ひきこもりカレンダー

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著者 : 勝山実
  • 文春ネスコ (2001年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784890361243

ひきこもりカレンダーの感想・レビュー・書評

  • 巻末で斎藤環さんが書いている通り、極端に暗くて、攻撃的で、悲壮的な言説で語られてきたひきこもり界隈に新たな語彙を持ち込んだ一冊と言えると思います。二項対立ともいえたこの業界にひきこもり本来の在り方が、ようやく提示されたんじゃないでしょうか。生きることに意義を見いだせない今の社会を引き合いに、ひきこもることを肯定する……煩悩から脱したような、究極の自己確立です。

  • だめ絶版。求む復刊wひきこもり名人と称する前のひきこもり青年の毒見たっぷりの爆笑エッセイ。

  • 『安心ひきこもりライフ』がおもしろかったので、さかのぼって『ひきこもりカレンダー』を借りてみた。『…ライフ』は、もう、ひきこもり仙人のような達観を感じたが、10年前のこの『…カレンダー』は、まだ、かなりナマナマしい。

    勝山さんの親、とくに母親がかなり凄い人だったらしいことは『…ライフ』でも書かれていたが、こっちの本では、親が悪い、全部親が悪い、親が憎い、親に土下座させたいと、すさまじくののしってある。

    たとえば冒頭。
    ▼まず、ボクの親が激烈でした。
     人並みの子供でいてほしい、他人に褒められるようないい子に育ってほしいと望むあまり、元来利口でないボクは母親の怒りに触れ、よく殴られたものです。子供を折檻して死なせてしまう親がいますが、あれはボクの親のことです。ニュースにならなかったのは、ボクが頑丈だったのと、従順に母親の要求に応えようと、生きるための必死の努力をした結果です。(pp.5-6)

    子供のころ、「友達たくさん、明るく元気な礼儀正しい少年」という親のリクエストに、死にものぐるいで応えた勝山さんは、中3の頃からおかしくなりはじめ、それでも高校受験に勝って「学区内で偏差値が一番高い学校」に入る。その最後の親孝行のあとに、真っ白になった勝山さんは、この受験勉強=穴掘り=たくさん掘ったやつが勝つというのが、いつまで続くの?と思ったときに、壊れてしまった。

    「結局のところ、両親がボクにしてきたことというのは、ボクの居場所とボクの時間を奪うことだったような気がします」(p.45)と勝山さんは書いている。

    ひきこもりながらバイトをしたときに、その作業のスピードがとてつもないものだったと、勝山さんはいう。
    ▼作業自体は子供でもできそうな単純作業なのですが、それをこれ以上、スピードアップできないくらいの速さでこなしていくのです。…機械からはおでんの具のパックがぞろぞろと出てきます。それを袋に入れていくのです。3人くらいでやるのですが、誰も何も話しません。一言しゃべれば仕事についていけないくらいの速さなのです。これが仕事というものなのかなと考えたね。これが世の中のスタンダードなのかと。お金をもらうということ、生活をするということはここまで厳しいものなのかと考えてしまった結果、ボクの出した結論は正しくない、というものでした。これは非人間的、機械優先の世の中、というか職場である。もっと人に優しくと思ったわけです。
     こんな人に厳しい職場が世界標準[グローバルスタンダード]になるのか? そんなことを考えながら、おでん工場で働くオレ。(pp.151-152)

    ▼ボクらは機械じゃないのに、より機械的な能力のある人間を求める世の中。このままひきこもっているのが正解です。増えていますからね、ひきこもり。(p.163)

    巻末には、勝山さんと斎藤環の対談がある。
    「勝山さんとしては、万が一、変われるものなら親御さんにどう変わってほしいですか?」と斎藤が尋ねている。
    ▼勝山……自分の人生を生きてほしいですね。子供にはもう構わないでほしい。親自身が好きなことをやってくれれば、子供はうれしいんです。母親がニコニコして自分のやりたいことをやってる、父親がやりたい仕事に熱中して楽しんでる、その姿を見たいんです。それで十分です。(pp.172-173)

    世間の目や社会システムや親のプレッシャーが、ひきこもりから抜け出そうと焦れば焦るほどはまり込むという悪循環をさせてしまう。だから、親がとりあえず子供のことをほっといて、のびのびと自分の人生を生きているだけでも、悪循環が回避されることはある、勝山さんの案はすごい有効な解決策だ、と斎藤は言っている。

    ひきこもりの8割が男性ということについて、勝山... 続きを読む

  • 引きこもる側が引きこもりながら引きこもることについて意見を述べるってあんまりないことなんじゃないだろうか。よくは知らないんだけど。引きこもる人はみんな後ろめたさとか自信のなさとかでいっぱいで、世の中に意見しようって人は少なそうな気がする。そういう人たちがこの本を読んだときに、元気が出るのか自分には無理って思うのか、でも少なくとも訳知り顔の医者の書いた本なんかよりはよっぽど役に立つのかな。読書なんて役に立たなくても別にいいんだけどさ。たぶんこの人とは意見を異にする引きこもりの人もいるわけで、そういう人たちのいろんな意見を聞いてみたい。
    これは10年前に出された本なわけで、この人がその後どういう道をたどったのかが気になるところ。ちょうど最近新しい本を出されたようなので、そちらも読んでみたい。

  • 氏の言葉には疑問を感じる部分が多いです。

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ひきこもりカレンダーの作品紹介

「ボクは壊れてしまったんです」ひきこもって10年。29歳の青年がいま、沈黙を破って語りはじめた!公開対談・勝山実、斎藤環(精神科医)「本当に親が悪いのか?」収録。

ひきこもりカレンダーはこんな本です

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