夜と朝のあいだの旅

  • 西村書店
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本棚登録 : 105
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (483ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784890135950

感想・レビュー・書評

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  • サマーニ・サーカスの団長であるヴァレンティンは、ある朝郵便配達をしているピアから一通の手紙を受け取る。それはかつての親友、ナビルからのウラニアへの招待の手紙だった。彼が死ぬまで、ずっとアラビアでサーカスをしてほしいという願いがそこには書かれていた。突然のことに驚きながらも、彼らは大金を手に入れウラニアに喜んで向かう。サーカス団はアラビアを旅してたくさんの観客に歓迎されるが、実の妹たちに冷たい態度で追い返されたり、一部の反政府グループに攻撃されたりとヴァレンティンには不運がつきまとう。そんな中、ピアがアラビアにやって来てヴァレンティンは有頂天になる。果たして、サーカス団は無事にアラビアでの公演を終えられるのだろうか?そして彼の本当の両親の愛の物語の結末とは?

    個人的にはとても好きな本です。あくまでも個人的に、です。この本は普通のファンタジーのように、急展開を迎えたり、どきどきして仕方がない場面はあまりありません。それでも、18万部という数が売れた(ドイツ)理由は、この本の世界観にあるのではと思います。ウラニアを中心に、隅々まで細かく描かれている町並みや、人々の様子がありありと伝わってきて、まるで自分がその場にいるような感覚を抱かせるまでの、筆者の表現力には脱帽です。ここまでしっかりとした文章は見事。
    個人的にサーカスというものが、昔から憧れだったのでこの本を読んだとき、楽しく読めたような気がします。綱渡りをするエヴァや、猛獣使いのマルティンなど、魅力たっぷりの登場人物が素敵。ただ、筆者の恋の発想には少しついていけなかった。やはり、外国文学ということで多少は仕方ないのかなという感じ。主人公は、実は母ツィカと愛人タレクの子供だったというのには、ショック。いくら何でもルドルフォ(ツィカの夫)がかわいそう。サーカス団の中でも、様々な恋が発展しますが、どれも複雑。実際問題には近いのかもしれませんが、小説としてはややきついものがあります。ピアとヴァレンティンの恋はどうなるのか、最後まで知りたかった。

  • サーカスの話。残念ながら余り楽しめなかったです。余興として語りがあったりするんだけど、外国の話だからなのか何が面白いのかがサッパリで・・・

  • なにもかもいい

  • よみたい

  • 確かシャミの邦訳では初めての長編。シャミがシニカル&ユーモラスなだけでなく、シビアな目を持つ作家だということを初めて認識しました。サーカスの一団の旅という以前に、人生という波乱だらけの旅はまさに夜と朝のあいだを往くような、ほの暗く先の見えない旅なのだろう。それを時に陽気に、ほんの少しの魔法をまぶして語られる「アラブのお伽噺」に昇華してみせる様は、めくるめくマジックを見せられた幸福な驚きを与えてくれる。

  • これもYA向けの本です。ドイツの児童文学賞を受賞した作品。暖かい気持ちになれます。

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著者プロフィール

著*ラフィク・シャミ(Rafik Schami)
1946年シリアのダマスカス生まれ。亡命後1971年よりドイツ在住。1982年以降、作家として活動し、世界150万部のベストセラー『夜の語り部』や『空飛ぶ木』『言葉の色彩と魔法』(以上、西村書店)などを発表。ドイツ語圏におけるもっとも成功した作家のひとりであり、作品は30以上の言語に翻訳されている。1987年、『片手いっぱいの星』(岩波書店)でチューリヒ児童文学賞、1993年、ドイツ語を母語としないドイツ語作家に贈られるシャミッソー賞、2010年、『愛の裏側は闇』(東京創元社)でIPPY(独立出版社書籍賞)ゴールドメダル賞、2011年、忘却に抗し民主主義を支援する文学に対して贈られるゲオルク・グラーザー賞など、受賞多数。

「2022年 『ぼくはただ、物語を書きたかった。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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