対岸 (フィクションのエル・ドラード)

  • 水声社
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本棚登録 : 78
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (179ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784891769543

作品紹介・あらすじ

ボルヘスと並ぶアルゼンチン代表作家による幻の処女短編集。怪奇・幻想的な作品からSF的想像力を遺憾なく発揮した作品まで、フィクションと現実のあいだで戯れる珠玉の13編。短編小説というジャンルとテーマについて持論を披瀝した貴重な講演「短編小説の諸相」もあわせて収録。「剽窃と翻訳」「ガブリエル・メドラーノの物語」「天文学序説」の三部構成。

感想・レビュー・書評

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  • シンプル・コルタサル。岩波文庫に入っている一番おいしいところを先に読んでしまっていると「若い」感じはする(入れ替わりのモチーフの現れ方など)けれど、最初から上手。

    好きなのは以下の三つ。
    「吸血鬼の息子」息子の生まれ方がかっこいい。
    「魔女」魔女がやり遂げているところがいい。自分にもああいう能力があったら、彼女をまねしたい。
    「手の休憩所」水木しげるファンとして。

  • 処女短編集。成熟した旨味みたいなのは無いけれど、これはこれであっさりした味付けで嫌いじゃない。ラノベっぽいコルタサル。
    小説の中では「魔女」が好きかなー。
    「短編小説の諸相」が入ってるだけで読む価値あると思う。

  •  13の短編からなるフリオ・コルタサル処女短編集。
     現実の時空から、知らぬ間に異なった時空に迷い込んだり、吸血鬼や魔女といった伝奇物語にテーマを求めたり、「手」が大きくなったり、「手」が友達のように部屋に訪ねてきたり、他の惑星で神の死を体験したり、星々を清掃しまわったり……。
     怪奇的なもの、幻想的なもの、SF的なもの、はたまた星新一的なオチのあるショート・ショート的なもの、と幅広い内容の短編が収められている。
     処女短編集なので、「遊戯の終わり」「秘密の武器」「悪魔の涎・追い求める男」等に収められている物凄く完成度の高い短編と比べ、見劣りする箇所もなくはないのだが、それは単に相対的に判断してしまうからであり、やはりフリオ・コルタサルは処女短編集からしてフリオ・コルタサルなんだなぁ、と思わせてくれる。
     おまけとしてキューバで行われた短編をテーマにした講演会の模様「短編小説の諸相」も収められており、これも読みごたえあり。

  • 小ぶりだがバラエティに富んだ短編集。
    ただしコルタサルは短篇に愛着があるらしいが、中編のほうが生きるのかもとちょっと思ったりもした。

    ■剽窃と翻訳
    吸血鬼の息子★ ※ゴシック。
    大きくなる手 ※ループ。
    電話して、デリア★ ※今際の際との交信。
    レミの深い午睡 ※ループ。
    パズル★ ※記憶の混濁と猟奇。
    ■ガブリエル・メドラーノの物語
    夜の帰還 ※幽体離脱。
    魔女★ ※想像で人の実体を作り上げる。(ボルヘス)
    転居 ※異なる世界線に来てしまった。
    遠い鏡 ※ワープだか異なる世界線だか。
    ■天文学序説
    天体間対称
    星の清掃部隊 ※SF寓話。
    海洋学短講
    手の休憩所 ※奇想。
    ■短編小説の諸相
    短編小説とは、生と、書き表された生が兄弟喧嘩を繰り広げる場所から生まれる。
    暗示力、凝縮性、緊張感。
    物語によっていったん読者を現実から切り離した後、再び世界と読者のより豊かな絆を作る。
    革命を書くより、革命的に書くには、幻想文学の方が革命的かもしれない。

  • バラエティに富んだ作風が新鮮な短篇集。とはいえ、思った以上に死の影が濃いのねー。

  • これが幻想文学というやつかぁ。
    アルゼンチンに、それも80年前に、こんな文章があったのかと。
    訳もよいんでしょうきっと。新鮮でした。

  • 最近までスペイン語でも簡単には読めなかった処女短編集。
    短くシンプルな作品が並ぶが、処女作にして「コルタサルの短編」として完成していることに驚く。
    特筆すべきは付録として収録されている講演「短編小説の諸相」。コルタサル短編の優れた解説になっている。

  • 短篇集。
    『剽窃と翻訳』『ガブリエル・メドラーノの物語』『天文学序説』の3つに分かれている。分けるとすれば、『剽窃~』と『ガブリエル~』は怪奇幻想小説、『天文学~』はよりSF寄り。

    『吸血鬼の息子』は怪奇幻想小説では王道の吸血鬼ものではあるが、吸血鬼が父親になる(女性が妊娠する)というのが珍しいように思う。ラストで出産のために医師が集まっているのがやけに現実的。
    『電話して、デリア』は、怪奇小説でよくある筋立てだが、中盤で交わされる会話が生き生きとして、オチとのギャップがいい。
    オチといえば、『魔女』『天体間対称』のラストも秀逸。『星の清掃部隊』は発想の勝利か。

    内容とは全く関係がないが、このシリーズは新刊予定が全く読めなくて困る……版元がちっとも宣伝をしてくれないので、店頭での出会いに賭けるしか無いというw

  • blogを更新してくださいね、水声社さん。。。

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フリオ・コルタサルの作品

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