。

    シリアの下町のざわめきが気持ちいいほどに伝わってきます。著者さんはシリアの生まれで旧西ドイツへ移住し、そちらで教育を受けられたかたなので、原著はドイツ語。翻訳は独文の松永さんなので安心して読めます。シリアといえば国際政治では非常に微妙な立場にある国ですが、文化の面からいえばとても懐が深くて豊かなんだなぁということをしみじみと知らされました(行ってみたい国トップ5くらいに入ってる)。

  • 雰囲気がとてもここちいいものでした。ただ、もっと歳をとってから読んだ方が言わんとしていることをちゃんと飲み込めるのかな、って気がしました。

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著者プロフィール

著*ラフィク・シャミ(Rafik Schami)
1946年シリアのダマスカス生まれ。亡命後1971年よりドイツ在住。1982年以降、作家として活動し、世界150万部のベストセラー『夜の語り部』や『空飛ぶ木』『言葉の色彩と魔法』(以上、西村書店)などを発表。ドイツ語圏におけるもっとも成功した作家のひとりであり、作品は30以上の言語に翻訳されている。1987年、『片手いっぱいの星』(岩波書店)でチューリヒ児童文学賞、1993年、ドイツ語を母語としないドイツ語作家に贈られるシャミッソー賞、2010年、『愛の裏側は闇』(東京創元社)でIPPY(独立出版社書籍賞)ゴールドメダル賞、2011年、忘却に抗し民主主義を支援する文学に対して贈られるゲオルク・グラーザー賞など、受賞多数。

「2022年 『ぼくはただ、物語を書きたかった。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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