砂糖とダイヤモンド (コーネル・ウールリッチ傑作短篇集 1)

  • 白亜書房
4.23
  • (5)
  • (6)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 39
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784891726676

作品紹介・あらすじ

本邦初訳の表題作をはじめ初期の珠玉作9篇を収録。サスペンスの詩人ウールリッチの全作品リストを巻末に付し、特別寄稿「ウールリッチと私」を加えた豪華版。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • コーネル・ウールリッチの全短編227のうちから47編を厳選して発表年順に収録。巻末に短編、長編の全作品の発表年代順のリストあり。また本国で編まれた短編集リストあり。

    ウールリッチの短編集は今までに「ホテル探偵ストライカー」と「見えない死」、この全集の6巻を読んだが、この1巻は読むのに、さあ、読むぞ、と気合をいれる必要があった。というのは読みながらハラハラどきどきが強くて疲れてしまうからだった。「死体をはこぶ若者」や「モントリオールの一夜」あたりが一体どうなるんだ、というのが強いか。

    「診察室の罠 Death Sits in the Dentist's Chair」1934年(初めてのミステリ短編)(ディテクティヴ・フィクション・ウィークリー1934.8.4日号)
    顔見知りの歯医者にかかろうとした私。順番を遅らせたくて後からきた男に順番を譲ると、治療開始後あのキーンという音がしだすとすぐその男は死んでしまった。歯医者には殺人の嫌疑が。嫌疑をはらすべく、私は奔走する。発想がおもしろい。


    「死体をはこぶ若者 The Corpse and the Kid」(ダイム・ディテクティヴ1935.9月号)
    父が後妻を殺した。私は父をかばいたく死体を運ぼうとするが、妹が、妹の彼氏が、行く手を阻みそのため計画があれよあれよと変わってゆき、最後は! この最後のドンデン返しが胸をすく。「私が死んだ夜」あたりと展開は似ている。逆が、この変形が「私が死んだ夜」か。

    「踊り続ける死 Dead on Her feet」(ダイム・ディテクティヴ1935.12月号)
    ダンスを続けると賞金が出るコンテスト。ふらふらになりながら踊っていた女は実は死んでいたのだ・・

    「モントリオールの一夜 Crime on St.Catherine Street 」(アーゴシイ1936.1.25日号)
    文なしのおれは、一夜で金をこしらえると2000ドルの掛けをしてモントリオールにやってきた。仕立てのいい服をきていたおかげでホテルに入り、女を映画にさそい、殺人事件に巻き込まれ、あらら、最後は・・ わらしべ長者みたいな話だが、そこはウールリッチ、時間の刻むスリルで展開。

    「七人目のアリバイ Change of Murder」(ディテクティヴ・フィクション・ウィークリー1936.1.25日号)
    殺人のアリバイ工作を頼んだ男。殺す相手、工作をしてくれる男、それぞれ自分の思惑とは反対の結果になり、「ああー なんてこった」という結果になる。

    「夜はあばく The Night Reveals」(ストーリー1936.4月号)
    夜な夜な外に出かける妻。保険会社の調査員の夫は担当物件を調査するうち、妻の夜の行動が放火につながっているのを悟る。病院に入れるため子供をある家に預けるが、そこで火の手が上がった・・ 最後にちょっとしたドンデン返し、それが悲しい。

    「高架鉄道の殺人 Death in the Air」(ディテクティヴ・フィクション・ウィークリー1936.10.10日号)
    仕事帰りの刑事が殺人事件を一件落着する。「ショウボート殺人事件」と同じ設定。でもこちらは、高架鉄道に接して建てられたアパートの窓からの弾丸が、電車に乗った刑事の肩をさすり、向かいの男に命中、というなんともスリリングな設定。映像で見てみたい。刑事をひどく動作がのろいが頭がきく、という設定にしているのもおもしろい。

    「砂糖とダイヤモンド The Heavy Sugar」(ポケット・ディテクティヴ1937.1月号)
    喫茶店の砂糖壺のなかに隠した盗品のダイヤモンドを文無しの男が見つける、という設定がおもしろい。さらに、だがそううまく行くはずもなく銃撃にまきこまれ、文無しの採った行動とは? 最後でまたまた、ありゃー という結末。


    「深夜の約束 Clip Joint」(ブリージイ・ストーリーズ1935.8月号)
    ロマンス小説誌に発表したもの。
    金持ちの男があやしげなぼったくりバーに行く。金に目がくらんだ女にとった金持ち男の行動、これは・・ ウールリーッチってやっぱり女が嫌いなんだな、と思ってしまう作品。


    2002.9.30第1刷 図書館

  • さすがに何度読んでも楽しい。
    この巻では『モントリオールの一夜』が特に好きかな。どれもすごくいいけど。

  •  創元推理から出ているアイリッシュ名義の復刊を待っていましたが、とりあえずは白亜書房のウールリッチ短編集を揃えることにしました。まあ、白亜も潰れてしまっているので、もはや絶版状態なのですが・・・。こういうときにアマゾンの中古販売は使えますね。
     で、短編集の中身はというと、ウールリッチお得意の「走れメロス」系の友情もの、殺人の痕跡を隠し通そうとする「死体を運ぶ若者」、ハードボイルドな「モントリオールの夜」、と多彩なジャンルが揃っている。私は「死体を運ぶ若者」が好きで、創元推理の村上博基/訳も読みましたが、何度読んでもあのヒヤヒヤしながら死体を運ぶというサスペンスは素晴らしいですね。

全6件中 1 - 6件を表示

コーネル・ウールリッチの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×