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- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784891769864
感想・レビュー・書評
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邦訳は順番が前後しているが、『ウィトゲンシュタインの愛人』の次作にあたる作品。古今東西の有名作家たちの毀誉褒貶と死にまつわるトリビアや引用を並べていくのは前作と同じ手法だが、作中作者に関する設定やストーリーは特にない(最後に抱えている事情がひとつ明らかにはなるが)。
今作は作品外に広がる〈作者というキャラクター〉を集合させたクロスオーバーのような印象で、作家同士の交友や絶縁関係などが話題になるせいか前作に比べとても賑やか。実名で書かれたパーティー小説っぽくもあり、でてくる作家たちにもモダニストが多いのでそういう狙いなのだろう。
おびただしい引用のあいまには〈作者〉による作者論めいた問いが挟まれるのだが、『ウィトゲンシュタインの愛人』と比べてしまうとこのメタフィクション構造はあまり新鮮味がない。そもそもタイトルからウリポっぽすぎる。ネタ元がもっと時代的にもポジション的にも卑近な作家やアーティスト(せめてアンディ・ウォーホルくらいの)だったらまた違う印象だったかもしれないけど、実験小説としては既視感があると思ってしまった。詳細をみるコメント0件をすべて表示