物の時代 小さなバイク

  • 文遊社
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784892570827

作品紹介・あらすじ

パリ、1960年代-物への欲望に取り憑かれた若いカップルの幸福への憧憬と失望を描いた、長篇第一作。ルノドー賞受賞。徴兵拒否をファルスとして描いた第二作を併録。

感想・レビュー・書評

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  • フランス語原文を理解出来ないと、言葉遊びも大いに理解し得ないのだろうと感じた本。
    「物の時代」は消費社会がもたらした所謂、蜃気楼を実験的文体で描いている。
    読んでいて、今現在私自身も感じている焦りや矛盾を見ているかの様だった。 
    
    (引用)「なぜなら、お前たちは間違っている、とすべてが告げていたからだ。第一人生そのものがそうであった。二人は人生を享受したいのだが、周囲ではいたるところ、享受と所有が混同されていた。彼らはいつでも人生を享受できる、ほとんど無垢の状態でいたいと思っているが、それでも年月は流れてゆき、何ものももたらしてはくれなかった。」
     .....
    
    そして散らかった部屋を見る私であった。

  • 2つの中・長編を収録。『物の時代』(原題は"Les choses")は、室内を眺める眼が見た記述から始まり、そこにある物が列挙されて行く。我々の生活はなんと物に溢れていることか。しかも、人間が物の所有を欲望するのではなく、物の存在が我々に欲望を喚起するというのが、まさしく現代社会の構造だ。小説にはジェロームとシルヴィという2人の主人公が登場するが、彼らの間に会話が交わされることはない。その意味では、この小説はいわばレシ(物語)の方法によって書かれているのだろう。そして、彼らは「私」であったかもしれない。

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著者プロフィール

1936年生まれのフランスの作家(両親はポーランド系ユダヤ人で、第二次大戦中に死去)。パリ大学、チュニス大学の文学部で学んだ後、国立学術研究センターに勤務。1965年、ヌーヴォー・ロマンの手法を駆使して消費社会の空しさを暴き出した処女作『物の時代』でルノドー賞を受賞。以後、大胆な実験作を次々と発表して注目を集め、1978年には大作『人生使用法』にメディシス賞が与えられたが、1982年、46歳の若さで病没。広範な視野から現代世界を鋭く抉るその前衛的作品群は、文学の新たな可能性をひらくものと評価されている。日本文学にも関心を寄せていたことは、本書中の『枕草子』からの引用においても示されている。邦訳作品に『眠る男』(海老坂武訳、晶文社)、『物の時代』『小さなバイク』(弓削三男訳、白水社)、『人生使用法』(酒詰治男訳、水声社)などがある。

「2000年 『考える/分類する 日常生活の社会学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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