ベンヤミン―媒質の哲学

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著者 : 森田團
  • 水声社 (2011年4月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (531ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784891768249

ベンヤミン―媒質の哲学の感想・レビュー・書評

  •  ベンヤミンの哲学的思考を、初期言語論から晩年の歴史哲学に至るまで「媒質の哲学」として読み抜き、それを貫く「神話的なものとの対決」を、思想史的な布置のなかに描き出した労作。媒質の概念やミメーシスの概念が、ベンヤミンの著作の詳細な読解をつうじて非常に厳密に捉えられている点は実に示唆的だし、また「言語一般および人間の言語について」から「歴史の概念について」に至る、すでにレクチュールが重ねられてきたいわゆる「主要著作」のみならず、それらと同時期に書かれた、顧みられることの少ない、しかしきわめて魅力的な「虹」のような断章の数々に対して目配りが利いているのも刺激的である。とくに、ベンヤミン自身が思想形成の過程で読み込んでいたクラーゲスやバッハオーフェンの思想と、ベンヤミンの思想との関係が描き出されている点は、これまでの研究の視野を広げるものとして特筆されるべきであろう。とくに、ベンヤミンのイメージ概念が、クラーゲスとの対決をつうじて、みずからのうちに神話批判を含む仕方で形成されているという議論は示唆に富む。ただ、そのようなイメージの概念と言語の概念を、やや対立させすぎているきらいがあるように思うのは、私だけだろうか。それによってベンヤミンの言語論の広がりが見えにくくなるように思われるのだ。むろん、両者の対立を描くことによって、彼の前期の思想と後期の思想の違いを浮き彫りにする本書の行き方も説得的ではあるが、他方で彼の初期からの言語への問いは、イメージ(像)を媒体とする想起の理論へも流れ込んでいるであろうし、そのことが例えば引用の概念に表われていよう。そうした疑問を感じるとはいえ、今後のベンヤミン研究が本書の研究を通過することなしにありえないのは確かと思われる。

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ベンヤミン―媒質の哲学の作品紹介

初期言語論からイメージ論、そして歴史哲学にいたるまで、ベンヤミンの思考の根柢には、媒質概念があった。同時代の哲学者たちとの対比を通じて、その足跡を辿り、伝統の刷新を企てたベンヤミンの哲学の核心に迫るとともに、二十世紀ドイツの思想的布置をあらたに規定する野心的な試み。

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