窓から逃げた100歳老人

  • 西村書店
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本棚登録 : 1361
感想 : 178
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  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784890137060

感想・レビュー・書評

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  • クスッと笑えるどころではなく、定期的に吹き出してしまうようなコメディでした。
    扱う内容はかなり壮大で、戦争や原爆等一見堅そうななのにも関わらず、重苦しさがなくどんどん読めてしまいます。
    物語の展開からして笑いどころが多いだけでなく、主人公の無頓着さゆえの読みやすさもあるような気がします。
    主人公の半生である過去パートが世界規模すぎて、かなり大規模にドタバタやっているはずの現代パートが霞むくらいです。

  • 入り込めず脱落

  • 老人ホームでの100歳の誕生パーティーの日、アラン・カールソンは窓から逃げだした。
    行き当たりばったり、なるようになるさの逃走劇。
    行方不明者として警察に追われ(失踪?誘拐?最終的には殺人容疑)、ひょんなことからギャングの大金を奪ってしまったので、ギャング団にも追われることになる。

    ピンピンしているとはいえ100歳なので、走って逃げるどころか大金入りのトランクをひきずってよちよち歩き、休養だって十分とらなければならない。
    そして何より、酒がある限りそこを立ち去ることなんてできないのである。

    そんなアランがどうして警察にもギャングにも捕まらないのか。
    それは、人生はなるようになるからさ。
    匿ってくれた人を次々仲間に加えながら、のんびりと逃亡を続けるアラン達一行。

    それに挟まるように書かれる、アランの一生。
    父が不在のアラン家では、生活のためにアランも子どものころからニトログリセリン会社で働いていた。
    そこで得た爆薬の知識が、後のアランの人生を助けるのだが。

    世界中の紛争の裏に、アランの爆薬の知識がある。
    フランコ将軍を助けたり、原爆の実用化に一役買ったり、毛沢東の妻を助けたり、スターリンの逆鱗に触れて収容所暮しをしたり、金正日を泣かせたり。

    アランは100歳。
    つまり一世紀生きているわけで、つくづく20世紀と言うのは世界中で戦争があった時代だったのだな。

    で、感想だけど、すごく評判の良かったこの作品、私は楽しめませんでした。
    歴史上の人物ではない人たちが何人か、不幸にも命を落としてしまいます。
    しかしそれに対して、あまりにもあっけらかんとしすぎているのが、どうしても納得いかなかった。
    最初に「それ、笑えないよ」って思っちゃったから、最後までのれなかったのだと思います。
    笑って読み流すべき行き当たりばったりを、眉間にしわ寄せて読んじゃった。
    残念。

  • 評判の割りには面白さがよくわからなかった。

  • タイトルに惹かれ読み始める。100歳の誕生日に老人ホームから脱走、途中でひょんなキッカケから大金入りのスーツケースを入手し、犯罪組織と警察から追われる。追っ手の追及を結果的には巧みにまきながら、社会からのはみ出し者を仲間に増やしつつ、珍道中が繰り広げられる。この100歳での逃避行と重ねながら、この主人公の生まれた時から現代までの人生歴が綴られているが、100年の歴史の節目を振り返るように、歴史上の著名人と出来事に絡んでいく。奇想天外、支離滅裂という形容に相応しい面白さ。シドニーシェルダンの超訳に見られた展開の小気味良さと、北杜夫風のまじめにふざけた文章がいい。読み出したら先が気になる秀逸な娯楽小説だ。

  • ロッタちゃんやピッピと根っこが同じ!!と読みながらうれしくなってしまった。
    やかまし村の子どもたちやピッピを読んだときのあの何とも言えないおもしろさと同じ。道徳の枠からはみ出しても、そんなの全然OKで、人としての肝心なところをぎゅっとつかんで駆け抜ける感じ。あの面白さをこんなふうにこの年齢で味わえるなんて思ってなかったなぁ。
    あー、読んでよかった!

