煙滅 (フィクションの楽しみ)

  • 水声社
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784891767501

感想・レビュー・書評

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  • 「e」抜きで書かれたフランス語のテキストを、「い」行抜きの日本語にうつしかえるという、苦行めいた翻訳本。ということは、あらかじめ知ってたのですが、読んでみると、フランス語の「e」は文字だけど、「い」行というのは音なので、言語の構造もちがうんだよなあと、あらためて思ったり。しかし「い」音がつかえないというのは、なかなかに苦しいもので、知らない言葉による言い換えがたくさん出てくるので、私は『広辞苑』を傍らに置いて読みました。まあ、むずかしい漢語への言い換えくらいはいいのですが、英語でカタカナ書き(飛行機→エアクラフト)しちゃうのは、きびしすぎないだろうか。その他、文中で引用されるフランス語の詩のテキストを西条八十や中原中也に置き換えちゃうなど、翻訳の概念を超えたすご技もみられます。でも、どうだろう、これほどこだわった形式にみあった中身かというと…むしろナンセンスな内容だから意味がある? これがナチスのユダヤ人絶滅計画をリファーしてるという解釈は、ちょっと深読みにすぎるんではと、私は思いましたが。

著者プロフィール

1936年生まれのフランスの作家(両親はポーランド系ユダヤ人で、第二次大戦中に死去)。パリ大学、チュニス大学の文学部で学んだ後、国立学術研究センターに勤務。1965年、ヌーヴォー・ロマンの手法を駆使して消費社会の空しさを暴き出した処女作『物の時代』でルノドー賞を受賞。以後、大胆な実験作を次々と発表して注目を集め、1978年には大作『人生使用法』にメディシス賞が与えられたが、1982年、46歳の若さで病没。広範な視野から現代世界を鋭く抉るその前衛的作品群は、文学の新たな可能性をひらくものと評価されている。日本文学にも関心を寄せていたことは、本書中の『枕草子』からの引用においても示されている。邦訳作品に『眠る男』(海老坂武訳、晶文社)、『物の時代』『小さなバイク』(弓削三男訳、白水社)、『人生使用法』(酒詰治男訳、水声社)などがある。

「2000年 『考える/分類する 日常生活の社会学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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