これは小説ではない (フィクションの楽しみ)

  • 水声社
3.89
  • (1)
  • (6)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 73
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784891769864

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 邦訳は順番が前後しているが、『ウィトゲンシュタインの愛人』の次作にあたる作品。古今東西の有名作家たちの毀誉褒貶と死にまつわるトリビアや引用を並べていくのは前作と同じ手法だが、作中作者に関する設定やストーリーは特にない(最後に抱えている事情がひとつ明らかにはなるが)。
    今作は作品外に広がる〈作者というキャラクター〉を集合させたクロスオーバーのような印象で、作家同士の交友や絶縁関係などが話題になるせいか前作に比べとても賑やか。実名で書かれたパーティー小説っぽくもあり、でてくる作家たちにもモダニストが多いのでそういう狙いなのだろう。
    おびただしい引用のあいまには〈作者〉による作者論めいた問いが挟まれるのだが、『ウィトゲンシュタインの愛人』と比べてしまうとこのメタフィクション構造はあまり新鮮味がない。そもそもタイトルからウリポっぽすぎる。ネタ元がもっと時代的にもポジション的にも卑近な作家やアーティスト(せめてアンディ・ウォーホルくらいの)だったらまた違う印象だったかもしれないけど、実験小説としては既視感があると思ってしまった。

著者プロフィール

1927年ニューヨーク州オールバニー生まれ。2010年没。小説家、詩人。若い頃はコロンビア大学などで創作を教えるかたわら、娯楽的な作品を執筆した。60歳の年に発表した『ウィトゲンシュタインの愛人』(1988年)が傑作として注目を浴びた。以後に出版された『読者のスランプ』(1996年)、『これは小説ではない』(2001年、邦訳は2013年、水声社)、『消失点』(2004年)、『最後の小説』(2007年)の作品群は「作者四部作」と呼ばれ、断片を積み重ねるスタイルを顕著な特徴とし、高く評価されている。

「2020年 『ウィトゲンシュタインの愛人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

デイヴィッド・マークソンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×