ファン・エイク: アルノルフィーニ夫妻の肖像 (名画の秘密)

  • 西村書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (79ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784890137305

作品紹介・あらすじ

ヤン・ファン・エイクが描いた"アルノルフィーニ夫妻の肖像"は、世界で最も有名な美術作品のひとつであり、画集やポスター、絵はがきなどを通じてこれまでに数多くの複製がつくられてきた。だが、この作品はいったい何をあらわしているのだろうか?よりつきつめて言うならば、新婚夫婦の寝室という最もプライベートな空間に私たちが踏み込むとき、いったい、どのような「神秘」が待ちうけているのだろうか?私たちは、この絵の細部をひとつひとつ眺め、思いがけない発見をしてはとまどう。ファン・エイクという画家は、徹底的な細密描写を重ねることで驚異的な写実主義に到達した。夫婦の寝室という「親密」な場面をつつましく描きながら、画家はそこに普遍的な「小宇宙」を凝縮している。また巧みな光の描写によって、私たちに、あたかもこの寝室に招待されているかのように感じさせる。そして、背後の壁に描かれた凸面鏡(この驚くべき仕掛け!)は、そこに映し出された画中の空間を拡張するだけでなく、夫妻のほかにさらに2人の人物が存在することをも示唆する。その2人は絵を観ている私たちかもしれない-。このようにして私たちは、作品の鑑賞者から画中の登場人物となり、時間の止まったこの寝室へと神秘の力で運び込まれるのである。そして最後に、最も重要な問題が私たちの前に立ちふさがる。ここに描かれた人物は誰なのだろうか?それは、ほんとうにアルノルフィーニ夫妻なのだろうか?

感想・レビュー・書評

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  • 15世紀の北方ヨーロッパを代表するヤン・ファン・エイク――の『アルノルフィーニ夫妻の肖像』のみに焦点を当てた、とても贅沢な一冊。んまぁ、『モナリザ』なんてなんぼでも出ているし、ありっちゃありか。
    鑑賞しどころの解説だけでなく、タイトルそのものに疑問を呈する説を紹介するなど、結構刺激的。
    …にしても、恐らく最初にこの絵を知ったのが『怖い絵』シリーズだったためか、そういう風に見えて仕方がない。

  • 絵画の偉大な伝統を創始したファン・エイク。油彩技法によって得られた透明性や洗練された筆遣いにより、一つひとつの対象はいずれも、その材質感や光の効果、構図上の配置などをじっくりと分析したうえで描写されている。複雑な全体像を人物や静物によって完結させながら、きわめて細密で写実的なイメージを詩情豊かに伝える。本書では謎の大作「アルノルフィーニ夫妻の肖像」を細部の細部にわたって、あらゆる角度から検証する。観察し堪能する楽しさを味わいながら無限の想像をかきたてられた。

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