一倉定の経営心得

著者 :
  • 日本経営合理化協会出版局
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784891010065

感想・レビュー・書評

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  • カイシャのボスに読んでもらいたい(怒られそう)。この手の本はかなりの確率で斜め読みするが、これは「うんうん」と首肯することが多かった。所々でおや? というところもあるにはあるが...。社長という生き物を理解するのに、読んでおいて損はない一冊。

  • 小宮一慶さんの本で紹介されていた。
    かつて中小企業の社長たちに絶大の人気があり、2日間で78000円のセミナーには1000人もの社長たちが押しかけた。それを年に6回、30年間続けていた伝説のコンサルタント。そのエッセンス。手帳みたいな作りで、全集などからの抜粋。227ページの本で、定価3300円に驚愕した。とても示唆的で面白かったけど。

    ・企業の持っている資源(人・物・金・時間)は有限である。それにひきかえ、お客様の要求は無限である。だから、どんなマンモス企業であろうとも、お客様の要求をすべてみたすことは、初めからできない相談である。お客様の全ての要求を満たそうとすると、全ての要求が満たせなくなってしまうのである。
    とすると、有限の資源しか持っていない企業のあり方は自然に決まってくる。それは、
    ”お客様の要求の特定の部分に限定し、その中でお客様の多様な要求を満たす。”ということである。これが集中の原理である。

    ・ワンマン経営とは、社長が全てのことに権力をふるって勝手なことをすることではなくて、社長ただ一人が事業経営の全ての責任を負う事である。ワンマン経営のないところ、真の経営など有り得ないのである。会社がつぶれたときの責任は明らかに「社長ただ一人」にある。このことを知っていれば、心無い人々が「あの人はワンマン社長だ」などという言葉がいかに誤っているか分かるはずである。社長の決定は、すべて外部への対応であり、未来志向である。それは、社員の知らない世界のことであり、社員に意見を求めても意味の無い事が多い。このことを、平素から社員に話をして理解させておかなければならない。

    ・任せるのは「実施」であって、「決定」ではない。

    ・社長の決定で最も難しいのは、「捨て去る」という決定である。
    (そう!耶律楚材の「一事を生(ふ)やすは一事をへらすにしかず」)

    ・目標はその通りいかないから役に立たないのではなく、その通りいかないからこそ役に立つのである。

    ・赤字会社の共通点は、「無方針」「放任」である。
    商品というものは、どんな店においても売れるものなのである。ある雑貨店に座卓が陳列してあるので、きいてみたら「でも売れるのですよ」という売り場の担当者の返事である。社長に聞いてみると、そんなものまで仕入れろとは言っていないという。当然だ、雑貨店だからである。この会社は大きな赤字を背負っていたのである。

    ・在庫が危険なのではない。在庫に対する考え方が無いのが危険なのである。

    ・社長の表敬訪問は、実は「建前」なのであって、その建前だけでも絶大な効果があるのに、それに加えて「本音」の方にさらに大きなメリットがあるのだ。
    そのメリットとは、まず第一に顧客の要求とその変化を的確につかめることである。社長が訪問すれば、先方でも偉い人が応対する。偉い人ほど、雑談の中でさえ、事業経営に関する次元の高いことが話題になるからである。
    第二に、わが社のサービス不足やクレームを知ることができる。第三には、競合他社の動きに関する情報も入る。

    ・下請け会社の社長は、申し合わせたように「自社商品」を持ちたいという。下請け加工の低収益から脱したいからだ。それであれこれ新商品を工夫する。しかし絶対に自ら売ろうとはしない。下請け加工と言うのは、事業経営で最も大切で、最も難しく最も苦しく、最も根気強く推進しなければ成功しない「販売」という活動をしなくてもすむ。
    一番苦しいことを避けているのだから、低収益は当たり前であり、その難しくて苦しい販売をやっている親会社をうらみに思うのは明らかに間違っている。下請けの低収益から脱したければ、販売という「難行苦行」に耐えなければならないことを知ってもらいたい。販売の苦労はご免こうむりたいが、高収益だけは手に入るような新商品は、世の中にないのである。
    (クライアント系のコールセンターも然りだ)