  •  元気な100歳のじいさんが老人施設での誕生会に嫌気がさして窓からスタコラ逃げ出したというユーモア小説だと思ったら大間違い。なんと壮大なスケールの世界歴史冒険小説だったよ。100歳のじいさんが逃げて行くついでにいわくありげなスーツケースを失敬したらそれがなんと大金入りで、悪者グループとひと騒動もふた騒動も巻き起こしたあげくに警察に追われるのだが、なぜかしまいには事件はなかったことになって、南の島へ蓄電してしまうというのがあらすじだが、その合間合間にじいさんの100歳に至るまでの世界を股にかけた人生行路が挟み込まれており、そっちがかなりの比重を占める。米ソ中をはじめ主要国の大統領や要人と次々に知り合いになっては事件を巻き起こし、もちまえの運と才覚で生き延びるという連続で、しまいには悠々自適の大金持ちになる。なんというかこれは人生何とかなるものだという超楽観小説でもあるわけだ。捧腹絶倒とはいかないけれど達者な訳文もあってかなり笑える。爆薬と原爆は相当違うと思うけどね(笑)。

  • [墨田区図書館]

    曳舟の図書館には、予約本の集荷棚があり、各自がその棚の中から予約した本を取り出すセルフ方式となっている。自分の予約本の置かれた棚番号が分かっていてもその棚にも多少の幅はあるし、自分の予約した本の装丁を知らなかったりすると端から順に背表紙とにらめっこすることになるのだが、、、「予約本」というからには、誰かが「読みたい」と思う本たちばかりが置いてあるので、ふと興味をそそられる本が沢山置かれている。

    そもそも目に止まったのは、「国を救った数学少女」。面白そうだったので読んでみようと本情報を控えて調べてみると、同著作はまだ二冊、そのうちの一冊目であるこの本が処女作と分かったのでこちらから読んでみることにした。

    途中話が軌道に乗るまでがやや読みづらく、時間もあまりなかったので数日読み進めるのにかかったが、一度アランの過去が語られ、トロッコのあと、ベニ―と出会う頃には大分雰囲気が読めてきて、そこから先は一気読みして、夜には読み終えてしまった。

    アランの一生をこの1世紀の世界情勢に絡めて話していくので、第一次世界大戦の頃の世界情勢とか、主要国の首相など時の権力者について知っているとより楽しめると思う。社会をもっとも苦手とし、日常生活でも人の顔と名前を覚えるのを苦手とする私でもかの国の有力者たち、ならびに日本に関する重要な日付は分かったのでアランの数奇な人生語りも2回3回と挟まれるうちに結末はともかく、話の運びが見えてきてどんどん面白くなってきた。

    最後に読んだ訳者の説明に「素晴らしき出鱈目小説」とあったが、そう、正にその通り。しかもさらりと殺人つきの逃避行まで発展させておきながら、その憎めない?小憎たらしい?人物像からどう話が進んで終わるのかとついつい先のページを急いでしまう。分厚いけれど、まるで小学生の頃に気に入って読みふけった赤川次郎のようなライトノベル的な仕上がりで久しぶりに量を読んだ気がした。

    そして最後は最初へと続く終わり方。ちょっとしたことなんだけど、この終わり方も良かったな。老人ホームに収容された過去のアランの"最後"も判明したし、現実のアランのお話の最後もすっきりとしたし。茶目っ気のある作者の作品をもうしばらく読んでみたい。当初目を付けた、「国を救った数学少女」もいいが、早く3作目が出てくれるといいな。

  • 図書館で借りた本。

    自分の100歳の誕生日パーティーが嫌で嫌で逃げ出したアランのメチャクチャな逃亡劇と生い立ちから老人ホームに入るまでのアランの半生が交互に描かれていて最後まで飽きずに読めました。

    結構酷い目にあってるはずなのに北欧とロシアの人はウォッカさえあればいいのか?と思うくらい昔からアランが飄々としていて悲壮感がなくてよかった。

    優れた小説とスケールの大きなホラ話は紙一重ってどこかで読んだことがあるけどその通りだと思う。

    割りと読みやすい文体(翻訳)でした。

  • いや~~面白かった
    トム・ハンクスの映画を思い出した
    痛快・爽快・後味良し

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著者プロフィール

著◆ヨナス・ヨナソン(JONAS JONASSON)  1961年スウェーデンのヴェクショー生まれ。ヨーテボリ大学卒業後、地方紙の記者となる。その後、メディア・コンサルティング会社およびテレビ番組制作会社OTWを立ち上げ成功。テレビ、新聞などのメディア業界で20年以上活躍した後、『窓から逃げた100歳老人』を執筆し、デビュー。世界で累計1500万部を超える大ベストセラー作家となる。本書は、『国を救った数学少女』『天国に行きたかったヒットマン』『世界を救う100歳老人』(いずれも西村書店)に続く5作目。

「2022年 『華麗な復讐株式会社』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ヨナス・ヨナソンの作品

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