八十歳のアリア―四十五年かけてつくったバイオリン物語

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著者 : 糸川英夫
  • ネスコ (1992年6月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784890368365

八十歳のアリア―四十五年かけてつくったバイオリン物語の感想・レビュー・書評

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  • 秋なので、やたらと心に沁みました。字が大きくてすぐに読めます。
    どうせ死ぬのに、何のために生きるのかと学生の時から考えていたそうです。級友が一人青酸カリで自殺しました。「何のために生きるか発見するために生きる」という名言を授けてくれた先生もいたそうですけど。
    その彼の紆余曲折と、45年経て完成したバイオリン。
    生きる理由なんて見つからなくて、とりあえず親とか子供とか、死なない理由があれば自分の生きる理由を棚上げにして。棚上げにした代わりに近くにずっとあったものが、人生の結果として僕の影響を受けてそこにある。自分もそこから影響を受けていて、自分がそのために生きてこれたような、最初そんなことは少しも思っていなかったはずなのに。
    そんな人の人生の不思議をまとめた、論理の人が自分の不得手な感情と感覚の機能を使って荒削りに、自分を生かしていたものの真ん中にあった何かを書いた本。

    ・「敗戦の宣告」によって、生の意義を奪われてしまった僕にとって、このバイオリンは、「自殺から僕を救ってくれたバイオリン」だ。一人の人間には、ひとつの命しかない。それと同じで、命とひきかえに誕生した楽器だから、たったひとつしかこの世に存在しないのである。

    ・僕がつくったバイオリン”ヒデオ・イトカワ”号は、「メニューインという神が弾いた」というひとつの神話を出発点として、これから独り歩きをはじめてゆくことだろう。
    これで、僕がバイオリンをつくった物語は終わりである。
    四十五年かかってバイオリンをひとつつくりながら、僕は生きてきた。僕は、”ヒデオ・イトカワ”号の音を聴くたびに、ほんわりと幸せな気持ちになる。生の日々がどんなに辛く苦しくとも、僕たちはバイオリンの美しい音色とともに、生きていけるのだ。

  • 機内持込みOKの手荷物の大きさでチェロを作ってしまうロケット学者の才能というのは、すさまじきものと言うしかない。

  • 本が好きです。

    本を読むのは、時空を超えて、著者とお話をすることだと思っています。

    移動中の電車の中で本を読むことが多いのですが、夢中になると、よく降りる駅を乗り過ごしてしまいます。

    今日また、そういう本に出会いました。

    本八幡駅駅から都営新宿線に乗って読み始めて、森下で降りなきゃいけないのに、はっときがついたら馬喰横山も乗り越して神保町でした。

    またやっちゃったー、と思うと同時に、反対側のホームへ向かって歩きながら、また素敵な本に出会えたという予感で、胸がドキドキしていました。

    糸川さんは、飛行機やロケットを作った博士であり、「音響インピーダンスによる微小変異測定法」というバイオリンのための学位論文で東京大学で工学博士学位を取り、45年間かけて素晴らしいバイオリンを作った人です。そして、彼は稀有なマーケッターでもあると感じました。発想、視点、そして感性のユニークさに、読んでいて背中に電気が走ること多々。それで電車乗り過ごしちゃったんですが。。

    たくさんの言葉の宝石がちりばめられていました。
    読みながら、笑ったり、うーんとうなったり、痛快に感じたり、しばし黙考したり。。

    たった今読み終えて、胸の中にたくさんのたくさんの思いがあふれています。

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八十歳のアリア―四十五年かけてつくったバイオリン物語の作品紹介

僕はロケット博士じゃない。天才ヒコーキ屋は半世紀前から、密かに一挺のバイオリンをつくりつづけていた。最先端理論と方程式を駆使した工法が、従来の常識をくつがえす。ロケットも「逆転の発想」も、すべてこの楽器開発の副産物だった。

八十歳のアリア―四十五年かけてつくったバイオリン物語はこんな本です

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