    ・社長は、無理を承知で社員に頼め。
    社員というものは、何か頼むと二言目には「できません」と言う人種である。社員が「ムリですよ」と言うのは、できなかった時の予防線なのである。それを「ムリでない」と言えば、これは「できて当たり前、できなければボンクラだ」と言っているのに等しいのである。これでは、社員はたまったものではない。だから、「そうだ、社長もムリと思う」と言えばよい。それを認め、「ムリを承知で頼む」と言えば、出来たら手柄になるのである。

    ・奨励金制度なるものは、それがどのようなものであれ、事業経営においては絶対に取り入れてはならない。社員はそれぞれの考えをめぐらして、奨励金がもっともたくさんとれると思われる行動を取る。各人の勝手な行動によって、会社の中はバラバラになってしまい、会社の力を一つに結集することなど思いも及ばなくなる。奨励金というものは、「各人は自分勝手な行動をとってもよい」という意思表示に他ならないのであり、これは、まさに経営権の放棄であり、いささかオーバーではあるが、それは社長の社会的責任を自覚しないことである。

    ・お客様を忘れた自己本位の考え方を「天動説」という。天動説を取っている会社では、根本的に誤った二つの信念を持っている。それは、「流通業者は我が社に忠誠を誓っている」「消費者は我が社の商品に絶大な支援を惜しまない」というものである。この二つの誤った信念がいたるところに顔をだし、販売を阻害している姿を、私は、うんざりするほど見せつけられてきているのである。
    人間というものは、これほどまでに自己中心でしか物を考えられない動物なのだろうか、とつくづく思う。だから、天動説を捨て相手の立場に立って、物を考え行動すると恐ろしく目立つ。

  • ■書名

    書名:一倉定の経営心得
    著者:一倉 定

    ■概要

    社長に最も重要な「事業の成否を決定づける根本の考え方
    と手の打ち方」を明快に示唆。 その温かくも厳しい教えは、
    魂を激しくゆさぶる、まさに、社長待望の「経営のバイブル」。
    社長だけを対象に35年間、5000社以上を指導した当代随一の経営
    コンサルタントの600を超える経営至言の中から、104項目を厳選し、
    簡潔かつ明快な解説を併せて収録。 すべての至言に明快な解説
    を併記。軽くて便利な小型新書サイズ。忙しい社長がわずかな
    時間に「一倉社長学」の骨子を学べます。
    (amazon.co.jpより引用)

    ■感想

    ものものしい黒革の手帳型の本です。
    ページ数と値段だけ見れば合っていないかもしれないけど、この人の価値、
    本の体裁を考えると、ある程度値段に釣り合っているのだと思います。

    経営者向けなので、一般社員がどこまで学べるか?というのはありますが、
    自分を経営者に置き換えてみると、色々学べることはある気がします。
    (そもそも、この人は社員一人一人が経営者という考えは大嫌いなようですけどね。)

    今の時代に新しいことを言っているかと言えば答えはNoだと思います。
    色々なビジネス書を読んでいる方であれば、聞いたことある考え方が多数
    記載されています。

