傷跡 (フィクションのエル・ドラード)

  • 水声社
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784891769628

感想・レビュー・書評

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  • それぞれ別の主人公を迎えた4章。夫が妻の顔を猟銃で撃ち抜く凄惨な事件が起こる。最後の章はそこに至るまでの夫婦間のぎすぎすした会話が、灼熱の中で発火しそうな木屑のように、着火するのを待ち構えている。余談だが子供の頃近所が火事だから急いで帰りなさいと帰らされたのを思い出した。(そこんちは豚を飼っていた)他の章は視点が変わり、弁護士などは「私をわずらわす不愉快な物」とだるく捉える。地味で淡々。だが艶のある文章。湯気の中、炊き上がった米粒が音にならないざわめきを発する。そんなおもだるい印象がした。

  • これは掘り出し物的に面白かったです! 今年一番面白かった。比べるのもあれだけどレイナルド・アレナスの「襲撃」なんかよりもずっと面白かった。この作家の過去に水声社から出た本も気になっていたので、作者の名前を覚えてこれからも読もうと思います~やっぱりラテン文学は面白い!

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著者プロフィール

1937年、アルゼンチンのサンタフェ州セロディーノにシリア系移民の息子として生まれ、1959年、ロサリオ大学で法学、ついで哲学を専攻するものの中退、以後雑誌などの仕事をこなしながら創作に従事する。1968年、「ヌーヴォー・ロマン」研究の名目で奨学金を得てパリへ渡り、以後フランスに定住。創作活動の傍ら、1971年からはレンヌ大学で文学を講じた。2005年、パリに没した。代表作に、『傷痕』(1969年)、『孤児』(1983年、以上邦訳、水声社)、『好機』(1987年)、『捜索』(1994年)、『雲』(1997年)、『ラ・グランデ』(2005年、未完)といった長編小説のほか、評論集『フィクションの概念』(1997年)や、詩集『語りの技法』(1977年)などがある。

「2023年 『グロサ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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