    それを差し引いても、個人的に面白いな~と思う考え方が数個ありました。

    自分が本当の経営者であれば、もっと学ぶこと、響くことがあったような気が
    しますが、一冊手元に置いて置くとよい一冊な気がします。

    ■気になった点

    ・収益は商品が売れることによってのみ得られる。

    ・収益は会社の外部のみにある。内部にはない。
     内部にあるのは費用のみ。

    ・事業経営は「市場活動」である。

    ・ワンマン経営こそ本当である。ワンマンとは社長が全責任を負うことである。

    ・経営者は全ての決定に責任を持たないといけない。

    ・人の上に立つものは「部下が何をしようが全て自分の責任である」という
     態度が無ければ信頼は得られない。

    ・「任せる」のは実施であり、決定ではない。

    ・社長は年単位でものを考える。月単位で考えるのは社員である。

    ・リーダーシップの第1要件は「自らの意図を明らかにすること」である。

    ・目標はその通りいかないから役に立つのである。

    ・クレーム自体の責任は追及しない。
     クレームを報告しない責任、クレーム対策を直ちに実施できない責任は
     追及せよ。

    ・優れた社長は社員を人に語るときには、社員を褒める。
     能力のない社長ほど、社員の無能ぶりを他人に話す。

    ・社長室からは一文の利益も生み出さない。

    ・総代理店を作るということは、生殺与奪の権利を相手にゆだねているということ。

    ・顧客訪問は、顧客パトロールである。

    ・コストではなく収益が大事。
     コストを削除できても収益がそれ以上に減るのは意味がない。

    ・外注するかはコストだけの問題ではなく、経営戦略の視点からの決定で
     なければならない。

    ・銀行が1番心配なのは返せるか?である。
     であれば、経営計画書を提示するのが正しい。

    ・社員に任せてもいい新事業は、収益など期待できない。

    ・新商品は誰が買うか?を1番に考えよ。

    ・試作品はコストを無視して完璧なものを作れ。
     そこから必要に応じてコスト削除を検討せよ。

    ・お客様の要求が変わり続けるのだから、組織もそれに合わせて変わり続けなければ
     ならない。

    ・企業内に良好な関係が維持されているということは、革新が行われていない
     証拠だ。

    ・社長が社内にいる限り、管理職は育たない。

    ・実力と年齢は関係ない。

    ・一人一人が経営者。この言葉が嫌いである。
     ろくな給料も出さず経営者の姿勢を求めるとは何事か。
     給料なみの仕事以上を求めるのは間違っている。

  • Session22『坂口孝則セレクト!この夏、おさえておきたいビジネス書〜古典編』

  • 著者の10冊の書書から抜粋したエッセンスを掲載。経営者の心構えの基本を学ぶために最適。
    ただし、内容はその分抽象的なため、具体策や詳細な内容は別途本などで勉強する必要あり。
    また、やや古い著書のため、最新の経営手法とずれている点も散見されたので要注意。

  • 以前、最所さん @qzqrnl に薦めてもらった『一倉定の経営心得』を読んだ。ゴリッゴリのマッチョイズムを想定していたら、そんなことはなくシンプルでかつ、しなやかで強靭な言葉と思想が展開されてた。「ワンマン決定は権力の現れではない。責任の現れなのである」

    経営戦略とは、「戦わずして勝つ」あるいは「戦わずして優位に立つ」ための事業構造の変革であり、それによって自然に高収益を生むことができるような体勢を実現することである。

    ワンマン決定は権力の現れではない。責任の現れなのである。p40

  • 会社の同期が、前職の先輩より勧められたという一倉定について興味を持ち、Amazonで購入。一倉氏の著作からキーフレーズを抽出し、関連する部分を抜粋している。よく聞かれるものばかりでなく、これはと思う考えもあり、読んでいて良い刺激になったが、深掘りを求めようとすると一冊1万5千円くらいする本を複数冊買わなければならないと思うと、この辺で諦めるか、とも思ってしまう。そこへの強い誘引力を思うと、3,000円するカタログとも思えなくもない。

  • 伝説の経営コンサルタントの「社長学」からの重要ワード要約版です。
    これを読むだけでも「経営学」とはなんぞやを教えてもらえます。
    オススメです。

  • ■経営者の心得

    A.会社の真の支配者は、お客様である

    B.事業経営とは、変転する市場と顧客の要求を見極め、これに合わせてわが社をつくりかえることである

    C.わが社の赤字は、お客様を忘れたのが原因である

    D.ワンマン決定は権力の現れではない。責任の現れなのである

    E.経営計画は社長の決意を表明したものであり、定期的な達成度チェックは、社長の執念の現れである

  • ・会社の真の支配者は、お客様である。
    ・会社の業績が振るわない原因は、必ず社長がお客様の要求を無視しているから
    ・社長の定位置は社長室ではなく、お客様のところである。
    ・お客様の要求の特定の部分に事業を絞り、これにわが社の資源と努力を集中すること。これが集中の原理
    ・環境整備には、いかなる社員教育も、どんな道徳教育も足下にも及ばない。
    ・決定で大切なのはタイミング。優柔不断は誤った決定よりなお悪い
    ・決定は社長、実施は社員の役割
    ・社長の決定で一番むずかしいのは「捨て去る」という決定
    ・社員を動機つけるものは、社長自らの決意と責任から生まれる会社の未来像であり、その中に示された目標
    ・目標不達成の原因追求よりも、どうしたら目標を達成できるか、常に考える
    ・値段を値切られるのは、値切られるほうが悪い
    ・営業日報はお客様の外部情報に限定せよ
    ・費用は「管理的費用」「販売促進費」「未来事業費」にわけ、大抵「管理的費用」「販売促進費」が大半になってしまっている
    ・低収益商品を捨てる場合、それに代わる高収益商品がなければ、それによって得られた付加価値分だけ、会社の収益が減ることになる
    ・社長は、企業の将来に手を打つ人である
    ・新商品は、それを誰が買うのか、一番先に考えよ
    ・新たな収益をあげる最も確実な道は、今ある商品の欠陥を見つけ出し、これを直すところにある
    ・社長は、無理を承知で社員に頼め
    ・社員の第二の人生まで心をくばる社長は「名社長」である

  • 表現は若干古く感じるところがあるものの、本当に一本の強い軸を感じる一冊!


    当たり障りのないように書かれているようなものではなく、本音であり本質なんだと思わされる一冊です。

    手元に置いておきたい素敵な一冊です☆

  • 「社長は何をなすべきか」を明示した、経営のバイブル。
    すぐに何度でも読み返せる手元にいつも置いておきたい本の一つです。

  • <a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4891010061?ie=UTF8&tag=c0e88-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4891010061">私の座右の書であり、経営者なら必携・必読の書です!!“電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも社長の責任である(本文から抜粋)。”という内容には、思いっきりハンマーで頭を殴られたかのような衝撃を覚えたのが今となっては懐かしいです。時代を超えて読み継がれるべき経営哲学の本です。</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=c0e88-22&l=as2&o=9&a=4891010061" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />

  • 20/2/20
    25/5/10
    「目標はその通りいかないから役にたたないのではなく、その通りいかないからこそ役に立つのである。>客観情勢をどれだけみそこなっていたかの度合いを表しているものなのである。

    客観情勢の見方でアホかどうか分かってしまうから目標立てるの嫌だな-。

  • この本は、私が事務所に入所した時に、ある会社の社長様から贈っていただいた本です。



    この一倉定氏は、「事業経営の成否は、社長で決まる」



    という信念から、社長だけを対象に情熱的に指導した異色の経営コンサルタントのようで、内容は空理空論ではなく、



    「お客様第一主義」



    「経営計画の重要性」



    を徹底して説いている感じです。



    中小企業の経営者様が、経営について考える時、悩んだ時などに、きっと参考になる1冊だと思います。

  • バックにしのばせています。個人事業主ゆえ、まだ経営者、とは言えないけど。がむばろう。

  • ボロ会社に限って、立派な社長室がある

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著者プロフィール

1918(大正7)年、群馬県生まれ。36年、旧制前橋中学校(現在の前橋高校)を卒業後、中島飛行機、日本能率協会などを経て、63年、経営コンサルタントとして独立。「社長の教祖」「日本のドラッカー」と呼ばれ、多くの経営者が支持した。指導した会社は大中小1万社近くに及ぶ。1999年逝去

「2020年 『ゆがめられた目標管理 復刻版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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